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“フェムテック”を集めた大丸梅田店「ミチカケ」、オープン2カ月で売り上げ減も客数伸長の手応え

 大丸梅田店に11月22日にオープンした、“女性のリズムに寄り添う”新ゾーン「ミチカケ(MICHIKAKE)」は、女性のさまざまな問題をテクノロジーで解決する“フェムテック”関連を取りそろえている。フィメールとテクノロジーを掛け合わせた“フェムテック(Femtech)”は今世界で大きな注目を集めているが、日本ではそれら製品を集積した売り場は少ない。オープンから約2カ月経ち、改めて売り場担当者に話を聞いた。

「セクシャルグッズは
特殊な市場ではない」と気づいた

 婦人服のヤングゾーン約893平方メートルに作られた「ミチカケ」は、日本初出店7ブランド、関西初の4ブランドを含む18ブランドの17店舗が出店している。立ち上げの理由は訪れやすい大阪駅直結という立地に対して新客が少ないことのほか、アパレル不振があった。 “脱服飾”はほかの百貨店でも取り組んでおり、その多くは化粧品や雑貨の売り場に転換している。しかし同店は化粧品や雑貨のほか、他店にはない個性として生理周期に着目したベイクルーズの「エミリー ウィーク(EMILY WEEK)」や、女性のための漢方をそろえる「デイリリー(DAYLILY)」などのほか、テンガの女性向けブランド「イロハ(IROHA)」、月経カップや経血吸収型のサニタリーショーツ、セクシャルグッズなどを取り扱う「ムーンド バイ エルピーシー(MOOND BY LPC)」など、 “性と生理”に関するショップを取り入れ、日本では類を見ないフロア構成が大きな話題になった。

 「フェムテック導入のきっかけは商談でお会いしたテンガさん。最初は『アダルトグッズはちょっと……』と思ったし、社内でもずっと反対の声がありました。しかし夫婦で一緒に家事をやったりお酒を飲んだりといったコミュニケーションはあっても、性を語り合うことは少なくて悩んでいる人は多い。女性向けの『イロハ(IROHA)』は非常に真面目に作られていて、夫婦愛を考えた時に取り扱う意味があるのではないかと思い、社長に直接プレゼンをして18年8月に『イロハ』のポップアップストアを開きました」(澤井裕之・営業推進部販売促進担当)。

 年配客も多い老舗百貨店が取り組むには大胆なテーマであるため「オープンしてみたものの正直、お客さまの反応が心配だった」という。流行感度の高い消費者の目に留まればと思っていたが、「1人目の購入者は40代の、ごく普通の女性だったんです。肩ひじを張っていたのはわれわれだけで、特殊な市場ではないと気づくことができました」。結果、『イロハ』のポップアップストアは8月の催事売り上げ1位に。その後も2回ポップアップを行い、対面販売ならではの相談や提案が行えることもあり、カップルや夫婦のコミュニケーション&課題解決という意味でも機能し始めていた。「これまで目を向けてこられなかった分野でも、真面目にやればお客さまにご理解いただけるんだと感じました」。

“フェムテック”を取り扱う
「ミチカケ」の存在意義

 この経験が、“来店客の悩みを解決する売り場“という「ミチカケ」構想の下地となった。「ほかにお客さまの悩みはなんだろうと考え、女性なら誰しも経験する生理関連に行き着きました。そうは言っても、みんなECで買うのでは?という話にもなりましたが、蓋を開けてみたらお客さまは普通に購入してくださいました」(佐藤聖海・営業2部プロモーションスタッフ)。

 とはいえ売り上げを見ると、オープン後の2カ月は元々のヤング婦人服売り場と比べ、前年同月比で2割減となった。服飾と比較すると客単価が下がることが主な理由だが、客数と新客は伸長しているという。また、「ミチカケ」内にある大丸松坂屋グループのコスメセミセルフショップ「アミューズ ボーテ(AMUSE BEAUTE)」もオーガニックブランドを増やすなどして「ミチカケ」に寄せた品ぞろえにしたことで買い回りが増加したほか、服飾も中価格帯の売り上げが伸びるなど寄与している。

 「『ミチカケ』は売り上げだけではく、お客さまに寄り添うことが重要なので、客数の伸長は目的に沿っています。オープンな場でほかの人の声も聞きながら購入できることが嬉しいという声も多く、娘の月経を気遣ってショーツや漢方を購入するお母さまなどもいらっしゃる。進物需要も見出せていて百貨店としても良い傾向だと思います」と高橋知世・営業2部サブマネジャー婦人服担当。澤井・営業推進部販売促進担当は「将来的には性や生理以外にも切り込んでいきたいけれど、無理やり拡張しても意味がない。まずは今のこの状態を良いものにすることを重視し、真摯に取り組んでいくつもりです」と語り、今後は来店客の悩みに応えるイベントにも力を入れると述べた。

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