ファッション

「グレンフィディック」とアストンマーティンF1チームが16年熟成ウイスキー発売 世界限定70本の600万超ボトルも登場

スコッチウイスキーブランド「グレンフィディック(GLENFIDDICH)」は10月26日、アストンマーティン フォーミュラ1レースチームとのコラボレーションウイスキー“グレンフィディック16年 アストンマーティンデザイン 2026”を数量限定で発売した。700mLで価格は1万6500円。

同ウイスキーは、16年以上熟成した5種類の樽原酒を組み合わせたシングルモルトウイスキーで、ファーストフィル(初めて原酒を詰める)のバーボン樽をベースに、ポートワイン樽、オロロソシェリー樽、フィノシェリー樽、赤ワイン樽の原酒を使用した。メープルシロップを思わせる甘みやフルーティーな香り、なめらかな口当たりが特徴だ。

ウイスキーとF1
異なる世界に共通するモノ作りの哲学

両者は2024年にパートナーシップを締結し、2025年にはコラボレーションによる16年熟成と19年熟成のシングルモルトウイスキーを発表した。今回の商品は、16年熟成ウイスキーの第2弾に当たる。今回のコラボレーションでは、「グレンフィディック」のモルトマスターであるブライアン・キンズマン(Brian Kinsman)と、アストンマーティン フォーミュラ1レースチームで技術開発を率いるエイドリアン・ニューウェイ(Adrian Newey)=マネージング・テクニカル・パートナーが、それぞれの持つクラフツマンシップに着想を得た。

10月23日にアストンマーティン青山ハウスで行われた発表会では、キンズマンが日本に向けて寄せたビデオメッセージが上映された。同氏は「一見するとF1マシンの開発とウイスキー造りに共通点はないように思えるかもしれない。しかし、ニューウェイと時間をともにする中で、細部まで徹底的にこだわり、手作業でものづくりに取り組む姿勢が共通していると気付いた。F1マシンは文字通り人の手によって造られているが、ウイスキーも同じだ」と語った。今回の16年熟成ウイスキーについては、「バーボン樽が『グレンフィディック』らしさを形作る中心にあり、ワイン樽が味わいに深みや質感、フルーティーさを加える。さらにシェリー樽やポートワイン樽を組み合わせることで、果実味や味わいの複雑さを引き出した」と説明。フィノシェリー樽については、「その存在にはほとんど気付かないかもしれないが、なければ何かが足りないと感じるような、繊細なニュアンスを加えている」と、その役割を強調した。

また、ウイスキー評論家の土屋守氏と国際モータージャーナリストのピーター・ライオン(Peter Lyon)氏が登壇。土屋氏は、今回の商品について「中心にあるのは、アメリカンホワイトオークのバーボン樽から生まれるバニラやハチミツ、メープルシロップのような甘い香り。そこにシェリー樽やポートワイン樽がもたらす果実味が重なっている」と解説した。さらに、フィノシェリー樽に由来するわずかな塩味がアクセントになっていると分析し、「シルクのようになめらかな口当たりでありながら、複雑な要素が非常に優雅なバランスでまとまっている」と評価した。

両ブランドのものづくりについて、ライオン氏は「現在のF1は膨大なデータと数字を基にマシンを開発するが、最後にセッティングを判断するのはドライバー自身の感覚。ウイスキーも同じで、科学的な分析はできても、最終的には人間が香りを嗅ぎ、口に含んで判断する。データは何ができたかを教えてくれるが、それが本当に素晴らしいものかを決めるのは人間の感覚だ」と話した。

土屋氏は、「グレンフィディック」が大規模な生産体制を持ちながら、伝統的な製法を受け継いでいる点にも言及した。「膨大な数の樽から原酒を選び、試作を重ねた上で、最終的にはモルトマスターの感性で味わいを決める。その過程は、F1マシンの開発にも通じる」。今回の16年熟成ウイスキーについては、「長年使い込まれたイギリスのアンティーク家具のような雰囲気がある。飲んでいると職人の手仕事の跡を感じる。作り込みの美学が表れたウイスキーだ」と述べた。

1977年蒸留の希少なウイスキーも
世界限定70本、日本では2本のみ

また、「グレンフィディック」は、「アストンマーティン(ASTON MARTIN)」との特別なコラボレーションウイスキー第2弾となる“グレンフィディック 1977 ヴィンテージ”を2027年1月に発売する。世界限定70本のうち、日本国内では2本のみ販売し、価格は632万5000円。一般販売は行なわず限られた顧客のみに販売する。同ウイスキーは、1977年に蒸留した原酒を使用したシングルモルトウイスキーで、同年は、「アストンマーティン」が当時世界最速の4シーターカーとして“V8 ヴァンテージ”を発表した年であり、両ブランドの歴史的な転換期に着想を得た。

原酒はアメリカンオークのホグスヘッド樽で40年以上熟成した後、2024年に容量の小さいクォーターカスクへ移し替え、追加熟成した。ブラウンフォーマンジャパンの金原大悟「グレンフィディック」ブランドマネージャーは「長期間の熟成によって原酒が減り、樽の中の空間が大きくなっていた。そこでブライアン・キンズマンが、小ぶりな樽に移してさらに熟成することを決断した」と説明。「グレンフィディック」が自社で樽製造施設を保有していることから、専用の樽を製作して追加熟成を実現したという。

パッケージは、1977年当時の「アストンマーティン」のインテリアから着想を得た。シルバーやクロームを取り入れた手作業で仕上げた木箱には、個別のシリアルナンバーを施した。

土屋氏はこの希少なウイスキーについて、「非常に濃厚で、香りを言葉で表現するのが難しい」とコメント。さらに、「飲んでいると、ずっと時をさかのぼっているような感覚になる。当時にどこにいて、何をしていたのだろうと、そんなことまで考えてしまう」と振り返り、長い年月を経たウイスキーが呼び起こす記憶や、その奥深さについて語った。発表会には干場義雅「フォルツァ スタイル(FORZA STYLE)」(講談社)編集長も登壇、試飲を楽しんだ。

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