ファンケルが2002年に米国で立ち上げたスキンケアブランド「ボウシャ(BOSCIA)」を、米美容ブランド育成企業ザ・センター・ブランズ(THE CENTER BRANDS)と米国の皮膚科専門医マミナ・トゥレガノ(Mamina Turegano)氏が共同で買収した。ザ・センター・ブランズとトゥレガノ氏が10月26日に発表した。買収額などの取引条件は非公表。2027年第1四半期にブランドを再始動し、日本の伝統的な美容習慣や原料を継承しながら、現代の皮膚科学を取り入れたブランドへと刷新する。
「ボウシャ」は、ファンケルが米国の高級化粧品市場への参入を目指し、02年に立ち上げたブランドだ。ブランド名は「ボタニカル(植物由来)」と「サイエンス(科学)」を組み合わせた造語で、当初は米高級百貨店ヘンリ・ベンデル(HENRI BENDEL)で18品目を展開した。その後、化粧品専門店「セフォラ(SEPHORA)」にも販路を広げたが、24年5月には事業終了を発表し、公式サイトを閉鎖した。25年1月には公式サイトの再開を予告していた。
日本の美容習慣と家族の記憶を次世代へ
ザ・センター・ブランズのベン・ベネット(Ben Bennett)創業者は以前から、SNSでも高い知名度を持つトゥレガノ皮膚科専門医と、アジアのスキンケア習慣をテーマにしたプロジェクトについて協議していた。「彼女には日本にルーツがあり、私はタイ出身だ。Kビューティは一大現象となり、現在は以前にも増して大きな第2次ブームを迎えているが、Jビューティにもこれまで何度か注目が集まってきた」とベネット創業者は話す。「私たちは、アジア各国から生まれるブランドやスキンケア処方だけでなく、伝統や美容習慣、家族とのつながりについて多くの時間をかけて語り合った。母親や祖母、おばから受け継がれてきた美容の技術や哲学にこそ関心があった」。
こうした対話の中で話題に上ったのが、2人が以前から高く評価していた「ボウシャ」だった。「ブランドが事業を終了しようとしていることを知り、『もし自分たちが引き継いだらどうなるだろう』という話になった」と振り返る。ただ、ファンケルを説得するまでには時間を要したという。「約1年かかった。1年が経過した頃、ようやく先方が『分かった。資産を売却するまで、あなたたちは連絡をやめないつもりなのだろう』と理解してくれた。最終的に取引を成立させることができ、本当に興奮している」とベネット創業者は語った。
発酵成分や米、緑茶に着目 現代の皮膚科学と融合
新生「ボウシャ」は、ブランドのアイデンティティーを形作ってきた日本のスキンケア哲学や原料、美容習慣を守りながら、現代の皮膚科学の視点から再構築する。トゥレガノ氏が特に注目しているのは発酵成分だ。米や緑茶といった日本の伝統的な美容原料にも関心を寄せており、米国で広く使用されている一般的なスキンケア成分とともに活用する考えだ。同氏にとって、日本の美容文化は自身の家族の歴史とも深く結び付いている。
「日本人の祖母は、日本で40年間スキンケア製品を販売していた。夏に日本を訪れるたびに、祖母と一緒にスキンケアをしていた」と振り返る。ブランドの再始動は27年第1四半期を予定する。ただし、当初は小売店との提携を行わず、消費者に直接販売するDTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)モデルで展開する方針だ。ベネット創業者は、ブランドの立ち上げ段階ではD2Cを優先すべきだという考えを強く持っている。「適切な時期が来たら、適切な小売りパートナーを見つけたい」と話し、将来的な小売店との提携にも意欲を示した。