ファッション産業の透明性向上を目指すNPO団体ファッションレボリューション(FASHION REVOLUTION)はこのほど、助成金不足などを背景にグローバル本部である英国法人ファッションレボリューション CIC(FASHION REVOLUTION CIC)を閉鎖すると発表した。今後は、世界80カ国以上の各支部が独立して活動を行う。「Who Made My Clothes?(誰が私の服を作ったの?)」のフレーズで世界的なムーブメントに火をつけてから約12年、同団体は大きな転換期を迎えている。
ファッションレボリューションは、2013年にバングラデシュの首都ダッカ近郊で発生した縫製工場の崩落事故「ラナ・プラザ(RANA PLAZA)の悲劇」をきっかけに、英国人デザイナーのオルソラ・デ・カストロ(Orsola de Castro)とキャリー・サマーズ(Carry Somers)が翌年14年に発足した。日本を含む世界80カ国以上に支部を持ち、キャンペーンや政策提言、リサーチなど多様な活動を行ってきた。
共同創業者のデ・カストロは、「CICの解散は、組織が本来あるべき分散型へと進む自然な流れだ。本来は各国の支部が活動を主導するべきで、個人的には非常にポジティブな動きとして捉えている。これは“終わり”ではなく“新たな始まり”だ」とコメントした。
日本では、一般社団法人unistepsが運営する。竹村伊央unisteps共同代表理事によると、日本国内での活動に影響はないとしている。竹村代表理事は、「ファッションレボリューションジャパンは、unistepsが運営する独立プロジェクトだ。ファッションレボリューションジャパンの活動をご支援いただく国内スポンサー様からの資金、寄付金および事業運営のもと、これまでも活動してきた。そのため、今回のグローバル組織体制の変更によって、日本の組織体制や活動方針が変更されることはない。これまでと変わらず、日本における透明性向上と産業の変革に向けた取り組みを継続していく」とコメントした。
なお、毎年「ラナ・プラザの悲劇」が発生した4月24日に合わせて開催している「ファッションレボリューションウイーク」は、今年も世界80以上の国・地域で実施される予定だ。
ファッション・アクティビズムは転換期に
一方、今回の決定はファッション産業におけるアクティビズムの転換期を象徴する。経済の変動や世界的な逆風が強まるなか、この10年間でようやく進展した労働環境や環境保護の成果が、押し戻されかねない状況にある。
今年2月にはサンフランシスコ拠点のNPO団体リメイク(Remake)が、十分な資金を確保できず活動を停止した。同団体は「#PayUp(賃金を支払え)」や「#NoNewClothes(新しい服は買わない)」といったキャンペーンで知られるが、企業責任を問う取り組みに対する反発の高まりが資金難の一因になったと説明している。
また、衣料業界における最大規模の労働組合・市民団体連合であるクリーン クローズ キャンペーン(Clean Clothes Campaign)も、オランダ政府による資金提供の更新見送りを受け、昨年アムステルダムおよびベルギーの拠点で少なくとも15人を削減した。同政府からの資金は全体予算の約40%を占めていた。
米国最大級の国際労働権団体であるソリダリティー センター(Solidarity Center)も大幅な縮小を余儀なくされた。かつて約400人規模だった組織は、半数以上の人員削減に踏み切り、30以上あった現地拠点の約3分の1を縮小または閉鎖。一部プログラムも早期終了した。背景には、イーロン・マスク(Elon Musk)が主導したとされる「政府効率化省(DOGE)」による各労働省関連の資金が削減されたことがある。
ファッションレボリューションは、ソーシャルプラットフォーム「リンクトイン(LinkedIn)」 上で、「業界変革への関心は依然として高いものの、現在の資金環境と運営状況を踏まえ、CICの活動を段階的に終了する決定に至った」と説明。一方で、「クリーンで安全、公正かつ透明性と説明責任を備えたファッション産業」の実現というミッションは「これまで以上に重要性を増している」と強調した。今後は、地域ごとのリーダーシップを強化しつつ、引き続きグローバルな連携を図っていくとしている。