ファッション

TOKYO BASE、課題の中国事業は一級都市に集中 下半期に営業黒字化見込む

セレクトショップの「ステュディオス(STUDIOS)」などを運営するTOKYO BASE(谷正人・最高経営責任者CEO)は、2025年1月期を「今後の成長フェーズに向け収益基盤の磐石化を図る期」と位置付け、中国事業とEC事業の再建を重点課題に挙げた。

中国では認知度拡大を優先した大型店舗の出店をやめ、日本と同様に約99〜198平方メートル規模の店舗で一級都市(上海、北京、深圳、広州)に集中していく。25年1月期上半期までに不採算店舗の撤退を完了し、下半期には営業黒字化を見込む。

EC事業は、タイムセールやクーポンの配布が常態化していたことが課題だった。23年10月以降から廃止しているタイムセールは今後も行わず、クーポンを廃止してプロパー販売率を改善する。加えて全ブランドを統合し、他社も出店可能なECプラットホームの構築も構想しているという。

24年1月期連結業績は、売上高199億円(前年同期比4.2%増)、営業利益8億円(同309.8%増)、純損益3億円の黒字(前年同期は5億円の赤字)だった。日本・香港の実店舗はインバウンド需要で堅調に推移。なかでも19年にスタートした30〜40代向けにコンサバテイストを軸とした新業態「ザ トウキョウ(THE TOKYO)」が売上高同75.6%増と好調。20〜30代のトレンド層をターゲットにした主力事業「ステュディオス」、オリジナルブランド「ユナイテッド トウキョウ(UNITED TOKYO)」と「パブリック トウキョウ(PUBLIC TOKYO)」に次ぐ第四の柱に成長している。期末店舗数は83店舗。

25年1月期の連結業績予想は、売上高200億円、営業利益は過去最高益となる16億円、純利益7億円を見込む。

初の中期経営計画を策定 NY初出店も

併せて同社は、創業20期目にあたる2028年1月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。売上高は24年1月期比50%増の300億円、同240%増の30億円、営業利益率10%増を目標値に定めた。

谷CEOは「人々の潜在ニーズを満たす顧客感動を届けるのが私たちの仕事。日用品には手を出さず高品質・高価格の嗜好品市場での成長を目指す」と前置きした上で、世界の主要10都市を視野に日本製商品を届けていきたいと話した。また将来的には国内デザイナーズブランドを含めたM&Aでポートフォリオを広げる。

皮切りとして24年5月初旬には米ニューヨークに初出店する。ソーホー地区のオープニングセレモニーの跡地で、売り場面積は約231平方メートル。「蓋を開けてみないとどんな人たちが集まるかわからない。まずは現地に送る日本人スタッフ3人に任せ、彼らが売れる自信のある商品を並べてもらう」。

「顧客感動」を届ける要となるのが、販売スタッフだ。今春に初任給を40万円にアップしたことを踏まえ、「社内ではファッションのプロフェッショナル集団として、さまざまな業界にアンテナを張り自己投資のために活用してほしいと呼びかけている」と谷CEO。また社員に裁量権を持たせて新規事業をスタートさせるエンパワーメント経営を実践し、期中に5つの新業態立ち上げを目指す。うち2つは25年1月期中にスタート予定。20代前半をターゲットにカジュアル・ストリートを軸にしたメンズ業態と、30代以上の大人世代に向けたウィメンズ業態になるという。

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