「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へのオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事は2026年5月25日号からの抜粋です)
浸透がいい……言うまでもなく、これはスキンケア化粧品、最大のキラーワード。美容メディアもインフルエンサーも一般消費者も、化粧品を評価する時、何が何でもまずこのフレーズを掲げる。インフォマーシャル的なPRでも「あぁ、これ浸透いいですね。入っていく、入っていく」が常套句となっていたりする。逆に言えば、いまや他に言いようがないほど、化粧品のクオリティーを一言で言い当てる要素だからに他ならない。
でも改めて思うのは、浸透がいいって、そもそもそんなにすごいことなのか?ということ。いやもちろん、浸透は化粧品の命。入っていかなければ意味がない、ただそれが必要以上の浸透信仰を生んでしまっているのではないか? じつはそう思ったのも、長年愛用していた名品がリニューアルによって浸透を進化させたことで、なんだかつまらなくなってしまうケースが多々見受けられたから。
もともと浸透が悪いわけではないテクスチャーの浸透感を高めたことで、あまりにもするっと入って、アッという間になじみ、何もなくなってしまうような感覚が、お手入れの達成感も奪ってしまうという、皮肉な結果になりがちなのだ。浸透が良くなればなるほど、満足度が高まるという消費者の期待も裏切られることになる。
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