「マーク ジェイコブス」2016年春夏ニューヨーク・コレクション Photo by George Chinsee (c) Fairchild Fashion Media
「マーク BY マーク ジェイコブス(以下、マーク BY)」が「マーク ジェイコブス」に統合された初のショーは、16年春夏シーズンのニューヨーク・ファッション・ウイークの中で、ハイライトの一つだったことは言うまでもない。1927年に建てられた歴史のあるジーグフェルド・シアターで開催したショーは、さながら映画のプレミア上映会であり、エンターテインメント性溢れる演出は、観客の期待を超えるものだった。コレクションは、アメリカ国旗の青、赤、白をキーカラーに、古き良き時代の女優をほうふつとさせるビジューやスパンコール、レースを贅沢に使用したドレスをメーンにしながらも、スエットやデニムスカート、Gジャン、スニーカーなどのアメリカン・カジュアルをミックスした絶妙なスタイリングで、まさに「マーク ジェイコブス」と「マーク BY」のそれぞれの個性を融合したようなショーだった。
セバスチャン・スール/マーク ジェイコブス インターナショナルCEO
PROFILE:2001年にプラダ・グループに入社し、フランスでジェネラルマネジャーとして活躍。さらに香港でアジアパシフィックにおけるCEOに就任。その後、ミラノに移り、プラダ・グループのCOOに就任。12年にLVMHグループのジバンシィCEOに就任。14年10月から現職
14年10月に就任したセバスチャン・スール最高経営責任者(CEO)は、ショーの翌日にソーホーにある本社で取材に応じ、「まさにそれが我々の戦略だ」と自信をのぞかせた。「マーク BY」は01年に手の届きやすいラインとしてスタートし、14-15年秋冬シーズンからは、ケイティ・ヒリヤーをクリエイティブ・ディレクターに、ルエラ・バートリーをデザイン・ディレクターに迎え、マークをトップとする新体制として再発進していたところだった。
「『マーク ジェイコブス』をさらに推し進めるためには、過去のスタイルにはとらわれない。このタイミングで統合したのは、一つのブランドとしてより大きなメッセージを伝えるべきだと思ったからだ。これまでは単に二つのブランドネームがあるというだけでなく、それぞれのショーやスタイル、広告キャンペーン、ストアコンセプトがあり、消費者にとっては、ある意味混乱する部分もあった。われわれは、ファッションデザイナーブランドであり、強いクリエイティビティーを発揮するデザインハウスであるべき。そしてリアルなファッションやライフスタイルであるべき。『マーク BY』をやめたが、コンテンポラリーの価格帯をやめることはない。それをショーで見せたかった。あれがまさに唯一無二の『マーク』だったし、それを示したかった」と話す。
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現在、統合後の新たなストアコンセプトを検討中だ。数カ月後には完成するという。「来年前半までには、ショーケースとなるショップを数店オープンする。まずはニューヨーク・ソーホーのマーサーストリートにある現在の『マーク ジェイコブス』に新しいショップデザインコンセプトを導入する。
マーサー ストリートは、多くの人でにぎわう通りであり、アートギャラリーなども多く歴史もある。現在は1フロアのみだが売り場を2階まで拡張し、ルーフトップはイベント等でも使える空間とする予定」だという。またロサンゼルスのメルローズ通りにあるショップにも来年、新たなデザインコンセプトを導入する予定だ。「メルローズ通りに点在するショップ (「ブックマーク」を除く)を今後集約し、一つの世界観として見せ、現在の『マーク ジェイコブス』ショップの約2倍の規模にする」という。「今後は、店舗数ありきというよりは、新コンセプトに合ったロケーションを検討しながら、既存店をクローズしたり、新たな店舗を加えたりすることになるだろう。例えば米国ではショッピングモールは巨大すぎるため、出店しないつもりだ。また、百貨店においては『マーク BY』と『マーク ジェイコブス』の二つのストアを一つに集約し、ベストロケーションのフロアに移すといったこともあるだろう。日本でも来年あたりに新しいショップをオープンできればと思っている。可能性としての話だが、銀座なども良いと思う。現在は米国と日本を中心に中国などのアジアやヨーロッパで展開しているが、中でも日本はとても重要なマーケット」と話す。
また、「マーク BY」におけるバッグ、シューズ、財布、ジュエリー、デジタルツールなどのアクセサリービジネスは、これまで売り上げにおいても大きなシェアだったはずだ。「アクセサリーは、グローバルにおいて重要なビジネスであり、今後も強化していくことには変わりない」と話す。また、eコマースにもさらに力を入れていくという。「eコマースに関しては、日本と米国で現在は異なるデザインになっているが、数カ月以内に米国と合わせたデザインとし、機能もアップしていく」。「われわれは、とても高価なラグジュアリーブランドでもなければ、単なるコマーシャルなコンテンポラリーブランドでもない。強いクリエイティビティーとライフスタイルを併せ持っている。それが他にはない強みだ」。
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