王子ネピアが化粧品事業に参入する。主力ブランドの「鼻セレブ」からスキンケアライン“ネピア 鼻セレブ スキンリズム”を立ち上げ、第1弾は洗顔石けん“モイストクリアバー”(75g、2530円)とクレンジング石けん“モイストクレンジングバー”(75g、3300円)を3月14日に発売する。公式オンラインストアから取り扱いをスタートし、2026年をめどにバラエティーショップやドラッグストアでの展開も視野に入れる。
今回のスキンケアラインは、同社にとって初のスキンケア事業となる。王子ネピアの森平高行社長は「さらなる企業価値の向上を目指し、家庭紙にとらわれない新たな製品ラインアップ拡充への挑戦」と話す。「スキンケア事業は今後も継続的な市場拡大が見込まれるだけではなく、家庭紙という肌に触れる製品を扱ってきた当社事業との親和性が高い領域。当社ならではの品質の追求のみならず、森林資源の活用や木質成分の開発を通してグループ内で得られた新たな技術や知見などのシナジーも積極的に取り入れる」と続けた。
王子ネピアが展開するティッシュやトイレットロールなどの生活日用品ブランド「ネピア」は、王子グループの売上高(23年度)の40%を占める。昨今、同グループは全体で企業価値の向上を目指して新規事業の立ち上げや事業ポートフォリオの見直しを実施。24年9月には、少子化などが遠因し国内子供用オムツの生産を終了した。
「鼻セレブ」は鼻から肌へ
「鼻セレブ」は、1996年に発売した「ネピア モイスチャーティッシュ」のリニューアルブランドとして04年に誕生した。23年3月には洗顔用ペーパータオル“ネピア 鼻セレブ洗顔専用”を発売。想定を超える反響を得たことがスキンケア事業参入の布石となった。
また、王子薬用植物研究所がカンゾウの大規模栽培に成功したことで、「鼻セレブ」ブランドと国産カンゾウを融合したスキンケア製品の開発がスタートした。こだわりの成分を安定的に配合することができ、チューブやポンプタイプと比べて容器・包材のプラスチック使用量も削減できる固形石けんに着目した。
洗顔ソープバーは、泡立てると糸を引くような粘りが出る“とろみ泡”が特長。きめ細かい柔らかい質感の優雅な泡で、摩擦レスで肌をケアしながら洗うことができる。優しい使い心地にこだわった。“モイストクリアバー”には国産カンゾウエキスとツボクサエキスを配合し、毛穴ケアをしながら透明感のあるしっとり肌に導く。香料は無添加。“モイストクレンジングバー”は国産カンゾウエキス、炭、クレイを配合し、保湿しながら古い角質もメイクも洗浄する。ハーブと野の花の自然な香りを採用した。
共通して配合する国産カンゾウエキスは、王子グループの王子薬用植物研究所が北海道で栽培したカンゾウを使用した。現在供給されている大半は、海外産が占める中で、同グループが手掛ける国産カンゾウはサステナブルな栽培品であり、苗の育成から乾燥まで一貫して品質管理が行われるため、トレーサビリティも担保。アップサイクル原料を積極的に採用し、容器・包材のプラスチック使用量削減にも注力している。
デビューに際しプロモーションは、「製品の良さは試してみないと分からない」という考えから、リアルに体験する場やイベントの実施に注力。3月8〜17日には「愛でたい鼻展」を東京・原宿のdotcom spaceで開催し、先行販売とタッチアップを実施する。
今後はカンゾウをキー成分としたスキンケアやインナーケアアイテムなどに製品ラインアップを拡充する予定だ。「スキンケア事業は当社の成長戦略を担う」と注力し、10年後のスキンケア事業の売り上げ規模は100~150億を目指す。