若旦那/「湘南乃風」メンバー PROFILE:1976年4月6日生まれ。そのストレートで、熱く、優しい言葉で、日本の音楽シーンにおいて唯一無二の存在。「湘南乃風」の活動と並行し、自身のそろ名義の作品リリース、他アーティストのプロデュース、楽曲提供も行う。チャリティー活動や震災復興支援活動など文化人としても幅広い社会活動に参加
「『WWDジャパン』と『ファッションニュース』が愛読書」というのは、レゲエグループ「湘南乃風」のメンバーで、ソロ活動も行う若旦那だ。クリエイターズブランドから古着屋、セレクトショップなどにも足しげく通うといい、昨年久々に復活した「セーラーズ(SAILORS)」の大ファンでもあるという。若旦那のファッション観と「セーラーズ」への想いを聞いた。
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WWDジャパン(以下、WWD):かなりのファッション好きだと聞きましたが?
若旦那:めちゃくちゃ好きです。最近特に、自分はファッションとか店がすごく好きなんだなと深く思うようになりました。インターネットで服を買おうとは全く思わないので、知り合いのブランドや店に通うことが好きなんだと分かってきました。そもそも、自分たちが中高生の頃にはインターネットがなかったので、洋服屋の店員さんの情報が全てだった。音楽も、ファッションも、ストリートカルチャーも服屋の先輩から教えてもらっていた。それで、今でも暇さえあれば、知人の洋服屋をハシゴするようになりました。大きなセレクトショップや、古着屋もチェックしているし、そこでどんな音楽が流れているかも気になりますね。ストリート系だけでなく、モード系もすごく好きで、東コレにも行くし、雑誌でコレクション情報も確認している。毎号「ファッションニュース」も読み込んでいて、ミラノがどこを目指しているのか、ロンドンやニューヨークはどこに向かっているのだろうかなどを感じながら、自分とシンパを感じるものを探って、ここの思想に合っていると感じたり、アート的な流れを感じたり、自分の考えと答え合わせをしている感じです。時代の流れを感じる中で、自分の一番の主軸がファッションなんです。ちなみに、昨日も渋谷Qフロントにできたばかりの「ワイヤードトーキョー1999」に行って「WWDジャパン」を読んできましたよ。新しい時代観を感じるために、洋服に限らず、新しい店やスポットに行くようにしています。ジョニオさん(高橋盾)の「アンダーカバー(UNDERCOVER)」の25周年回顧展「ラビリンス・オブ・アンダーカバー(LABYRINTH OF UNDERCOVER)」も観てきましたよ。
WWD:音楽をはじめとしたクリエイションにも影響していると?
若旦那:自分の音楽の根本は、個人的な趣味がもとになっています。でも、個人的な趣味を提示するだけではマスターベーションと同じこと。時代の基礎や潮流を把握した上で、時代を読み取りながら自分を吐き出す。そういったインプットの作業として、ファッションは重要な役割を果たしているんです。ただ、ファッションがこれだけ好きだということについては、知っている人は知っているけど、あまり公に言ってこなかった。トレンドのスタイルをするためのファッションではなく、ミュージシャンとしての個性を追求し、そこに取り入れるためのものだからかもしれませんね。
WWD:東コレも観に行かれたとのことですが、どのブランドのショーに?
若旦那:今回は落合(宏理)君の「ファセッタズム(FACETASM)」と、デビューブランドの「プラスチックトーキョー(PLASTICTOKYO)」に行きました。「プラスチックトーキョー」には友人が勤めていることもありますが、「WWDジャパン」の東コレ事前号の表紙にも取り上げられていたので、有望ブランドだと期待しています。
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WWD:では、よく行くショップはどこ?
