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主婦の友社買収のCCC なぜ経営に悩む出版社買収を続けるのか

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)傘下のカルチュア・エンタテインメントは15日、大日本印刷が保有する主婦の友社の全株式を取得し、子会社化したことを発表した。買収額は非公表だが、13日に日本経済新聞(以下、日経)が報じた内容によれば、数億円といわれる。「レイ(Ray)」や「ミーナ(mina)」「ジゼル(GISELe)」といった女性誌を発行する主婦の友社だが、同社ホームページによれば2017年3月期の売上高は86億円。仮に日経の報道が真実であれば、主婦の友社の収益性はかなり低いことが推察できる。CCCは主婦の友社のどこに魅力を感じたのか。

 CCCはこれまでも、複数の出版社を子会社化している。12年の趣味系雑誌を多くかかえるネコ・パブリッシング買収をはじめ、14年に阪急電鉄傘下の阪急コミュニケーションズから出版事業を買収。「ペン(PEN)」や「フィガロ(FIGARO)」などは現在、子会社のCCCメディアハウスが発行している。また、15年には民事再生手続を経て事業再建を目指していた美術出版社を買収した。同社は「美術手帖」を手がけるアート系の老舗専門出版社だ。今年に入ってからも、13年から資本業務提携をしていた、アニメ業界に強い徳間書店を買収したばかり。

 子会社を見る限り、必ずしも好調な出版社ばかりを買収しているわけではないようだ。しかし、それぞれの出版社が得意とするジャンルは趣味からラグジュアリー、アート、アニメ、主婦層までかなり幅広い。さまざまな分野のコンテンツを自社で持つことで、「蔦屋書店」に代表される書店事業の店頭活性化を行うことが最大の目的とみられる。例えば、店頭でアニメのポップアップやイベントを行う際には、徳間書店が持つコンテンツ力を生かせるはずだ。

 また、出版事業におけるコンテンツ制作から販売までを自社で一気通貫で手掛けることで、余計な中間コストをなくした新しい出版流通を構築するとも考えられる。ここでは、取次業者を介さないことが話題となったアマゾンなどの新興勢力に対抗する狙いがある。しかも、CCCには6000万人以上が持つTカードの顧客情報がある。出版社だけではできなかった、販売データを活用したコンテンツ作りも可能になる。

 これら新たな出版事業のあり方を模索する上で、CCCには幅広いコンテンツ力が欠かせない。そのためには、各業界に特化した複数の出版社と手を組むことが必要だ。今回、主婦の友社を買収したことで、これまで同社が持たなかった主婦層に特化したコンテンツ力を手にしたことになる。しかも、少ない資本で買収できるのであれば、両社にとってメリットのある取引になったはずだ。

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