PROFILE: 藤田智美/社長

mshは2024年、10周年を迎えたミネラルコスメブランド「タイムシークレット」の新施策が奏功し、好調な年となった。シリーズ累計2700万本(08年9月〜24年11月)を突破した主力アイメイクブランド「ラブ・ライナー」はフランス進出を果たしたほか、「アットコスメ ベストコスメアワード2024」で殿堂入りを果たすなど勢いが衰えず、売上高の更新に貢献している。
銭湯やVTuberとの
コラボレーションを果敢に挑戦
WWD:売上高と利益が過去最高を達成した23年に対し、24年の実績は?
藤田智美社長(以下、藤田):「ラブ・ライナー」は22年にリフィル対応の製品にリニューアルし、話題を喚起した。リフィルが定着したことから24年は楽観視できなかったが、「タイムシークレット」が10周年を迎え、さまざまな施策を実施したことで多くのお客さまから支持を得て過去最高を更新できた。
WWD:「タイムシークレット」ではどんな施策を行ったか。
藤田:同じく10周年を迎えた5人組男性アーティスト、Da-iCEとコラボレーションした。男性アーティストと本格的にコラボするのは初めてで、撮り下ろしビジュアルを使用したオリジナルディスプレイとオリジナルパッケージを店頭展開したほか、渋谷駅では広告を掲出、東京と大阪ではラッピングバスを走らせた。また、10月10日からのキャンペーン初日が「銭湯の日」であることにちなみ、西新井にある創業80年の老舗銭湯「堀田湯」とコラボレーションし、暖簾や内装を「タイムシークレット」仕様にしたり、製品を試せるスペースを設けたりするなどして、5日間で2717人に来場いただいた。公式Xやインスタグラムのフォロワー数も2000以上増え、見込み以上の反響を得ることができた。
WWD:VTuberともコラボレーションした。
藤田:VTuberユニット「エデン組」のファン層との親和性が高いことから、「タイムシークレット」のフェイスパウダーと「ラブ・ライナー」のリキッドアイライナーでコラボレーションした。渋谷ではポップアップイベントと先行販売を行い、公式オンラインサイトでは受注販売をした。当社は以前「あんさんぶるスターズ!!」のKnightsとコラボレーションを行っており、推し活と紐づいた企画がファンの熱量や購買意欲に与える大きな影響を実感していた。今回もファンに喜んでもらえる企画を大切にしたいと考え、ビジュアルは本コラボレーション用に全て描き下ろしてもらった。製品に合わせてアイライナーが引かれているなどデザインが微妙に異なるように描いていただき、ファンが細かな違いを発見して楽しんでくれたようだ。受注販売にした結果、注文から手元に届くまでに半年ほどを要する形となったが、「転売の心配がなく安心して購入できる」と多くの顧客に好評を得た。
WWD:コラボレーションの効果とは。
藤田:どのブランドも時間と共にユーザーの年齢が上がり、新客獲得が課題になる。こうした施策を通してティーン向けの雑誌で話題にあがったり、若年層向けのベストコスメで賞をいただいたりで新客が流入している。

WWD:「ラブ・ライナー」は24年4月にフランスのル・ボン・マルシェに出店した。
藤田:本格参入は26年の春を目指すが、テスト期間として製品を知ってもらうことから始めている。フランスではアイライナーを使わない人も多いが、製品の説明を受けると複数本を購入する人も多い。フランスでのニーズを探りながら本格ローンチまでに調整する。アメリカとフランスに拠点があるクリエイティブエージェンシーと契約し、マーケットに入り込む狙いだ。日本の職人が作った筆など評価されている品質は変えずに、パッケージをローカライズする準備を進めている。
WWD:24年12月には公式オンラインサイトのリニューアルも行った。
藤田:これまで大手ポータルサイトで非公式の出品が見られたが、23年後半から転売出品者を排除して公式出店をスタートした。また、若年層の利用が多いQoo10にも公式ショップをオープン。ただ、やはり自社の公式オンラインストアは得られる顧客情報も多い。公式オンラインストア開設から時間もたち、ブランド数も増えてきたので操作性の改善のため、初めてリニューアルを行った。お客さまと直接コミュニケーションが取れる場所なので大切にし、自社で販売網を持っていることを生かしていきたい。
WWD:25年に見据える可能性とは。
藤田:25年は売り上げのコアになっている「ラブ・ライナー」をさらに強化していきたい。今はアイライナーが一番売れているカテゴリーだが、マスカラやアイブロウなどの製品も独り立ちできるように注力する。また、今春には2年以上温めてきた大きなブランドがデビューするので期待してほしい。24年から欧米へのチャレンジを掲げているが、当社の製品に限らず日本の化粧品はメード・イン・ジャパンとして世界に発信できるものだと感じている。そうした中で「ラブ・ライナー」を世界で通用するブランドに育てていきたい。
実現の可能性はゼロじゃない私の夢
健康あっての美容なので、正しい情報のもとに賢くエイジングできるように、ウェルビーイングとビューティを合体させた店を作りたい。日々の生活を快適にするためのサービスの提供や加齢の悩みなどを気軽に相談できる場所が理想だ。
2008年にアイメイクブランド「ラブ・ライナー」を立ち上げ、化粧品や雑貨の企画・販売、輸出入、海外ブランドの輸入代理を手掛ける。ミネラルコスメブランド「タイムシークレット」やニューヨーク発のスキンケアブランド「スーパーエッグ」など、現在8ブランドを展開。社名は「make someone happy(いつも誰かをハッピーに)」の頭文字から取り、幸せが循環する社会の実現を目指す
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