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バイヤーが語る2020年春夏のリアルトレンドVOL.4 リステア柴田麻衣子編 「“第3国”のバッグブランドがアツい!」

 2020年春夏ウィメンズの買い付けが一段落する時期を迎えている。海外コレクションでは、“ネイチャー”や“セブンティーズ”などの要素がシーズントレンドとして浮上したが、実際に日本の街で広がりそうなスタイリングやアイテムはどんなもの?連載最終回となる4回目は、リステアのクリエイティブディレクターであり、独自のスタイルに海外からも注目が集まる柴田麻衣子に聞いた。

WWD:20年春夏シーズンの買い付けを終えて、気になった要素や傾向は?

柴田麻衣子リステア クリエイティブディレクター(以下、柴田):“バック・トゥ・ザ・ルーツ”のムードが気になりました。ここ数年、ストリートの方向に振れていた「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などが、ブランド本来の強みであるエレガンスに立ち返っています。「バレンシアガ」のラストのクリノリンドレス、(ボーンを入れたままだと)座れないし車も乗れないのでリステアでは買いませんでしたが、価格は130万円前後と意外とリアリティーがある。「バレンシアガ」は3D計測を駆使したモノ作りなどもしていますし、原点に戻るとはいっても、ただ古いというのではない点がポイントです。「ヴァレンティノ」は、シャツ生地でクチュールのように繊細なプリーツやラッフルを表現していましたが、実はあの商品、コットン地なので価格は抑えめなんです。実際に売る商品はボリュームも少し抑えていました。そういった戦略もとてもうまいと感じます。“1970年代調”“フレンチシック”など、さまざまなトレンド要素はありますが、全体的にオリジンに立ち返るというムードを強く感じましたし、注目しています。

WWD:ストリートからのエレガンスへの回帰はここ数シーズンいわれている。実際に店頭でもそういった動きはあるか。

柴田:まだ過渡期だとは思います。(エレガンス回帰を象徴する)パンツスーツは、感度の高い層には既にストリートブームの頃のスニーカーやスエットトップスのような勢いで売れています。とはいえ、多くのお客さまにはまだまだこれから。パンツスーツを提案をし続けてはや数シーズン経ちますが、ようやくその流れがきそうだと感じています。パリコレなどの会場でも、スーツや三つぞろいなど、“きちんと服を着る”というムードが広がっていました。

WWD:印象的だったブランドは?

柴田:「飛び抜けてこのブランドに勢いを感じた、すばらしかった」というよりも、「いいブランドがたくさんあった」という印象のシーズンです。前述の「バレンシアガ」「ヴァレンティノ」もよかったですし、LVMHと提携して初めてのショーだった「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」の、“ブランド史上最高にサステナブル”なコレクションもよかったです。若手だと、「ロク(ROKH)」は成熟とブランドのオリジナリティーの両方を感じて印象に残っています。

WWD:バッグやシューズの傾向は?

柴田:バッグは“第3国”のブランドが面白いです。“第3国”という表現が正しいかは分かりませんが、フランスやイタリア、ニューヨークなどのファッションキャピタル発のブランドではなく、北欧やオランダなどのブランド。スウェーデンの「リトル リフナー(LITTLE LIFFNER)」のビッグトートやオランダ発の「ワンドラー(WANDLER)」のバッグはパリコレ中に非常によく見かけました。(消費者は、ラグジュアリーブランドなどがインフルエンサーに対して行う)あからさまなバッグのギフティングにもうへきえきしているんじゃないですか?それで、遊びがあって価格は4万円前後、高くても10万円で、さらにサステナブルという、こうしたブランドを求める傾向が強まっているんだと思います。以前は、これらのブランドはラグジュアリーを好む人には品質的に物足りない部分もありましたが、今はそんなこともありません。デザインでいえば、バッグは超ミニサイズと超ビッグサイズの二極化が引き続き進行中。シューズはスクエアトウが広がっています。

WWD:北欧はサステナビリティ先進国でもある。

柴田:例えば、デンマーク発のトータルブランド「ガンニ(GANNI)」を19-20年秋冬からリステアで販売していますが、すごく売れています。買いやす価格なうえにサステナブルな点が支持されている。サステナビリティに関してはラグジュアリーブランドもいろいろと仕掛けていますが、その下のゾーンの「ガンニ」のようなブランドも戦略を持ち、SNSなどを駆使しながら市場を広げています。いわゆるコンテンポラリーのゾーンを、こうしたブランドがどんどん取っていっている。サステナビリティに関しては私自身も初心者ですが、お客さまに(サステナビリティを)無理に強いるのではなく、選択肢として提示したいと考えていますし、お客さまも2つあるなら罪悪感の少ない方を選ぶ、といった傾向になっていると思います。