青山・みゆき通りに移転オープンした直営店のお披露目のため、ステラ・マッカートニーが来日した。「子どもたちに会いたいから」と、ソウル、東京、北京を3日間で駆けめぐる、超多忙な働くママでもあるステラに話を聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):サステイナビリティーへの取り組みは今、どこまで進化している?今季「ファーフリーファー」のタグを付けたフェイクファーのコートやバッグは、リアルと見間違えるほどの出来だったが?
ステラ・マッカートニー(以下、ステラ):サステイナビリティーは私たちのクリエイションの中心にあることで、毎シーズン進化しているわ。「ファーフリーファー」レーベルを立ち上げたのは、本物のファーを着るのが嫌だという友人にフェイクファーの商品を作ってくれないかと頼まれたから。技術が進み、フェイクファーもリアルに見間違える時代。だからフェイクだと分かるようにラベルを付けたの。本当に不思議なのは、99.9%のファッションブランドがいまだにファーを使っていること。全く問題ないと思っていることが衝撃的。私はフェイクファーでさえ何シーズンも使っていなかった。だって本物に見えるから使うのをためらうの。消費者はどのように毛皮が作られているのか知らないと思う。もしそのプロセスを知ったら、本物の毛皮を着ないと思う。ファーに関する情報も増えてきているし、「ファーが良くない」ということに気付いた女性も増えている。それでも皆が本物のファーを求めるのは、ほかに選択肢がないから。ファッション業界での動物の命の値段はとても安く、ファーは決して高価な素材ではないのよ。
WWD:以前、消費者に“選択肢”を提供することがデザイナーの役割と話していたが?
ステラ:デザイナーにとって、クリエイティブであることは必須よ。その上で、新しいシルエットやヘムライン、素材を作り出すのと同じくらい大切でエキサイティングなことは、商品の製造過程を問い直すこと。たとえば、ソールに生物分解可能なゴムを使ったり、多くの土地や水、食料を必要とする革ではなく新しい素材で代用したり。とってもワクワクするプロセスよ。新しい建築を作るときにはLEDライトを使わなければいけないし、環境についてきちんと考えなければいけないといったルールや規則があるけど、ファッションにはないでしょう?消費者に秘密を隠しながら、たくさんのレザーバッグやシューズを売っているでしょう?私は決して人のせいにしたり、責任を感じさせたりしたいわけではないの。人々に情報を提供し、教えてあげたいの。そうしたらそれぞれが自分で選択できるじゃない?完璧な人間なんていないし、私も完璧ではない。でも、何もしないよりは、どんなに小さいことでも何かしらアクションを起こした方が絶対にいいと思っているわ。