ファッション

「プラダ」2017年春夏ミラノ・メンズ・コレクション

REPORT

地球温暖化さえ見据えた⁉︎自然と生きるアクティブレイヤード

今季の「プラダ」は、自然との共生、特に着々と進行する地球温暖化によって海面が上昇し、陸地が減ることで海辺や高地での暮らしを余儀なくされる未来のわれわれを描いているようだった。しかし、何かに警鐘を鳴らしたり、憂うようなネガティブな発想はまるでなく、むしろその生活を、努めて楽しむ明るくハッピーな印象だ。

 ファーストルックから続くのは、パンツの裾をベルクロで止め、サンダルを履いたアクティブなスタイル。冒頭こそスーツやフォーマルなコートだが、スタイルはすぐに透けるほど軽いナイロン素材でカラフルな止水テープを施したブルゾンスタイルに変わる。ビッグボリュームのバックパックにはナイロンアウターを挟み込む、さながらトレッキングか、暑すぎてブルゾンを脱ぎ捨てた夏のスタイルのよう。ブルゾンには夏の果物、カラフルなチェックをのせて彩るが、一部には差し迫る豪雨を教えてくれるアメダスの映像をそのまま転写プリント。ネオプレン素材のダイビングシューズやレインパンツ、雨よけのツバ広帽など、雨や水をイメージさせるアイテムも登場した。

 中盤以降はモノトーンの機能的アイテムの他、テーラードジャケットやフラワーモチーフ、オーバーチェックのブルゾンも登場し、よりコマーシャルに変容する。特大のバックパックには、ナイロンアウター以外にもジャケットやスニーカー、ベルクロがストラップ代わりになったドレスシューズの他、ポーチや水筒、ペンライトまで、さまざまなアイテムがぶら下がる。必要なものはすべて持ち歩く、突然変わる天候も恐れない、未来を見据えたスタイルであると同時に、小物の提案が多くコマーシャルだ。さまざなアイテムを重ねて作るスタイルも、比較的手頃な軽衣料の充実した提案につながった。

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