サステナビリティ

JSFAが温室効果ガス排出量スコープ3の算定事例集を公開

ファッション産業の企業連携プラットホーム、ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JAPAN SUSTAINABLE FASHION ALLIANCE 以下、JSFA) は、JSFA会員企業の事例・知見を取りまとめた「温室効果ガス排出量スコープ3算定事例集」を一般公開した。

設立から3期目を迎えるJSFAは2050年を目標に「カーボンニュートラル」と「適量生産・適量購入・循環利用によるファッションロスゼロ」を掲げており、同事例集はこれからスコープ3の算定を始める事業者や算定途中の事業者をアシストするのが目的。会員内に留めず一般公開することでファッション産業全体のサステナブル推進の一助とするのが狙い。JSFAの公式ページからダウンロードができる。

「用語集」「事例集」「FAQ」で構成し、「FAQ」はたとえば「排出量の算出はどのような期間で行うのが一般的か?」と言った基本的な内容から、「糸売り、生地売り、OEM生産品などは一般消費者にわたっていないため計算を省けるか」など実際に取り組み始めることでぶつかるリアルな疑問、環境省が公開している資料の見方・活用方法など細やかなアドバイスが公開されている。

共同代表に新たに帝人フロンティア 会員数59社に

JSFAは設立から3期目を迎える。共同代表は2期から引き続きのJEPLAN(ジェ プラン)、アダストリアに加え、3期からは帝人フロンティアが就任した。会員企業数は、現在正会員23社、賛助会員36社となっている。

30日には第3回総会と記者会見を開き、活動と今後の方針を報告。共同代表の一人、高尾正樹JEPLAN社長は「土台固めから目標達成のための具体的な取り組みへの移行期にある。会員企業が増えている分、向かうべき座標にズレが生じないよう、効率的かつ効果的な道筋を描く」とし、2つの目標に加えて今後は「人権」を議論するとした。先行している「カーボンニュートラル」については、「簡易」「緻密」に分けたロードマップを披露。まずは2024年7月末までに全会員企業の「簡易」の算定を完了する計画だ。

JSFAには「政策提言」「技術開発のための環境整備」「生活者などとのコミュニケーション」など複数の委員会があり、活発な議論がなされている。その中で、商業施設に向けた再エネ切り替え提案や、品質や回収方法などに関わる表示のルール化の検討、反毛の活用などが議論に上がっている。「温室効果ガス排出量スコープ3算定事例集」もこの委員会の活動として進めた。

日本のファション産業ならでは強みとは

会見では「JSFAの活動を通じて見えてきた日本のファッション産業の強みとは何か」という質問が上がった。これに対して、帝人フロンティアの神山統光 技術・生産本部サステナビリティ戦略推進部部長は、「日本には細分化された繊維の高度な専門家が多数存在している。これが手を組めば力になる。複合素材であることがリサイクル上の課題である服を、科学的選別することも日本ならできるのではないか」と回答。

また、高尾正樹JEPLAN社長は「サプライチェーン全体を見た上で、環境配慮設計も含めてどう取り組むのか。市場、アパレル、生産地を含む製造メーカが近い日本の強みを活かせば、規模は小さくとも全体最適のソリューションを世界に対して提示できる可能性がある」、アダストリアの深川智子 経営経営企画室は、「日本の消費者にとってサステナビリティは、ファッションを選ぶ要因にはまだなっていない。だからこそ今ならより消費者の視点に立ったサステナブル×ファッションの道筋が描ける」とそれぞれ語った。

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