ユニリーバ(UNILEVER)は23日、米投資会社のサミット パートナーズ(SUMMIT PARTNERS)から英国発のパーソナルケアブランド「ドクター スクワッチ(DR. SQUATCH)」を買収することに合意したと発表した。取引の詳細は非公開だが、同ブランドの売上高は4億ドル(約576億円)を超えると推定されている。
同ブランドは、2013年に米カリフォルニア州でジャック・ハルドルプ(Jack Haldrup)創業者によるハンドメードソープから始まり、デオドラント、ヘアケア、コロンなど製品カテゴリーを広げた。19年にシードラウンドで資金を調達し、22年にはサミット パートナーズが過半数株式を取得した。しかし複数の報道によると、同社はここ1年は売却先を模索しており、20億ドル(約2880億円)の評価額を目標にしていたという。「ドクター スクワッチ」は北米と欧州を中心に展開し、24年には米最大のスポーツイベント「スーパーボウル」で俳優のシドニー・スウィーニー(Sydney Sweeney)やニック・キャノン(Nick Cannon)などを起用した広告を公開した。
ユニリーバのファビアン・ガルシア(Fabian Garcia)=パーソナルケア部門社長は「『ドクター スクワッチ』は、魅力的な製品と卓越したデジタルエンゲージメント戦略で強固な基盤とロイヤルティーの高い顧客層を築いてきた。米国での成功を土台に国際的に拡大し、急成長する男性向けパーソナルケアカテゴリーにおける当社の製品ラインアップを強化できることを楽しみにしている」と述べた。
「ドクター スクワッチ」のジョシュ・フリードマン(Josh Friedman)最高経営責任者(CEO)は、「『ドクター スクワッチ』のミッションは、男性がより幸せで健康になるようインスパイアすることだ。ユニリーバと共に次の章でミッションに取り組めることを嬉しく思う。『ドクター スクワッチ』は始まったばかりだが、新たな高みを目指してブランドの規模を拡大し、高品質で自然な製品を求める世界中の消費者と出会う機会を得られることを嬉しく思う」と語った。
ユニリーバは、パーソナルケアブランドのポートフォリオを拡大する買収攻勢を強めている。同社は4月、英国のプレミアムパーソナルケアブランド「ワイルド(WILD)」を買収した。報道によると、取引額は2億3000万ポンド(約453億円)とみられている。同ブランドは20年に設立。再利用可能なアルミニウムケース入りと生分解性リフィルを特徴とするデオドラントを発売した後、ボディーソープやハンドソープ、リップバームなど、リフィル可能なパッケージを採用した製品ラインを拡大している。
新たなブランドを取得する一方、ユニリーバは既存ブランドの終了や売却も続いている。昨夏に、米投資会社のイエロー・ウッド・パートナーズ(YELLOW WOOD PARTNERS)に「Qティップ(Q-TIPS)」「カレス(CARESS)」「ポンズ(POND’S)」「セントアイブス(ST.IVES)」などを含むエリダ・ビューティ(ELIDA BEAUTY)部門の売却を完了。5月には、内部要因と市場環境の悪化が重なったとして、自然派スキンケアブランド「レン(REN)」を終了した。フェルナンド・フェルナンデス(Fernando Fernandez)CEOは、業績不振の食品ブランドを売却する計画も明らかにしている。