ビューティ

本当のリラックスを見つける“アウトドアサウナ”のススメ Vol.01プライベート空間の魅力

現在、日本で月1回以上サウナを利用するミドル・ヘビーユーザー数は600万人弱(2024年度日本サウナ温冷浴研究所調べ)と言われており、サウナは一時のブームではなく一つのメジャーな趣味として親しまれるものとなっている。

近年のサウナ人口増加の理由は、「サ道」に代表されるようなサウナを題材とした作品の人気獲得やインフルエンサーたちのSNSの発信、コロナ禍での心身の不調から深いリフレッシュを人々が必要としていること、強制的なデジタルデトックスの解放感など様々あるが、特に令和の時代の“親しい友人たちと小規模でパーソナルな空間を楽しむ”という、クローズドコミュニティー志向とマッチした、という要因が大きいのではないだろうか。

また、そのような要望に応える個室型・貸切型サウナも近年数多く誕生し、従来の大衆サウナもオシャレで“イケてる”空間へと様変わりし、サウナーたちの多様化するニーズに合わせてその数を増やしている。

しかし、それ故に人気のサウナは平日でも長蛇の列をなし他人と肩を寄せ合いながら入り、個室サウナの予約は数カ月先でも埋まりっぱなし……といった、リラックスしたいのにリラックスできない、本来の目的と遠いところに行ってしまった感が否めない。

そこで、本当の意味でパーソナルにサウナを楽しめる空間“アウトドアサウナ”に注目。準備や移動など大変なイメージがあるが、実は誰でも楽しむことができる新しいサウナの形として、着実に人気が高まっている。その楽しみ方や必要なアイテム、気をつけるべきポイントなどを知っていこう。

日本一アウトドアサウナを実践する会社員、瓜生健太さんにインタビュー

今回、アウトドアサウナの魅力を語りその実践をしてくれるのは、会社員でありながら毎週のようにアウトドアサウナイベントの主催・出展を行い、個人・グループでのアウトドアサウナ出張開催依頼も請け負う「TENTSAUNA BASE」主宰の瓜生健太さん。自分自身が楽しむ趣味が転じてその布教を行うこととなった伝道師に、抜け出せないその魅力を聞いた。

WWD:自身でサウナテントを所有するようになったきっかけは?

瓜生健太さん(以下、瓜生):サウナ自体にハマったのは、コロナ禍以降の流行に乗る形で友人に連れていかれた「おふろの王様」志木店を訪れた際です。温冷交代浴(サウナに入り、その後水風呂に入ることを繰り返す入浴)だけでなく、水風呂後に外気浴をすることでいわゆる“ととのう”という状態に入れることを初めて知り、その感覚に夢中になりました。そこから有名無名問わず数多くのサウナに行きましたが、その中でも魅力的だったのが長野県阿智村で行われたサウナテントを使用したイベント。星空の下でサウナに入り、そのまま川に飛び込み、ひんやりとした外気を浴びるという解放感は、今までになく得難いものでした。これを自分自身が好きなタイミングで、好きな友人たちと一緒に行えれば本当に幸せだろうな、と思い販売されている商品をリサーチ。21年当時はサウナテント、ストーブ、その他備品を合わせて20万円くらいで揃えることができ、自身でも実施できるなと思ったのが所有のきっかけです。

WWD:毎週行うほどハマることになったアウトドアサウナの魅力とは?

瓜生:施設型サウナも好きなのですが、当時特にコロナの影響で黙浴が徹底されていた時代。本当に自分が求めていたのは友人たちとリラックスして楽しめる空間だったので、自身がアウトドアサウナを行えばそれを自ら作ることができたのが魅力です。その空間は選んだ目的地によって毎回変えることができ、四季折々の風景や空気感などの非日常を切り取って自分だけのものにできる、というのもアウトドアサウナ特有のものだと思います。

WWD:普段はどういった場所で行うことが多いですか?

