小木"Poggy" 基史ユナイテッドアローズバイヤー兼ユナイテッドアローズ&サンズディレクター(以下、小木):「リバティフェア」(米ラスベガスのファッション見本市)に「ポギーズワールド」を出展するなど、海外との関わりが深くなる一方で、「日本人として海外に何を伝えたいか」を考えることが増えた。メード・イン・ジャパンの魅力は海外の人たちのほうが詳しいことが多く、自分はちゃんと向き合えていなかったと思う。そこで、日本のストーリーがあるモノを東京ブランドの「ノンネイティブ」と一緒に作りたいと思った。
藤井隆行「ノンネイティブ」デザイナー(以下、藤井):日本がテーマといっても、コテコテの和風なコレクションは作りたくなかった。海外の人たちにわかりやすく刺さる「京都」「草木染」「藍染(インディゴ)」「日本製」というキーワードを、シンプルに掘り下げていった。
小木:個人的な裏テーマは“ポギーズ ワードローブ”。「ノンネイティブ」の定番人気シリーズの中でも、僕が今リアルに着たい型をピックアップし、染めとデザインディテールを加えた。驚いたのは、藤井くんに紹介してもらった京都の職人さんの技術力だ。沖縄以外での琉球藍染技術の持ち出し許可を得ているのは、唯一この工房だけ。その藍染は職人の手仕事で行われるが、草木染は、ベストな染め方を工房が徹底的に分析・数値化し、量産を可能にしている。昔ながらのやり方に固執せず改良を重ね、ムラを少なく一定のクオリティーを保つところに、ジャポニスムのマインドを感じた。
藤井:この工房のレベルは、取り組むたびにアップデートされている。とはいえ、個体差や色落ちは依然として楽しみの一つ。新品でありながら一点モノだ。たとえば今着ているジャケットの黒の色出しには木のチップを用いるのだが、墨汁の色のような独特の風合いが魅力で、化学染料では出せない。店頭では商品の全在庫を見比べて、自分だけの一点を探してもらいたい。
小木:イメージムービーでは、あえて藍で染める前の白いジャケットも着用し、インディゴとのコントラストがわかる構成も盛り込んでいる。お寺や祇園の街並みなど、京都らしい要素がたくさん詰まっているので、海外の人にも日本クオリティーの魅力がさらに伝われば嬉しい。
WWD:コレクション製作でこだわったことは?藤井:“ザ・和風”にならないよう、バランスに気を配った。テーマもあえて「和」ではなく「和み-calm-」。ポイントになったのはブランドタグだ。インディゴのナチュラルな佇まいに、マゼンタピンクのアクセントが抜群のコントラストと今っぽいハイブリッド感を生み出した。僕の中でこのケミカルなピンクは、小木くんのイメージにぴったり(笑)。
小木:藤井くんは引き算が上手。僕は足し算派で、“4番バッター”級の強いデザインを買い付けがち。その中で「ノンネイティブ」のシンプルで絶妙なシルエットの洋服は、バランスをとるためにUA&サンズに欠かせないブランドになっている。
WWD:また次回もコラボレーションするなら、何を作りたい?
小木:カタチを変えながら、「日本」「伝統」をフックにした企画を継続したい。さっき二人で、「次は、藤井くんの故郷の奈良のシカにフォーカスするのは?」と話していた。シカ革をライダースにしたり、シカの角でペンダントヘッドを作ったり。
藤井:なら次のムービーでは、奈良でシカに乗ったり(エサの)せんべいを取り合う小木くんが見られるかもね(笑)。