ファッション

NY発「サトミ カワキタ」の“モノが人を選ばない”手の温もりが伝わるジュエリー 

PROFILE: サトミ・カワキタ/「サトミ カワキタ」デザイナー

サトミ・カワキタ/「サトミ カワキタ」デザイナー
PROFILE: 嵯峨美術短期大学生活デザイン科卒。大阪のガラス工房で作家の辻野剛に師事。アシスタントとして活躍後2002年に短期留学のために渡米。ニューヨークのジュエリー専門学校で学び03年から、石留め職人に師事し7年間職人として働く。08年から現職

米ニューヨーク発ジュエリー「サトミ カワキタ(SATOMI KAWAKITA)」の路面店が6月東京・南青山に登場した。同ブランドは、デザイナーのサトミ・カワキタが2008年にニューヨークで設立。自然の中にある形や素材感をインスピレーション源に、微妙な歪みや不規則性とクラフト感があるジュエリーを提案している。トライベッカの工房で職人が手仕事で仕上げるジュエリーから、手の温もりが伝わってくる。ニューヨークの「スティーブン アラン(STEVEN ALAN)」などのセレクトショップや、英ロンドンの「リバティ(LIBERTY)」などの百貨店を中心に販売。日本では、「トゥモローランド(TOMORROWLAND)」などが取り扱っている。

グレーの濃淡を基調にしたクリーンなデザインの店舗には、木工作家の吉川和人による什器や家具が置かれ、リビングのように居心地の良い空間だ。ブランドを立ち上げて15年、拠点はニューヨークだが、日本にも拠点を持ちたいというカワキタの思いが反映された店舗になっている。子どもの頃からモノ作りが好きで以前はガラス作家に従事していたというカワキタ。彼女に、クリエイションに込める思いについて聞いた。

ニューヨークで出合った彫金

ガラス工房で吹きガラスを制作していたカワキタが、彫金に出合ったのはニューヨークだった。カワキタは、「語学留学で立ち止まってモノ作りについて考えた。ガラス制作はチームワークでスピード感が必要。それよりは、自分がちまちました作業が好きなことに気づいた」と話す。そこで、彼女はニューヨークで彫金学校に入学し、ダイヤモンドの石留め職人の道を歩み始め、7年間働いた。「ガラスは割れたら終わりだが、ジュエリーは長く使える。石留め職人の技術を生かしてジュエリーブランドを立ち上げた」と語る。

ブランドを立ち上げ当時は、素材調達の予算もあまりなく、華奢なリングしか作れなかったが、それが、ブランドのシグニチャーになった。「重ね付けすることにより、個性あふれる幾通りもの表情がある。記念日や思い出と共に増やしたリングを足し引きして楽しめるのも魅力だ」。ダイヤモンドのセッティングができるので、ブライダルラインも始めた。「ブライダルという皆が幸せになるモノ作りをしたいと思った」。ダイヤモンドをセッティングした“ヘキサゴン”はベストセラーの一つ。主張しすぎないデザインが、人と違うエンゲージリングを探している人に支持されている。

“モノが人を選ばない”デザイン

ケースの中には、ずらりとリングが並べられ、そのバリエーションの多さに驚かされる。「アメリカは、さまざまな肌の色の人がいる多様な国。指が細い人もいれば、太い人もいる。私がクリエイションでこだわっているのは、“モノが人を選ばない”ということ。誰もが、何か似合うものを見つけてほしい」とカワキタ。一見、シンプルなリングばかりだが、一つ一つにさりげない表情がある。整いすぎていない“揺らぎ”が味になっている。「リングという小さなスケールでどれだけ個性が表現できるか考えるのが楽しい。つけ心地にもこだわる。指と向き合うと、揺らぎがあるデザインが自然だと感じる。人の証が残るものを作りたい」。

使用している地金にもこだわりがある。18金ゴールドはすべてニューヨークでリサイクルされたものを使用。ホワイトゴールドは、天然ゴールド本来の色を生かし、ホワイトというよりは、シャンパンやグレーがかった優しい色合いだ。使用する宝石もカワキタがアリゾナのツーソンで買い付けたものなどユニークな石が多い。

訪日外国人のカップルが来店した。カワキタが声をかけると「ニューヨークでブランドを知った。来日したので東京でジュエリーを購入するのが目的だ」と言う。このようにニューヨークで「サトミ カワキタ」のジュエリーに出合い、東京の店舗を訪れる外国人も多いようだ。モノ作りに対するカワキタの静かな情熱が表現されているジュエリーのファンには待望の路面店だ。

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