東京都と日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)は、主催する「ファッション プライズ オブ トウキョウ 2027(FASHION PRIZE OF TOKYO、以下FPT)」の受賞ブランドに「タナカ(TANAKA)」を選出した。手掛けるのは、タナカサヨリ=デザイナーとクボシタアキラ=クリエイティブ・ディレクター。2027年1月と6月にパリでのショーのほか、同年3月の「楽天ファッション・ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」でもイベントを開催する。
審査では、「今後東京を代表するインターナショナルブランドになる可能性がある」「デザイン、アイテム数、価格帯で知名度向上の可能性がある」「海外出展の意欲があり、支援内容を実施する体制がある」の3点を基準にエントリーブランドを選定。その中から最もポテンシャルが高いブランドとして「タナカ」を選出した。審査員は、リトルリーグの根岸由香里取締役兼ロンハーマン ウィメンズクリエイティブディレクター、クリエイティブ・ディレクターの長尾悦美、ファッションキュレーターの小木“Poggy”基史、ファッションディレクターの高島涼が務めた。
9月5日の授賞式でクボシタ=クリエイティブ・ディレクターは、「3年前に初めてのショーを行ったことを機に、自分たちが目指すステージ、視点が広がった。そして1年ほど前に『来年は必ずパリに行こう』と掲げてきて、この賞を手にすることができて本当にうれしく思う。パリを意識すればするほど、自分たちはパリで何ができるのか考えてきたが、ブランドを応援してくれる顧客のみなさんやモノ作りを支えてきてくれた工場のみなさん、デニム産業を支えてきてくれているみなさんの思いを背負って、準備していきたい」とコメントした。
またタナカデザイナーは、「ブランドを始めて10年という節目に、このような賞をいただくことができ、チーム一同うれしい。私たちは日本のモノ作りの美しさや可能性を信じてこれまで服を作ってきた。この賞を一つのきっかけとして、さらなる発信を続けたい」と話した。
ニューヨークと日本の2拠点の「タナカ」とは
「タナカ」は17年にニューヨークを拠点に始動したユニセックスブランド。「これまでの100年とこれからの100年を紡ぐ衣服。時代や性別を超えて永く愛される衣服。」を理念に掲げ、多文化都市ニューヨークのボーダレスな感性と、日本の職人技術を生かしたデニムを軸に、アートやクラフトマンシップ、東西の伝統工芸、テクノロジーなどを横断したモノ作りを続けている。22年には「東京ファッションアワード(TOKYO FASHION AWARD)」を受賞するなど、国内外で評価を高めてきた。
タナカデザイナーは、東京モード学園アパレルファッションデザイン学科卒業後、ヨウジヤマモト社で企画およびニット・カットソーデザイナーとして経験を積み、その後ファーストリテイリングの「ユニクロ(UNIQLO)」でウィメンズのグローバルデザインチームのリーダーを務めた。13年に渡米し、17年にニューヨークで「タナカ」を設立。クボシタ=クリエイティブ・ディレクターは文化服装学院スタイリスト科を卒業後、ファーストリテイリングに入社。「UT」やアクティブウエア、ニットウエアを中心としたメンズのグローバルデザインチームのリーダーなどを務め、20年から「タナカ」に本格参画した。
近年は、ブルーボトル コーヒーの「Blue Bottle Studio - Kyoto」のユニホームデザインを手掛けたほか、25年には新ライン“Art of TANAKA”を始動。アートやクラフトマンシップ、伝統工芸、テクノロジーを横断し、「次の100年に何を残せるか」という問いを創造によって実践している。26年8月には青山の拠点を移転・リニューアルし、タナカ アトリエ ストア(TANAKA ATELIER STORE)をオープンしたばかり。
「FPT」歴代受賞者は「マメ」や「オーラリー」「ヨーク」など
「FPT」は、世界で活躍するファッションデザイナーの輩出・促進を目的とするアワードで、今回が第9回。これまでに黒河内真衣子「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI)」デザイナー、岩井良太「オーラリー(AURALEE)」デザイナー、森川拓野「ターク(TAAKK)」デザイナー、高橋悠介「CFCL」デザイナー、小泉智貴「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」デザイナー、後藤愼平「エムエーエスユー(M A S U)」デザイナー、浅川喜一郎「シュタイン(SSSTEIN)」デザイナー、寺田典夫「ヨーク(YOKE)」デザイナーが受賞している。前年は寺田デザイナーが選ばれ、26年にパリと東京で発表の機会を得た。