「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」はパリ・バスチーユ広場に程近い、バーやクラブが密集するラップ通りにあるギャラリースペース、デュラン・デセールを会場に2016年プレ・スプリング・コレクションを発表した。各媒体1人のジャーナリストを招いて、ジョニー・ヨハンソン=クリエイティブ・ディレクター本人が全14ルックについて説明をするという、力の入ったプレゼンテーション形式で行った。ランウェイには、今回のコレクションテーマでもある“ナイーヴさ”や“DIY(Do it yourself)”の雰囲気を表現するために、子供が描いたかのようなペイントとコラージュが施された大きな木製の箱型オブジェが置かれ、その周りをモデルたちが歩いた。(委嘱ファッションジャーナリスト 清水友顕)
[rel][item title="【ルック】「アクネ ストゥディオズ」2016年プレ・スプリング・コレクション" href="https://www.wwdjapan.com/collection/look/acne-studios/2016-pre-spring-collection/" img="https://www.wwdjapan.com/collection/wp-content/uploads/sites/3/2015/06/Facebook_as.png"][/rel]
WWDジャパン(以下、WWD):今回のプレ・コレクションのアイデアは?
ジョニー・ヨハンソン=クリエイティブ・ディレクター(以下、JJ):全14ルックのコレクションは、様々なアイデアを組み合わせた。DIYによる自由な表現をイメージし、パッチワークのテクニックを駆使した。自然なカラーリング、ワイルドな素材使いが特徴的だ。
WWD:出発点になったのは?
JJ:“Naivety(ナイーブさ・子供っぽさ)”という言葉。これは個人的にもカンパニーとしてのパースペクティヴを意味している。アクネは会社として成長し、国際的に注目を浴びるようになった。だが、成長過程にある中で、次のステップや未来に対して不安を抱いている面もある。ここで何をしたら良いのかを考えた結果、20年を迎える会社としてこの言葉がピッタリだと思った。
WWD:インスピレーション源は?
JJ:インテリアからも着想を得た。特にMarella Agnelli(マレラ・アグネリ:60年代のファッションアイコン)の写真集The Last Swanに掲載されている彼女の邸宅のインテリアからインスパイアされた。例えば、キュビズムの画家、Albert Gleizes(アルベール・グレーズ)の絵が飾られている部屋の写真からは、色使いをパッチワークに取り入れた。そしてもう一枚、食堂の写真ではキュビズムとは対照的に、よりモダンな表現をするイタリアのポップアーティスト、Mario Schifano(マリオ・スキファーノ)の装飾画が飾られいるが、この絵の中から、絵と同じテイストを持つ女性が出てくる、というイメージをした。彼女は自由な表現で、DIYの精神で自ら服を作る、そんなイメージだ。
次ページ:1〜7ルックを解説 ▶
READ MORE 1 / 2
ルック1:トレンチコート
「トワルのようなワイルドな質感を持つ、へヴィーポプリンを使用した。大きなポケットは、日曜大工的でナイーヴな雰囲気を醸している。しかし実際には、これらの工程は非常に繊細で、全て職人たちの技に支えられているものだ。モデルたちは皆ショートヘアだが、これは強くて男性的なイメージを持たせたかったため」
ルック2:ドレス
「スパイラルのシンプルなコットンドレス。ボーダー柄はインテリア本の中の壁紙から着想を得た。裏地にはホットピンク色のクレープ・ドゥ・シーヌ(Crepe de chine)を配すことで若々しさを演出した。首には1990年代に大流行したタトゥーのようなネックレスを合わせた。若々しさを引き出すアクセサリーとしてね」
ルック3:2ピース
「ポプリンとオーガンジーをミックスしたトップスと、バックスキンのレザースカート。ポプリンとクレープを組み合わせたトップスには、非常にソフトなイタロ・スウェードをあしらったスカートをコーディネイトした。所々をノットで飾っているが、これはDIY的な雰囲気を出すために用いた。高級素材とシンプルなファブリックを組み合わせるという、高度なテクニックを用いた」
ルック4:トレンチ
