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鉄瓶から木工まで、北欧デザインと岩手の職人技が融合した「イワテモ」って?

 岩手から発信する新クラフトブランド「イワテモ(IWATEMO)」の発売記念イベントが5月24日、アルテック 東京 ストア(ARTEK TOKYO STORE以下、アルテック東京)で開催されました。同ブランドは、フィンランド人のデザイナーであるヴィッレ・コッコネン(Ville Kokkonen)とハッリ・コスキネン(Harri Koskinen)が岩手の職人らと協業し誕生しました。コッコネンは「アルテック」のデザインディレクターを務めた経験があり、コスキネンは「イッタラ(IITTALA)」のデザインディレクターを務める世界的デザイナーです。「イワテモ」は鉄器のケトルや磁器のテーブルウエア、木工の椅子から構成されており、2人のデザインの対比が面白いコレクションです。発売イベントのためにコッコネンとコスキネンが来日し、岩手からも作り手が参加したトークショーが行われました。

職人と共に歩んだ密度の高い2年半

 コッコネンは、「岩手の歴史や文化に触れつつ、地域に根付いた本当のモノ作りに携わった密度の濃いプロジェクトだ。過去の要素を残しながら、日本とフィンランドのテイストを入れて表現した」と話しました。多くの製品が大量生産される今、デザイナーにとってもその土地に根付いた職人技に触れられるということは、創作意欲につながるのでしょう。コスキネンは、「一人一人が同じゴールに向かってベストを尽くした特別なプロジェクト」と述べるなど、2人にとって感慨深い経験だったようです。このプロジェクトには約2年を費やし、その間、2人は年に何度も各工房を訪れました。トークショーでコッコネンは、「地元のおいしい日本酒がいつも私たちの士気を高めてくれた」と述べ、会場の笑いを誘いました。今年は日本とフィンランドの国交100周年ということもあり、デビューにふさわしい年だといえます。

 「イワテモ」の木製家具は岩泉純木家具が生産しており、価格はスツールが3万円程度、チェアが5万円程度です。一つ一つろくろで成形される磁器は陶來が手掛けており、1000円台~1万円程度、晩酌セットやさまざまなサイズの器がそろいます。三協金属による鉄瓶は3万8420円で、6月3日までアルテック 東京で全コレクションが販売されます。

地方から世界へ向けて発信

 「イワテモ」をプロデュースしたのは地元岩手県の企業モノラボン(MONOLABON)です。“モノラボン”とは、モノ作りを通して革新を起こすラボラトリーという意味で、岩手県の小さな工房と海外のデザイナーをつないでブランドを立ち上げる活動を行っています。同社が目指すのは日本国内での販売だけでなく、海外へ輸出する仕組みをつくりグローバルブランドに育てることです。工房メンバーや地場産業を支援する経営者、通訳翻訳者、酒造会社の経営者などで結成し、技術支援は、岩手県工業技術センターが行っています。工藤昌代モノラボン社長兼最高経営責任者(CEO)は、「岩手は冬にモノ作りが盛んな地方。小さな工房が独自で海外進出するのは難しいので、会社を立ち上げた」と言います。彼女は、「ストックホルム・デザイン・ウイーク(STOCKHOLM DESIGN WEEK)」の主催者を通じてコッコネンとコスキネンの2人に出会いました。「モノ作りは地方にあると話をしたところ、2人と意気投合して一緒に工房を回りました。そして、彼らからブランドを立ち上げようと言われ、お互いに岩手ガールズ、岩手ボーイズと冗談を飛ばしながら、思いを重ねてたどりついたのが『イワテモ』ブランドです」と工藤CEOは語ります。今後は、漆器やテキスタイルにも広げていきたいとのことです。