瓜生:基本的にはキャンプ場が多いです。近年はサウナテントの認知度も徐々に広がっており、実施を容認してくれる場所も増えました。その中でも、川や湖のほとりで、水風呂代わりに飛び込めるキャンプ場がベスト。チラーを利用して冷やしたプールやアイスバスもいいですが、やはり自然の魅力には敵いませんね。他だと、昨年はサマーソニックに出展し、フェスに訪れたアウトドアサウナに馴染みのない方たちに体験してもらう機会もありました。施設型サウナとコラボレーションし、常設サウナと併設してサウナテントを楽しんでもらうといったイベントも増えてきました。

WWD:サウナテントで、施設型サウナと同等のクオリティーは出せるのでしょうか。

瓜生:個人的には、超えることができると思います。慣れないうちはテント内の温度が上がらず思い描く空間を作るのが難しいこともありましたが、現在はテントやストーブ、ギアの開発も進み、温度湿度の管理がより行いやすくなりました。加えて、吸排気を適切に行い酸素量を調整し、快適な空間を作れるようになったことで自身の理想的なサウナに近づけたと思います。イベントなどで体験した初見の人々にも、体感した結果「サウナテントがこんなに気持ちいいものだとは思わなかった」といった声ももらえています。

WWD:使っているギアについて詳しく教えてもらえますか。

瓜生:サウナテントは、「ソトブロ(Sotoburo)」の 最大12人入れる大型のもの。ストーブは「ソトブロ」と「アンバー(AMBER)」 の2台使いです。「ソトブロ」は高火力、「アンバー」は飽和水蒸気を出せるので、この二つの組み合わせがベストだと思っています。周辺ギアでは輻射熱から身を守る「アサヒウッドギア」のストーブガード、「ソトブロ」のベンチ、そして「マッドサウニスト(madsaunist)」のスチームジェネレーター“Ouroboros”も外せません。スチームジェネレーターによって微細な加熱水蒸気が持続的に発生するので、高い湿度を保つことができます。香りも重要な要素で、サウナハーブは「アルテミスの薬草店」のものをよく使います。ロウリュなどにも使用するサウナストーンは、「マッドサウニスト」の橄欖(かんらん)岩と「ナルヴィ(NARVI)」のフィンランド産輝緑(きりょく)岩を混ぜて使っています。サウナを出た後外気浴で使用する通称“ととのい椅子”は、定番の「コールマン(Coleman)」の“インフィニティチェア”を使っています。細かいものをいえばキリがないですが、メインはこの辺りです。

WWD:これだけのものをそろえて、自身で始めるのはハードルが高いですね。

瓜生:ここまでの数をそろえなくとも、使い勝手のいいギアは増えています。まずは小型のサウナテント、ストーブ一台、後はサウナストーンとベンチがあれば十分に始められますし、乗用車一台で運べる物量です。自身で揃える前に、まず高クオリティーのアウトドアサウナを楽しみたいという方は、ぜひ私にご一報ください(笑)。

WWD:安全面などで気をつけることは?

瓜生:一番気を付けるべきは、一酸化炭素中毒。ストーブが不完全燃焼している際に生じる一酸化炭素がテント内に充満してしまう可能性があります。空気中の濃度を計測する一酸化炭素チェッカーは、必須のアイテムです。加熱中のストーブやサウナストーンは非常に高温になるので、テント内を移動する際の火傷にも気をつけましょう。ストーブガードは輻射熱を防ぐほか、接触を防ぐ意味合いでも重要です。水風呂代わりに川や湖に入る際は、当然ですが水難事故にも気をつけましょう。ペグを使いサウナテントを固定することも非常に重要です。風の煽りを受けテントが動き、ストーブや火と接触し火事になる可能性もあります。アウトドアサウナは危険なものではありませんが、火や水を使うアクティビティーですので誤った遊び方はしないようにお願いします。通常のキャンプと同様に、キャンプ場のルールも守ってください。

PHOTOS:YUYA MIKUNI

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