PROFILE: 鈴木努/カンパニーエクゼクティブ プレジデント

スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニーが運営するライフスタイルストア「プラザ(PLAZA)」は、2024年2月にリブランディングし新たなスローガン「HEARTS UP!」を掲げた。26年の創業60周年に向けて、勢いをつける。
「プラザ」愛が強い社員とともに
さらなる可能性に突き進む
WWD:24年に最も注力したことは?
鈴木努カンパニーエグゼクティブプレジデント(以下、鈴木):2月に行ったリブランディングの浸透に注力した。26年に60周年を迎えるにあたり、もう一度、われわれの強み、存在意義、社会に対してやらなければならないことは何かを社員全員で考え、導き出したのが「HEARTS UP!」というスローガン。カンパニーステートメントを「日常の心拍数を上げる」とし、これを社内外の人にも伝えてきた。われわれはただモノを売るのではなく、製品や店舗を通してお客さまの心拍数を上げるお手伝いをする会社なんだ、という意識を共通して持つことを徹底した。
WWD:プライベートブランド(PB)の進捗は?
鈴木:8月に誕生したプラザ初となるスキンケアPBブランド「デュナミス」は、おおむね順調だ。今年はより一層販促・宣伝を強化し、売り上げを伸ばしていきたい。9月に発売したウエアブランド「レイジースタイルズ」も同様。シーンやジェンダーにとらわれず自分らしさを楽しむというコンセプトは今の時代に合っていて、こちらもプロモーションに力を入れ、将来的には単独出店や卸も考えている。
WWD:新規出店と売り場の改装が目立つ。
鈴木:24年度は新規8店と改装8店があり、どこも好調だ。既存店も売上高が前年比2ケタ増で伸び、全カテゴリー全エリアで前年を超えた。中でも福岡天神の地下街に10月にオープンした40坪ほどの店が絶好調だ。トラフィックの多い改札前という立地もあり、他店に比べて年齢層が幅広く、男性客比率も高い。これまでプラザは80〜100坪の店が多く、その規模での出店は新しい商業施設に限られていた。40坪程度であれば案件も増える。天神地下街の成功事例を参考に同様の立地に出店したい。
WWD:好調の要因は?
鈴木:それぞれの店舗に合わせたMDに組み直したことが大きい。渋谷109店は化粧品が強いので、それに特化した作りでポップでカラフルな内装にしたり、羽田空港店は旅行を意識したディスプレイにしたり。長年働いている店長やスタッフの声を吸い上げ、レジの位置や、ストックから店頭の陳列台までの導線を効率良くするなど、働きやすい環境を整えたことも大きい。お客さまに見える部分と見えない部分の両方の改善が功を奏した。「プラザ」愛が強いアルバイトや社員が多いのは大きな財産。その声に耳を傾けることはやる気になり、会社の成長につながる。
WWD:25年の計画は?
鈴木:昨年9月、大阪のりんくうプレミアム・アウトレット(以下、りんくう)に10年ぶりのアウトレット店を出店した。10年の間にアウトレットに対するお客さまの考えは、安いモノを買う場所からエンターテインメントプレイスへと変わった。実際、軽井沢プリンスショッピングプラザ店はプロパーがよく売れる。私たちはアウトレットを在庫処分の場ではなく新たなマーケットプレイスとして捉え、りんくう店も撮影スポットを作るなど、お客さまがワクワクする仕掛けを用意した。その成功を元に、今年はアウトレット売り上げ規模が大きい御殿場プレミアム店を改装する。
WWD:グループで「キャス キッドソン(CATH KIDSTON)」のビジネスもスタートした。
鈴木:輸入販売権とともにライセンス権も取得し、日本独自の企画商品にも力を入れる。1番強化するのはアパレルで、すでに販売するECでは手応えを感じている。他にもタオル・ハンカチ、食器、ファブリック、ペットグッズと幅広く展開する予定で、3割を直輸入、7割を日本企画商品で構成する計画だ。また、3月には路面店をオープンし、年内に3〜4店の出店を予定している。「キャス キッドソン」は年齢関係なく愛される世界観を持つ。その人たちのライフスタイルに寄り添うブランドにしていきたい。
WWD:25年は新プロジェクトがめじろ押しだ。
鈴木:24年11月にブランドサイトとECサイトを統合し、12月にはアプリをリニューアルした。引き続き利便性のいい場所に130店舗を構えることを生かしたOMOを強化し、お客さまの買い物の煩わしさを解消する。また、2月にはルミネエスト新宿で「ケアベア™」のポップアップイベントを開催する。これまでも製品を並べたボップアップはあったが、よりエンタメ性のあるショップになるので期待してほしい。「プラザ」はほかにも「バーバパパ」や「スポンジ・ボブ」など魅力的なキャラクターの国内ライセンスを持つ。これらのオフィシャルストアは今年中に挑戦したい。
WWD:業績が絶好調の中、見えてきた課題は?
鈴木:1番は人材の確保。中途でも採用していき、業績が好調なことから昨年はグループ全体で社員に還元した。社員からの海外出張申請に「NO」と言ったことはない。現地に行って何か持ち帰ろう、それを仕事や店に生かそうという気持ちと体験は何にも変えられない。そんな社員とともに、さらなる可能性に突き進んでいきたい。
実現の可能性はゼロじゃない私の夢
昔から人前に出るのは好きで、学生の頃はモデルになりたかった。アパレル勤務時代はファッションショーに出演したことも。役者も昔からの夢で、演技の経験はゼロだが、ぜひ挑戦したい。何でもジャンルは問わないし、もちろんノーギャラでOK!
1966年創立。スタイリングライフ グループの雑貨小売事業を展開する。同年、米国スタイルのドラッグストアとして、東京・銀座のソニービルに日本初の輸入生活雑貨店「プラザ」(当時ソニープラザ)第1号店をオープン。2024年2月、創業60周年を前にリブランディングを実施し「HEARTS UP!」を新たなスローガンとし、日常の心拍数を上げる「ライフモチベートブランド」へとアップデートした。現在は直営店事業、フランチャイズ事業、ライセンス事業を展開する