
三越伊勢丹のアップサイクル企画「ピース de ミライ」の一環である学生向けデザインコンテスト「第3回 三越伊勢丹ミライアワード」の受賞作が決まった。今回は東レのウルトラスエード事業部が協賛し、スエード調人工皮革「ウルトラスエード(ULTRASUEDE)」の端材と規格外反を提供した。エスモード ジャポン東京校、東京モード学園、文化服装学院の3校から389件の応募があり、各校の選考を経て制作された全21作品は、伊勢丹新宿店本館のウインドーで10月27日まで展示している。
ミライアワード大賞と伊勢丹新宿店賞をダブル受賞したのは、東京モード学園ファッションデザイン学科高度専門士コース3年の藤田紬生さんによる「KIRIE」。ウルトラスエードをレーザーでカットし、繊細な幾何学模様を施した。審査員は「とても繊細でありながらも力強さや存在感が感じられる作品」と評した。
メディア賞は村上要「WWDJAPAN」編集長が審査を担当し、文化服装学院ファッション高度専門士科4年の中嶋梨乃さんの「PLOT」を選んだ。「書かれた言葉は時間と共に薄れ、やがて個人の記憶へ溶けていく」をコンセプトにした作品で、講評は「一番好き。工夫をこれ見よがしにせず、美しく仕上げていました」。
デザイナー賞は「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」の皆川明デザイナーが審査し、文化服装学院の林寧々さんの「Re Structure」が受賞した。ウルトラスエードを編んでつなぐディテールで、新しい構造美を表現した。皆川デザイナーは「クリエーションと工程へのディレクション能力が高いと評価できる作品であり作者だと思います」とコメントした。
2017年から続く産学連携の延長線上に
協賛社として東レが選ぶ「東レ ウルトラスエード賞」は、文化服装学院の川上琳太郎さんの「根芯」に決まった。「見えない部分に本質を見出すこと」をテーマに、花や葉が土に還る瞬間をデザインした。講評では、断ち切りで使えるというウルトラスエードの特徴を最大限に生かした点が評価された。
環境省の「デコ活応援隊」が審査する環境大臣賞は、文化服装学院の須田誠さんの「境」が受賞した。フリンジを編み込んで作った交差する構造で、固定化された境界の再構築を表した。講評では「ゼロウェイストの考えをデザインの起点とし、環境への配慮を造形の魅力へと昇華している点も印象的」と評価された。来場者の投票(9月16〜29日)で決まるお客さま賞は、文化服装学院の我妻ルイさんの「Wearable Boundary」。満員電車で失われる個人の空間と、他者との距離に着目した。
ウルトラスエード事業部は、2017年から若手デザイナーの支援と教育機関との産学連携を続けている。美術系・服飾系の学校で素材説明会を開き、作品制作用の生地を無償で提供してきた。国内では多摩美術大学、エスモード ジャポン、文化ファッション大学院大学、東北芸術工科大学、国際ファッション専門職大学、千葉大学工学部などと組む。海外でも、中国の中央美術学院や清華大学美術学院、英国のセントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)と連携しており、同校の「リセットショー」には18年から参加している。
同事業部は「豊かな社会を次世代へ」という価値観が「ピース de ミライ」の目指す方向と重なったことを、今回の協賛の理由に挙げる。学校の中にとどまっていた取り組みが、百貨店のウインドーという一般の消費者の目に触れる場所に出たことで、教育機関・素材メーカー・流通がつながる発信へ広がった。卒業後に独立したデザイナーや企業に就職したデザイナーが、ビジネスでウルトラスエードの採用を検討するケースも出てきているという。
展示概要
■第3回 三越伊勢丹ミライアワード
展示作品:ウルトラスエードの端材・規格外反を使った学生作品 全21体
期間:10月7日〜10月27日
場所:伊勢丹新宿店本館ウインドー
協賛:一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構
後援:環境省