ニューヨークに暮らす人々の脳裏に今も焼き付く、2001年9月11日の同時多発テロ。9月10日から15日にかけて繰り広げられた2027年春夏ニューヨーク・ファッション・ウイーク(以下、NYFW)で、NYのデザイナーたちは25年前の悲劇と改めて向き合った。過去を悔やむのではなく、NYならではのオプティミスティックなエネルギーで前へ進むーーそのために出した答えの一つが「ロマンス」だった。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月5日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
25年前の9月11日、翌日にショーを控えていたマイケル・コース(Michael Kors)は、最後のフィッティングに向かう途中だった。最初の飛行機が世界貿易センタービルに突っ込むのを目撃し、ショーは中止を余儀なくされた。惨劇を今も鮮明に思い起こす彼だが、今季は9月11日をショー開催日に選んだ。「私は、知性と少しのユーモアと楽観で世界に向き合う」と語ったように、コレクションは黒を基調に鮮烈なコーラルやイエローが印象的に差し込まれ、見るものを高揚させる力を感じさせた。
そんな「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」と呼応するかのように、今季のNYFWは華やかなムードに包まれた。何かを悔いたり、心を痛めたりするのではなく、前を向き続ける気高いロマンスを力強く示したのが、NYミニマルの代表格である「ケイト(KHAITE)」だ。今季、レースや波打つラッフル、花柄などロマンティックな素材や色柄に、ブランドらしい硬質な黒レザーのジャケットやスカートを合わせて提案した。「可憐さ」や「はかなさ」は一切感じさせない。NYの女性にとって、ロマンスは現実からの逃避行ではなく、未来へ進む勇気を与えてくれるものだ。「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」もまた、ネイビーと花柄でロマンスを探求。序盤は紳士の正装であるダブルのスーツを女性モデルにまとわせると、やがて胸元の濃紺から裾の淡い空色へと溶け出すようなプリーツシフォンのガウンが揺れ、布を幾重に重ねた大ぶりのフラワーブローチが胸元を彩った。
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