サステナビリティ

廃棄カカオ殻が鉛筆とアートに CLOUDYと三菱鉛筆が原宿で描いて学ぶ体験型展覧会

NPO法人CLOUDYとDOYAは、三菱鉛筆の協力のもと、アフリカ・ガーナ共和国で廃棄されているカカオの殻を鉛筆へと再生させるプロジェクト「チョコペン(CHOCOPEN)」を始動。プロジェクトのローンチにあわせて、東京・原宿のアンノン原宿で、参加型イベント「ゴミと鉛筆とアート展」を5月2日(金)から10日間限定で開催する。

同プロジェクトは、食用部分のみが使われた後、廃棄物として放置されているカカオの殻に着目。その殻を回収・洗浄し、現地雇用と技術指導を通じて鉛筆へと再生する取り組みだ。鉛筆はそのまま現地の子どもたちの文房具支援にもつながる。日本では同鉛筆を用いたアート展を通じ、環境問題や教育支援に対する来場者の理解と参加を促す。

CLOUDYによると、日本に輸入されるカカオ豆の約8割がガーナから輸入されている。また、ガーナで年間80万トンが生産・出荷されるカカオの75%が殻であり、使い道がなく廃棄され、ゴミの山を作っている。路上などで日常的に廃棄されているカカオの殻は単なる“ゴミ”の問題にとどまらず、有機廃棄物としての蓄積、地域社会や生態系への有害な影響といった課題につながっているという。こうした背景を踏まえ、同プロジェクトはカカオの殻を“問題”から“資源”へと再定義するため、アートを通じてまずは気づきを得てもらうことを狙いとしている。

来場者が“描いて関われる”インクルーシブな展覧会

同展では日本とガーナのアーティスト計36名が「チョコペン」を用いて制作した作品を展示。売り上げの一部は、ガーナの教育支援に寄付される。また、高さ2.7m、幅8mの白い壁が会場に設置され、来場者は用意された筆記具で自由に描くことができる。アートが“観る”ものから“創る”ものへと変える試みだ。さらに、会場で鉛筆を購入すると、同じ数の鉛筆がガーナの子どもたちに届けられる「ワン・フォー・ワン」形式を採用している。

初日の2日は、銅冶勇人DOYA・CLOUDY代表と数原滋彦三菱鉛筆社長がトークイベントを開催。本プロジェクト以外にも雇用・教育・健康を軸に主にアフリカのガーナ・ケニアにて支援活動を展開している銅冶代表は「フェアトレードという言葉は浸透してきたが、それが本当に“フェア”かどうか、使う側の私たちが考えることも含まれている。メーカーや流通だけの責任にせず、自分ごととしてとらえてほしい」と強調した。また、数原社長は今回のプロジェクトは、通常の製品開発よりもはるかにハードルが高かったと振り返る。「正直、社内でも“本当にできるのか?”という声もあったが、だからこそ、チャレンジする価値がある」などと話した。開発にあたっては現地で、現地調達の素材に日本の製造技術を組み合わせて実現した。現在、「チョコペンシル」の生産に関わる雇用は、ガーナの農家10人、工場勤務2人、チームメンバー3人の計15人で、今後も新たな雇用の創出を目指している。

参加アーティスト

森本啓太(KOTARO NUKAGA)/ 友沢こたお / 大和美緒(COHJU)/ 熊谷亜莉沙(ギャラリー小柳)/ 古武家賢太郎(MAHO KUBOTA GALLERY )/ Atsushi Kaga(MAHO KUBOTA GALLERY )/ 三瓶玲奈(Yutaka Kikutake Gallery)/今西真也(nichido contemporary art)/ 山本亜由夢(MAKI Gallery)/ ユーイチロー・E・タムラ(KOTARO NUKAGA)/ 井上七海(KOTARO NUKAGA)/ 小林万里子(KOTARO NUKAGA)/ 松川朋奈(KOTARO NUKAGA)/ 川井雄仁 (KOTARO NUKAGA)/ 木津本麗(KOTARO NUKAGA)/ マイケル・リキオ・ミング・ヒー・ホー(KOTARO NUKAGA)/ 寺本明志 / 熊野海 / 飯川雄大 / 川村摩那 / 品川美香 / 南依岐 / 米村優人 / 三浦光雅 / 東慎也(COHJU)/ 小左誠一郎(Yutaka Kikutake Gallery)/ 金田実生(ANOMALY)/ 津上みゆき(ANOMALY)/ 淺井裕介(ANOMALY)/ 潘逸舟(ANOMALY)

ガーナから参加するアーティスト

Edmund Boateng / George Ohene Gyamfi / Desmond Agbenyo Dawfor / Emmanuel Fynn / Simson Ackah/ Francis Quainov

■ゴミと鉛筆とアート展

日時:2025年5月2日(金)〜5月11日(日)
時間:5月2日(金)14:00〜18:00、5月3日(土)〜5月11日(日)11:00〜19:00
会場:アンノン原宿(UNKNOWN HARAJUKU)
住所:東京都渋谷区神宮前6-5-10
入場料:無料

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

良質な睡眠こそ、最大の攻め! 拡大する睡眠市場を追う

「WWDJAPAN」5月12日号は睡眠について特集しました。皆さんは十分な睡眠がとれていますか?人生の3分の1程度を占める「睡眠」ですが、研究されるようになったのは、1920年代とされており、まだまだ謎だらけの領域です。しかし、その効果や役割についてさまざまなことが分かっており、良質な睡眠は、心身を健康にし、仕事のパフォーマンスにも好影響を与えるとされています。効率よく良質な睡眠をとることの大事さ…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。