ファッション

注目の若手「ジャックムス」のクリエイションの秘訣

 「WWDジャパン」6月2日号では、今知っておくべきニューカマー45組を紹介している。その中でも、弊紙がイチオシするブランドの1つが「ジャックムス(JACQUEMUS)」だ。デザインを手掛けるサイモン・ポート・ジャックムス(SIMON PORTE JACQUEMUS)は、ファッションデザインを専門的に学んだ経験こそないが、19歳でブランドを設立。2013年春夏からはパリ・ファッション・ウィークの公式スケジュールでコレクションを発表している。今回初来日したサイモンに独自のクリエイションについて聞いた。

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------19歳でブランドを立ち上げた背景は?
 18歳で故郷の南フランスからパリに出てきて、エスモードに入学したが、その直後に母が亡くなった。そのときになぜかわからないけど、自然に"準備はできた。自分の本当にやりたいことがわかった"と感じたんだ。だから、学校をやめてブランドを立ち上げることを決めたよ。

------そして、21歳のときにパリコレの公式スケジュールでランウェイデビューした。
 最初のショーの予算はなんと3000ユーロ(約41万4000円)。しかも、ショーの3週間前にやろうと決めたんだ(笑)。自分の勢いとやる気、そしてたくさんの人の助けがあって実現したショーは、決して完璧ではなかったけど、やり遂げたことに大きな意味があると思う。

------クリエイションにおいて1番大切にしていることは?
 ファッションで1番重要なのは、"ひらめき"。だから、クリエイションは計画的に行なうというより、発想を大切にしているよ。

------では、実際どのような過程でコレクションを生み出しているのか?
 コレクション制作は、頭の中でストーリーを思い描くところからスタートする。それを子どもの落書きのようなドローイングで具現化して、パタンナーがサンプルを制作。それを自分で着てみながら仕上げていく。サンプルのサイズがかなり大きめになるのが難点だけどね(笑)。でも、僕にとってはアイテムが着た時にどんな風に見えるかを知る1番いい方法だよ。そんなプロセスで作っているから、普通のデッサンからでは生まれない建築的なフォルムやユニークなディテールのアイテムなるんだ。

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2014-15年秋冬コレクション

 

------亡くなった母の存在は、今もあなたやブランドに影響を与えている?
 何よりも「ジャックムス」の核になっているのは、僕の母親。ブランド名は母親の姓だし、毎シーズンのコレクションも母に捧げているようなもの。コレクションで描くストーリーも母や生まれ育った南フランスにまつわることが多い。そもそも母の死がなければ、今の自分はここにいない。元気だった母が突然亡くなったように、未来は誰にもわからないからこそ、今やりたいと思ったことをやるのが大事だと思う。

------「コム デ ギャルソン」で働いていたと聞くが、その経験から学んだことは?
 昨年の11月まで約2年間、「コム デ ギャルソン」で販売員として働いていた。働くまで「コム デ ギャルソン」には、まったくと言っていいほど思い入れがなかったけど、実際に働いてみて、共感する部分がとても多いことに気づいた。川久保玲のクリエイションからは、常に革新的であることや自分の信じたことを貫く姿勢を学んだよ。

------プールやゲームセンターを会場に選んだり、観客に白い割烹着のような服を配ったりと遊び心のあるショーを行なっているが、あなたにとってショーとは?
 ショーのキーワードは"スマイル"。ルックブックと違い、特別なエネルギーを伝えられる場所だから、みんなが楽しんで、いいエネルギーが生まれたら最高だね。プール(2013-14年秋冬)、ゲームセンター(2014年春夏)と一風変わった会場でショーを行なってきたが、今季(2014-15年秋冬)は、よりコレクションにフォーカスするため、真っ白な会場を選んだ。観客みんなに同じ白い服を配ったのは、みんな一緒という雰囲気を作りたかったから。会場にも馴染んで、コレクションの一部のように見えるしね。また、ショーでは、スタイリングもすべて自分で手掛けている。自分の作ったコレクションの合わせ方がわからないなんて、僕には理解できないね。

 

2014年春夏コレクション

 

------今後のヴィジョンは?
 自分の好きなスニーカーを作ったりもしたいけど、まずは今やっていることを突き詰めて、より明確な「ジャックムス」ガールを描いていきたい。でも、もし自分の作りたいものがわからなくなるようなことがあれば、その時はきっぱりファッションデザイナーをやめるよ(笑)。

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知らなきゃマズい!未来のスター45組の詳細は「WWDジャパン」6月2日号でチェック!

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