
「ピルグリム サーフ+サプライ(PILGRIM SURF + SUPPLY)」(以下、ピルグリム)は6月8日まで、米アーティストのビル・セレン(Bill Thelen)による個展「RISE UP」をピルグリム サーフ+サプライ 東京で開催する。刺しゅう作品やドローイング、ペインティング、ジンなど、多様な表現を通して“立ち上がる”という行為を問い直す展示だ。
日本での知名度は決して高くない。しかし、ピルグリムが今ビル・セレンを招くことには、明確な理由があった。
バリー・マッギーらとも交流がある“知る人ぞ知る存在”
ビル・セレンは、ノースカロライナ州ローリーでギャラリー「LUMP Gallery」を主宰しながら活動してきたアーティストだ。バリー・マッギー(BARRY McGEE)をはじめ、アメリカのカルチャーやアートシーンにおいて重要な作家たちと古くから交流し、グループショーなども開催。一方で、自ら前に出ていくタイプではなく、日本ではまだ広く知られた存在ではない。
しかし、その作品は極めてラディカルだ。近年では、米移民税関捜査局(ICE)を巡る社会問題に切り込んだ「FUCK ICE」シリーズなど、社会や政治への強い視点を持った作品も制作。風刺性を含みながらも、一方的なメッセージではなく、“考える余白”を残す表現が特徴だ。
「ピルグリム サーフ+サプライ」との出会いは?

ピルグリムとの関係は、ピルグリム サーフ+サプライ ファウンダー クリス・ジェンティール(Chris Gentile)が展示を行ったギャラリーを通じてビル・セレンと出会ったことから始まった。進取的なアーティストたちが集まるコミュニティーの中で交流を深め、その後も関係を継続。さらにピルグリムが、パリで行った展示でビル・セレンが壁面インスタレーションを手掛けたことが、ピルグリムのジャパンチームとのつながりのきっかけになったという。
そして今回、ビル・セレンにとっては初来日となる。「日本でショーをやるのが夢だった」という本人の思いを受け、ピルグリム サーフ+サプライ 東京での開催を決定した。60歳という節目での来日でもある。
「RISE UP」に込めた静かな抵抗
今回の個展のタイトルは「RISE UP」。ただし、その言葉は単純な反抗やアジテーションではない。ピルグリムは、「不安定さや緊張感が増す現代において、自分自身の視点を持ち、どう世界と向き合うかを問いかける展示」だと説明する。
背景には、ビル・セレンがこれまで制作してきた社会問題を巡る作品群がある。特にICE問題に向き合った表現を踏まえ、“立ち上がる”というテーマを改めて現在の社会状況に重ね合わせた。それは誰かに対抗するための強い主張というより、自分自身や社会との関係性を見つめ直す態度に近い。
会場では、刺しゅう、マスキングテープ、ドローイング、ペインティングなど多様な手法を横断しながら、その感覚を提示する。
2000年代初頭のムードを落とし込んだTシャツも
展示に合わせ、ビル・セレンとのコラボレーションTシャツも制作。チェーンステッチによる2000年代初頭のムードを取り込みながら、「RISE UP」のメッセージをビル・セレン自身の手書きでデザインに落とし込んだ。
また、過去にマスキングテープで制作したインスタレーション作品を、今回はプリント表現として空間やTシャツへ展開。ピルグリムの空間全体を使いながら、ビル・セレンの世界観を体感できる構成となっている。
個展詳細
開催期間:2026年6月8日(月)まで
開催店舗:Pilgrim Surf+Supply TOKYO
所在地:東京都渋谷区神南1-14-7
電話番号:03-5459-1690
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