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特集 CEO2026

【アルビオン 小林章一社長】顧客接点を拡張し未来への一手を打つ

PROFILE: 小林章一/社長

小林章一/社長
PROFILE: (こばやし・しょういち)1963年生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、西武百貨店勤務を経て、88年にアルビオンに入社。「ソニア リキエル ボーテ」事業の立ち上げなど、ブランドビジネスに携わる。フランス勤務を経て、91年に取締役、95年に常務・マーケティング本部長を歴任。2004年に副社長就任、06年から現職 PH0TO : KOJI SHIMAMURA

高級化粧品メーカーとして創業し、独自の美容理論“先行乳液”を確立してきたアルビオン。2025年はスキンケアシリーズ“フラルネ”を刷新し、「肌が確実に変わる体験」を新たな価値として打ち出した。不確実性が増す時代にあっても現状に甘んじることなく、妥協しないモノづくりとブランドの核となる乳液を武器に、女性の肌の明るい未来を切り開く。

妥協しないモノづくりが次のロングセラーを生む

WWD:2025年を総括すると。

小林章一社長(以下、小林):政治不安、自然災害など予測不可能な世の中で、どんな不測の事態も受け入れる覚悟で経営していかなければならないと気を引き締めさせられる1年だった。ただ、ようやくコロナ禍が落ち着き、店頭でアルビオンらしい接客を取り戻せるようになったことは良い兆しだ。高級化粧品は実際に触れて肌実感をご納得いただいてこそ。期待や想像をはるかに超える肌実感の製品を一生懸命作り、お客さま一人一人に丁寧に届けていくというアルビオンのミッションはいつの時代においても変わらない。

WWD:そのミッションをやり遂げるにあたり、モチベーションはどこにあると考えるか。

小林:お客さまからの実感のこもった声だ。私の元にも製品に関する極めて高い評価が直接届くことが日増しに多くなっている。最近も、「イグニス」の柚子を基調にした香りで安眠に誘う“ナイトウェル ハンドトリートメント”を使用してくださったお客さまが、「毎晩気付いたら落ちるように寝ている。先週は5日連続でスマホの充電を忘れて出社した」とXに投稿。これが拡散され、製品の売り上げは前年比50%増と大ヒットした。このような強烈なコメントの威力は計り知れない。

たった一人の実感のこもったレビューが連鎖して、たとえ世の中ではまだ十分に知られていない製品でも、自然発生的に売り上げが伸びていく。これこそがアルビオンが誇る製品力だ。このように本当に良い製品が作れるなら、たとえ開発に3〜5年かかってもいい。妥協しないモノづくりの精神が“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”に続く第二のロングセラー製品を育てていくと信じている。

WWD:新生“フラルネ”の反応は?

小林:非常に好評だ。基礎ケアとして洗顔後すぐに使う乳液“フルリファイン ミルク”を中心製品に据え、アルビオンが提唱する“先行乳液”の良さを改めて訴求した。さらに容器もより美しいデザインを追求し、さまざまなニュアンスの色から検討を重ねて、淡いピンクに刷新。ありがたいことにしばらく「アルビオン」から離脱されていたお客さまが戻ってきてくれているケースもある。一歩ずつ試行錯誤しながら、多くのお客さまに愛されるブランドに育てていきたい。

WWD:昨年9月にニュウマン高輪にオープンした旗艦店「アルビオン フィロソフィ 高輪」も話題だ。

小林:乳液を中心とした6つの体験型サービスや乳液スペシャリストが常駐した独自のコンセプトストアで、店内には全21種類の乳液が試せる「ミルクバー」も設置している。本来乳液は店頭で比較しづらい商材だが、8つの質問に答えることで自分に一番合った乳液が見つけられる面白いサービスも用意している。一方、ニュウマン横浜店では乳液を製作するワークショップや秋田に自社農場を所有する「アルビオン白神研究所」のメンバーによる植物栽培についての講座なども行っている。こうした新たな取り組みや情報発信を強化し、新客獲得につなげていきたい。

WWD:4月にEC販売をスタートする。

小林:これまで店舗を限定し、1店舗あたりのお客さまを増やす戦略で展開してきたアルビオンは、地方での空白地帯が多いのも事実。店舗への来店が難しいお客さまや、多忙で足を運びにくいお客さまに製品を効率的にお届けできる場にしていきたい。ただし、リアルでの店頭体験が最優先であることに変わりはない。お客さまの肌は季節や体調などで変化するもの。だからこそ、その時々の肌診断やカウンセリングを丁寧に行い、適切な製品をご紹介することが重要だ。これからも対面の接客やBA(ビューティアドバイザー)による心からのおもてなしを重視する。

一方で、自社でECを所有しない化粧品専門店に対しては利益還元も行なっていく。1月からは、「ALBION ID」として顧客コードの統一化を図り、百貨店や化粧品専門店のチャネルの垣根を越えて、お客さまによりスムーズな買い物体験を提供できるようになるだろう。

WWD:26年の展望は。

小林:昨年は部署の体制や基盤を整えた。これを踏まえ、今年は攻めに転じていく。まずはスキンケアとファンデーションを重点的に、「アルビオン」の強化を進める。また、“フレッシュ ハーバルオイル”などの好調な製品は、“スキコン”のようなロングセラーに育成していくための次なるフェーズに入るべきだろう。お客さまを笑顔にするモノづくりと接客というアルビオンらしさを今年も全力で発揮していく。

個人的に今注目している人

影絵作家 藤城清治さん

101歳でなお創作を続ける姿に強い衝撃を受けた。構想を練って制作するのか、それとも手が自然に動くのか。一つの道を信じ、黙々と続ける覚悟と集中力に心を打たれた。年齢ではなく、感性と情熱こそが人を突き動かすと実感した。創作の根源への関心は、モノづくりに通じる。化粧品もまた理屈ではなく感性に訴える世界だ。だからこそ、年齢や常識に縛られず、感性を研ぎ澄まし続けることを大切にしたい。

COMPANY DATA
アルビオン

「日本一、世界一の高級化粧品メーカーを目指す」という夢を掲げて、1956年に創業。乳液先行の独自の美容理論を確立。主軸のスキンケアブランド「アルビオン」には、創業時から販売する乳液や、74年に誕生した“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”など、ロングセラー製品が多数存在する。そのほか「エレガンス」「イグニス」「アナ スイ コスメティックス」「ポール & ジョー ボーテ」などを手掛ける

問い合わせ先
アルビオンお客様相談室
0120-114-225