若旦那:吉井(一雄)さんが経営している「コンテポラリーラリーフィックス(THE CONTEMPORARY FIX)」と「LHP」、「ベルベルジン(BERBERJIN)」ですね。「ユナイテッドアローズ(UA)」にも行きますよ。やっぱり原宿・青山・神南界隈が多いですかね。「コンテポラリーフィックス」は店長が中学の同級生で、よく原宿で遊んでいたんですが、ちょうど今、自分の着たいファッションがここにあるんです。昔はもっといわゆるモードが好きだったのですが、最近は少しモード離れをしていて、シンプルな服装に開眼している。例えば無地のTシャツにジーンズに安いスニーカーを合せたり。そういったものを上品に着るような気分になっているんです。「LHP」は5~10年前にモードにはまっている時に好きだった「ユリウス(JULIUS)」「ラフ シモンズ(RAF SIMONS)」、立ち上げ当時の「KTZ」などを扱っていて、彼らが打ち出すモードに夢中でした。今はモードが普通の世の中になってしまったので、少し気持ちが離れているかもしれませんが、チェックしていますよ。古着の「ベルベルジン」は、行くと10代の頃の思い出が詰まった服がたくさん置いてあるのが楽しくて!当時、仲間たちと代々木公園に皆で集合して、「シカゴ」「ボイス」「ガルフ」など原宿のショップによく行っていましたね。昨日も冬支度のために、「ペンドルトン」の毛布を買ってきたり。「UA」はバランスが良いから、今の時代をしっかりと知っておくために見ておきたいなと思って。
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WWD:ニューヨークに住んでいた時期もあるとか。
若旦那:5年前に。海外に行くときは短期間ではなく、1年とか長期で行くことが多くて。ニューヨークは音楽もすごく勉強になったけれども、古着屋が特に面白かった。ラグジュアリーブランドを扱う古着屋も多いし、そういったところで買った服か、「スリーワン フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」ばかり着ていた。当時は「ラグ&ボーン(RAG & BONE)」などはあまり好きではなかったけれども、今は少し理解できるようになりました。
「セーラーズ」を着用する若旦那
WWD:今日着用しているのは「セーラーズ」ですが、好きになったきっかけは?
若旦那: 幼少期に「おニャン子クラブ」や「とんねるず」が出ていたテレビ番組「夕やけニャンニャン」から受けた影響が一番大きいですね。彼らが着ていた「セーラーズ」の水兵さんのマークが大好きで。でも、小学生だったので高くて買えなくて。いつもノートにこのイラストを描いていたんです。そのうち、「セーラーズ」がなくなってしまい、思い出になっていました。
それが、昨年のゴールデンウィークにポップアップストアという形で復活したのを知り、「今なら買える!」と思って、ラフォーレ原宿に行ってみたんです。それも「WWDジャパン」を見て、復活するのを知ったんですけどね。でも、大行列だったので夜、出直したところ、店員さんに若旦那だと気付かれて。その時にしーちゃん(三浦静加セーラーズ社長)と話をして、「セーラーズ」がどれだけ好きだったかを話したりしているうちに仲良くなって、家にも呼ばれるようになったんです。当時のグッズをいただいたり、人気だったジャケットのリメイク版などをPVやリハーサルなどで着ているうちに、それ、いいねという話になったり。そのうち、「セーラーズ」が好きな奴だけでご飯を食べようということになり、「セーラーズ愛の会」を結成して、何回か集まったりもしています(笑)。
WWD:「セーラーズ」の魅力とは?
若旦那:キャラクターのイラストも、服のデザインも、刺しゅうも、袖やリブの感じも、一つひとつの作りがすごく良いんです。ワッペンの部分のふっくらとしたハンドメイドの刺しゅうはもちろんのこと、インナーにまでしっかりと刺しゅうがしてあったり。80年代にブレイクしたブランドですが、今でもすごくカッコイイ。しーちゃんは立派なファッションデザイナーだと思っています。
WWD:これからの「セーラーズ」に期待することは?
若旦那:しばらく休止していましたが、良いブランドなので、若くて勢いのある良いブランドとコラボレーションをしたり、裏原宿の片隅で、昼は全国のセーラーズが好きな人たち向けのカフェ、夜はオシャレな若い人々が立ち寄れるようなバーを展開するなどして、良い形でブランディングをしながら、長くブランドを残してほしいですね。自分も含めて、ブレーンが一緒になって手伝いながら、時代感などをうまく提案するなど、できる限り支えていきたいなと思っています。
WWD:「湘南乃風」、ソロの歌手、そして、事務所の社長業も務めてこられましたが。
若旦那:フェスの運営もやってきました。ただ、今年で10周年を迎えたので、社長業から離れることにしました。今までは連載といっても取材を受ける形でしたが、自分で原稿料をもらう形でエッセイも書き始めています。また、90年代の渋谷カルチャーの不良漫画の原作を書いたりもしています。「別冊ヤングチャンピオン」1月号からスタートした「センター~渋谷不良同盟~」で、7月にはコミック版が発売されたりもしています。チーマー時代の頃の話をベースにしていますが、「バンソン(VANSON)」のブルゾンに「ゴローズ(GORO’S)」のシルバーアクセをつけたり、「アルマーニ(ARMANI)」のVネックニットやエンジニアドブーツなど、ファッションのディテールにもこだわって表現しています。これからも音楽だけではなくて、もっと自由に、やんちゃに、いろいろなことに挑戦してみようかと思っています。