ファッション

クリスチャン・ルブタン独占インタビュー�@: “デザインフィロソフィー?特にないけど、常に熱心でハッピーでいることかな”

 「クリスチャン ルブタン」の快進撃が止まらない。ラグジュアリーシューズマーケットが世界的な活況を呈する中、いまだ“一人勝ち”状態を続けている。今年ブランド設立20周年を迎えたクリスチャン・ルブタンに、クリエイションの背景からデザインの過程、女性の官能美の定義に至るまで話を聞いた。WWD JAPAN.COMでは3回に分けて独占インタビューをお届けする。



WWD ジャパン(以下、WWD):デザインにおけるフィロソフィーは?


クリスチャン・ルブタン(以下、CL):特にこれといった創作哲学があるわけではないが、唯一言えることは、常に熱心でハッピーであること。自分がハッピーであれば、デザインも自然とハッピーになる。僕の靴を履いてくれている女性もそこを感じ取ってくれていると思う。


WWD:あなたのデザインには、常にパリのエッセンスが見受けられる。ムーラン・ルージュやクレイジー・ホースなどのキャバレーの雰囲気が。


CL:私はパリで生まれ、ショーガールやミュージックホールが好きだし、パリに住んでいれば、それが普通だと思う。ムーラン・ルージュが最盛期を迎えたのは1920年代だが、ミュージックホールが誕生したのは1880年代後半から1900年代にかけて、(「ムーラン・ルージュ」のポスターなどを描いていた画家でポスターを芸術の域まで高めた)ロートレックが描いたパリのキャバレー文化が存在し、それらを見るために人々が世界中からパリを訪れた。100年以上にわたり、パリはそのエッセンスとともに、文化の発祥の地となっている。


WWD:今年3月には、クレイジー・ホースの企画プロデュースも手掛けたが。


CL:クレイジー・ホースとほかのキャバレーとの違いは、唯一20世紀後半のエッセンスが存在していること。ショーの内容もどこかパノラマっぽい映画的な雰囲気が漂っている。1952年に創業した当時から先進的なショーを演出していたし、60年代の独特な空気を先取りしていた。劇場自体の規模も小さくて、演出のディテールにこだわれる点も魅力だった。ほかのキャバレーのショーは、1900年代から50年代にかけての20世紀前半の文化だけで成り立っている。ショーガールの雰囲気やフレンチ・カンカンといった音楽的要素も含んでいる。


WWD:パリのギャラリー・ヴェロ・ドゥダにある店は、フォリー・ベルジェール劇場(1890年代から1920年代まで絶大な人気を得ていたキャバレーで、現在は改装中)を思わせる雰囲気だが、あなたがフォリー・ベルジェールでキャリアをスタートしたこととの関係している?


CL:その通り。17歳の時に、フォリー・ベルジェール劇場の見習いとして働き始めた。あのギャラリーにある店舗を手に入れたのは、全くのアクシデントだった。ハッピーな意味でね(笑)。あのショップがなかったら、私は自分の会社を立ち上げていなかったであろう。あのギャラリーの印象は人によって様々だと思うが、私にとっては50年代のハリウッド映画のようなムードを醸し出している。小さなコンドミニアムのヴィレッジのように、隣近所同士がお互いに寄り添っているようだ。

 

27歳という若さで会社を立ち上げた私にとって、この小さなソサエティでの居心地が良かったし、パサージュ(通路)の雰囲気も大通りにあるショップより自分のブランドに見合っていた。あのパサージュは19世紀初めに造られたパリで最も美しい建造物の一つ。パリ市内のほとんどのパサージュは1850年代から1880年代にかけて造られたものだけど、ここは1811年に建てられて、大切に保存されてきた場所だから。

 

■クリスチャン・ルブタン 独占インタビュー 
�A: "履いた時に美しくなければ採用しない。自分のデザインよりも女性への敬意を尊重している"

�B: "僕は古代エジプト文明のようだよ。変わらないことを好むから(笑)"

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