3月第1週に入るとフランスでも薬局からマスクと除菌ジェルが消えました。先にお伝えしたように、この頃にアメリカの業界関係者が一斉に帰国しショー会場には空席が目立つように。頭の片隅に常にアイツがいるのは誰でも同じです。挨拶のキスは互いに自粛し、“エアキス”が浸透。キスの代わりに楽しんごちゃん風に、両手でハートを作って返したらウケました(笑)。
3月2日(月)10:00
「ステラ マッカートニー」の
高度なメッセージ発信
言葉は不要でしょう。どうぞ「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のフィナーレ動画を見てください。多くの人が「カワイイ!!」と声をあげたくなるはず。そして動物たちが持つバッグを見ると言葉を失うはず。環境問題に熱心に取り組むステラですが今季はブランドの原点でもある動物愛護のメッセージをより強く打ち出しました。真剣で同時にユーモアやウィットも忘れないステラのメッセージの発信方法はとても参考になります。
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会場はいつものオペラ座。以前は“子供のおもちゃ”付きの楽しい招待状だったけど今はシンプルにハガキ一枚。これで十分です
会場入り口では動物の着ぐるみがお出迎え。コロナ問題で曇りがちな来場者の表情をパッと明るくしてくれました
後に彼らがフィナーレにも登場するとはこのときは想像すらしませんでした……
鼻までを覆うスタンドカラーのコート。マスク代わりに今すぐほしい
ハイネックインナーは今季のトレンドです
フィナーレに彼らも登場です!
動物の毛皮風バッグを持つ着ぐるみ。シュールです
ウサギが手に持つバッグもラビットファー風です。もちろんフェイクです
後日に展示会に行くと「あ!」。2000年春夏コレクションのショー会場で投影していた交尾画像がTシャツになっていました。亀を飼っているので親近感を覚える絵ですが着るのはなかなか勇気がいます
プレスの炉子さんに「これならさりげないのでは?」と勧めてもらった亀の交尾ブローチ。確かに
苗木が配られました。嬉しいプレゼントですが日本に持ち帰るのは大変なので地元の方に引き取ってもらったところ→
「植えました」と写真が届きました。どんな木になるのかな?パリですくすく育て
11:00
「サカイ」は
どこまで行くのでしょう?
「サカイ(SACAI)」という会社は日本全国の腕のある職人さんをまとめあげる言わばオートクチュールのアトリエみたいな存在だと思っています。上へ上へと理想を追い求める阿部千登勢デザイナーだけではなく、そのアイデアをなんとか形にしようとする人のアイデアと技も進化しているから服も進化しています。
「4次元」と阿部さんが表現した今季のクチュールライクな服もそう。メンズのパンツ?と思ったらドレスだった!みたいな驚きが随所にありますが、これってアイデア倒れに終わらず「きれい」に着地するのは大変なことです。これからジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)のオートクチュールのアトリエに迎えられる阿部さんが何を見てどんな進化を遂げるのか楽しみです。
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15:30
「アクリス」の心地良さ
光がたくさん入る、天井の高い美術館。そう聞くだけで気分が少し良くなりませんか?「アクリス(AKRIS)」がショーを行った現代アート美術館はそんな場所です。もうひとつ、触り心地の良い上質素材ときれいな色を使った仕立ての良い服。これも気分が良くなる響きですね。「アクリス」とはそういうブランドです。
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冨永愛、「アクリス」に現る
美術館の絵を借景にショーが進む
もう一回愛ちゃん!
着想源はフランスの建築家ロベール・マレ
アフターパーティーも美術館内で
コロナのせいで縮こまる気持ちを解放してくれるようなアート
16:30
大好評「パコ・ラバンヌ」の
展示会へ
今季、大変評判が良い「パコ・ラバンヌ(PACO RABANNE)」の展示会へ。スタイリストさんのスタイリング魂に火をつけるようなアイテムがそろっていました。
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マリー・アントワネットの世界
シンプルなTシャツですがきちんとして見えそう
このディテールはそそられます
1枚持っていたら便利そうな白シャツ
どう着る?
透ける素材の花柄パンツ。後ろには“ザ”パコ・ラバンヌな1着。どう着ましょう
20:00
サラの優しく強い「マックイーン」
「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」は、サラ・バートン(Sarah Burton)を中心にチーム力が高まっている感じ。超シャイと言われるサラは決して前面には出てこないけれど彼女の下で若手が育ち、求心力がモノづくりや店頭やプロモーションなど各所に発揮されている感が伝わってきます。あれから10年。もうリー(Lee)と比べる必要はないですね。
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「イージー」で大騒ぎ
夜も更けましたが、隠れカニエファンとしては、もう一頑張り。「イージー(YEEZY)」のショーへ向かいました。会場周辺に集合するカニエ・ウェスト(Kanye West)のファンが車のクラクションを鳴らしたり、バス停の屋根に登ったりと大騒ぎする近くに駐車をし、「どうせ1時間押しでしょ」とひと眠りしようとしたらどっこい!30分遅れで“きちんと”始まりました。その顛末についてはこちらの記事に詳しいのでぜひご覧ください。