ファッション

2大代理店に聞く「雑誌に期待することは?」-電通編-

 ほかのメディアにはない雑誌の持つ強みとは何なのか?普段、あらゆるメディアに携わっている電通と博報堂DYメディアパートナーズの2社に、改めて雑誌の可能性について尋ねた。読者と深く向き合っているからこそのマーケティング力を生かした事例から、雑誌ならではのプロデュース力が見えてくる。

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雑誌の強みを生かした新たなマネタイズを模索
前田淳子/電通MCプランニング局 統合プロデュース推進部部長

 前田淳子・部長が所属するMCプランニング局が抱えるメディアは、雑誌だけに限らない。広告主が抱える課題に対し、テレビや新聞、ラジオを始めとする数あるメディアの中から最適なものを選び、プランニングを行なう。「これまでは1社に対してメディアごとに動きがばらついていたが、一部署に集約したことで、効率良く戦略を立てられるようになった」と前田部長。各メディア部署から集まったベテラン勢とともに仕事をする中で、前田部長が改めて気付いた雑誌の強みは、ターゲットメディアならではの「マーケティング力」と「読者インサイト(洞察)力」だった。

 特に反響が高いのは、雑誌編集長をプロデューサーに起用した商品開発やプロモーションだ。例えば、ハウスメーカーの三井ホームが2012年、共働き夫婦で子どもを持つ家族をターゲットにした二世帯住宅新商品を開発した際、読者層が合致する「ヴェリィ」(光文社)の今尾朝子・編集長を結びつけた。誌面作りにおいて読者へのヒアリングを徹底する今尾編集長の知見の広さを生かし、“ワーキングマザーが喜ぶ11のストレスフリーポイント”などを提案。誌面でもプロモーションを掲載した。「相手は、これまでファッション雑誌に出稿したことがない企業がほとんど。編集長の顔も名前も知らないことが多い。『ヴェリィ』の事例では、今尾編集長のプロモーションビデオを社内で制作。彼女の過去の実績と抜群の読者インサイト力を伝えるプレゼンテーションに生かしている」。

 テレビと雑誌を連動させたコンテンツ作りも行なっている。トヨタ自動車のコンパクトカー 「パッソ」のプロモーションの一環で、CMの世界観と「ハナコ」(マガジンハウス)5月22日号の特集を連動させた。さらには、今夏公開予定の3DCG映画の「STAND BY ME ドラえもん」ともコラボレートし、「パッソ」CMで登場する「ドラえもん」の人気キャラクターのしずかちゃんが「ハナコ」5月22日号の表紙を飾った。「マガジンハウスは、コンテンツのクリエイションの高さと、半歩先を行くムーブメント開発力が強み。広告主の課題はどんどん高度に複雑化している。メディアを枠として買うだけの時代ではなくなった。コミュニケーションをデザインしていく中で、雑誌の持つ特性をよく理解し、なぜ『ヴェリィ』なのか、なぜ『ハナコ』でなければならないのかを明確にし、プランニングの軸を担うことができるようにしないと。幅広い転用方法の提案も心掛けている」と前田部長。

 「雑誌はダウントレンドといわれることもあるが、強みはたくさんある。テレビなどは制作会社を別に設けることが多い中で、作り手(編集長)と一緒にコンテンツ作りができるメディアも珍しい。広告主と作り手の間に生まれる“絆”も、日本ならではだ。こうした雑誌の個性を生かして、ビジネスを広げていく」と語った。

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