「1体目とは違う解釈のトレンチ。ボタンやバックルなどのメタリックな要素を全て排除し、全てノットを使用したのは、DIYの精神を表したかったから。先端の尖ったパンク的なシューズには、ラフィア製のファブリックをあしらい、若々しいイメージにまとめた」
ルック5:シースルーニットトップス&スカート
「トップスはニット製で、ジャカードによってデボレのようなモチーフを表現した、ナイロンの織り部分がトランスペアレントになっている。スカートはショーツにトランスペアレントのスカートを合わせたようなパッチワークで、ナイーブな印象を出した。DIYの精神で、見よう見まねで自分自身が縫い上げたような服のイメージだ」
ルック6:ダブルフェイスのコート
「ダブルフェイスのクレープを使用したコート。2枚の生地を合わせたファブリックで、片面のタータンが裏側にうっすら見えるのが特徴。2枚の生地を糸で織り合わせているため、制作が難しいアイテムだ」
ルック7:スウェードドレス
「イタロスウェードのワンピースには、同じくレザーのバスケットショーツのようなナッパのパンツを合わせた。ドレスのノットディテールはDIYを表現し、よりナチュラルなものにするためにバックルなどのメタリックな要素は排除した。ただ、アクセサリーとして採用しているメタリックのタトゥーネックレスは別。1990年代に流行したものをよりもリュックスな要素を加えてタトゥーのように仕上げた。シンプルなシルエットとは対照的に」
次ページ:8〜14ルックを解説 ▶
READ MORE 2 / 2
ルック8:ダブルフェイス2ピース
「ルック6で用いたダブルフェイスの違うカラーのファブリックを用いた2ピース。パンツは幅広でくるぶしよりも短く、バケーションシルエットにした。より季節を感じさせるものにしたかったから。キャンバスのバッグには、ロロ・ピアーナと同じファミリーの生地を用いた」
ルック9:2ピース
「ロロ・ピアーナと同じファミリーのリネン素材を使用したパッチワークトップスと、バケーションパンツのセットアップは私のお気に入りのルック。メンズウエアのファブリックを使用し、デニムのようなルックに仕上げた。日本のパッチワークのようなイメージでまとめた。玉虫の効果を出したコットンツイードを使用し、プラストロンを合わせたのは、DIYを表現したかったから。垂らしたまま糸は、自分自身で作ったという、ナイーヴで自発的なイメージの象徴。バケーションパンツは、夏のイメージでまとめ、季節にリンクしたものと捉え、今回のコレクションの象徴的アイテムになっている」
ルック10:2ピース
「同じ生地の2ピース。ハーフスカートハーフパンツは漁師のイメージ」
ルック11:プリント2ピース
「マリオ・スキファーノのイメージでまとめたセットアップ。プリントの上からスプレーペイントをしたようなイメージで、ダブルプリントになっています。パンツはバケーションスタイル」
ルック12:シャツ&スカート
「壁紙から着想を得たボーダーのセットアップ。ヴィスコースのシャツとウォッシュデニムのプラストロン、そしてパッチワークスカートのアンサンブル。特にスカートはブレザーからインスパイアされたフォルムと構造にした」
ルック13:プリント2ピース
「マリオ・スキファーノのイメージでまとめたセットアップ。プリントの上からスプレーペイントをしたようなイメージで、ダブルプリントした。パンツはバケーションスタイル」
ルック14:レザーコート
「これはドラマティックなピース。「アクネ」では、レザーはデニムと同じくらいポピュラーで重要だと考えている。ナッパレザーをボンディングするのではなく、裏地として使うことでボリューム感を出して、今回のコレクションを象徴するアイテムにした。 レザー同士を組み合わせているため、シルエットは脱構築的なものになり、よりミニマルな印象に仕上げた」
ルック15:2ピース
「デボレのフラワーモチーフのニットウエアトップとオーガンジーのシースルーパンツのセットアップ。オーガンジー、ポプリンなどを組み合わせたパンツはDIYの雰囲気を持たせ、着ている本人が作ったかのような感触を出したかった。しかし、ポプリンとオーガンザは同時に縫うのが非常に難しい組み合わせで、高度なテクニックを用いないと成立しない。着ている本人はデザイナーではないので、ナイーブな考えで無理なことをやろうとする。パーフェクトではないし、クリーンではないアイデアを、職人技を使って敢えて表現したかった」