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“諭吉コスメ”は“栄一コスメ”になる? 「アットコスメ」や「スック」など4社に聞いてみた

「1万円超えるコスメを“諭吉コスメ”と呼んでいたけれど、今後は“渋沢コスメ”か“栄一コスメ”になるってことかな?」。

Xで見かけたつぶやき。旧1万円札の肖像画が福沢諭吉だったことから、1万円を超える高価格帯コスメは“諭吉コスメ”という愛称で親しまれていたが、新札が渋沢栄一になった今、今後はどのような名で呼ばれるようになるのか。今後の動向や見解をメディアや化粧品ブランド各社に聞いてみた。

「アットコスメ」

WWD:“諭吉コスメ”改め、今後はどんな名前で浸透すると思いますか?理由も教えてください。

西原羽衣子 「アットコスメ」 リサーチプランナー(以下、西原):“栄一コスメ”ですかね。口コミサイト「アットコスメ」でいまだに“栄一”よりも“諭吉”の出現が多いことからまだ時間はかかるかと思いますが、1万円札=渋澤栄一のイメージが定着するにつれ、将来的には“栄一コスメ”の呼び名が浸透するのではないでしょうか。

WWD:実際に“栄一コスメ”といったキーワードの増加傾向はありますか?また、投稿数は何件あるのでしょうか?

西原:「アットコスメ」の口コミにおける“栄一”の出現率は徐々に増加しており、この半年で30件程度(購入品のクチコミに限る)使われています。

一方、“諭吉”は“栄一”の7倍以上(直近半年間、購入品のクチコミに限る)出現しており、1万円超えの高額のコスメのことを“諭吉コスメ”と言い表す人のほうが未だ多く見られます。ただし、新紙幣が発行された2024年7月を境にその出現は半減しています。

「LDK the Beauty」

WWD:“諭吉コスメ”改め、今後はどんな名前で浸透すると思いますか?理由も教えてください。

井上生智「LDK the Beauty」副編集長(以下、井上):物価高騰、低価格帯コスメのクオリティーアップに際し、“諭吉コスメ”自体のパワーが薄れていくと予想。呼び方が分散もしくは廃れていくのではないかと考えています。

物価の高騰に関しては外資、国内ブランド問わず値上げの傾向にあり、市場調査をしていても1万円に近い価格帯のコスメが増えたように感じます。以前は「諭吉コスメといえばコレ!」という代名詞的な製品がありましたが、今後はそのようなことが少なくなっていくのではないでしょうか。

また、日々検証をしている立場としては、いわゆる「プチプラコスメ」のクオリティーが年々上がっており、「デパコス」と遜色ないレベルのアイテムが増えていることも理由として挙げられます。

そういった点から、1万円越えのコスメに対する特別感が希薄になるのは自然な流れではないかと感じます。

「スック」

WWD:「スック」といえば、“諭吉ファンデ”の愛称で親しまれている“ザ ファンデーション”(旧:ザ クリーム ファンデーション)が有名ですが、今後は“栄一ファンデ”といった名称で浸透しそうでしょうか?

横山愛里「スック」PRコーディネーター(以下、横山):“ザ ファンデーション”は“諭吉ファンデ”のままで呼ばれ、“栄一ファンデ”は浸透しないと考えます。理由としては、2023年9月に“ザ クリーム ファンデーション”から“ザ ファンデーション”にリニューアルした際に、価格が1万円(税抜)を超えて、1万3千円(税抜)になっても“諭吉ファンデ”として親しまれているくらいに浸透しているため、今後も変化することはなさそうだなと思いました。

また、ブランドから“諭吉ファンデ”という言葉は一度も発信したことはないのですが、口コミから自然と生まれ、それまで「スック」を知らなかった方にまで広がりました。“諭吉ファンデ”と聞いてすぐに「あのファンデーションね!」と思い浮かぶくらいの代名詞となったことには、キャッチーなワードの影響力への驚きと共に、愛称が付くのはたくさんの方に認知されている商品ならではだと思うのでうれしく思っています。また、1万円を払うに値する商品だと認めていただいている証だとも思うので、ポジティブに捉えています。

WWD:“諭吉コスメ”改め、今後はどんな名前で浸透すると思いますか?理由も教えてください。

横山:“栄一コスメ”かなと思います。新札に変わってから約2か月後に発売した“ザ プライマー”(税抜で1万円)は、“栄一プライマー”、“栄一下地”などと呼んでいるSNSの投稿もあり、徐々に諭吉から栄一への変化が見られます。世の中が新札に慣れたころには、1万円超えのものは“栄一〇〇”という愛称がついていくのでは?と予想しています。

「エレガンス」

WWD:「エレガンス」の名品フェイスパウダー“ラ プードル オートニュアンス”が、“諭吉パウダー”と呼ばれていたと思います。

大城玲奈 アルビオン 経営企画部 広報グループ 広報担当(以下、大城):そうですね。店頭での接客の際には販売員も、お客さまも「諭吉」というフレーズを口にするケースは少なく、SNSを中心に“諭吉パウダー”と呼んでいただいていたと捉えております。

WWD:“諭吉コスメ”改め、今後はどんな名前で浸透すると思いますか?理由も教えてください。

大城:“渋沢コスメ”などでしょうか。“諭吉”というフレーズは語呂の良さも相まって、コスメ以外の領域でも親しまれていました。長い時間をかけて定着してきたように感じます。新札に切り替わってからはまだ半年ほどしか経っていないので、“渋沢”“栄一”というフレーズが浸透するには、もう少し時間がかかるのではないかと考えています。

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