
大丸松坂屋百貨店は2027年4月、京都・嵐山にアートスペース「嵐山コレクティブ(ARASHIYAMA COLLECTIVE)」を開業する。木造2階建てで、1階をオープンギャラリー、2階を招待・紹介制の空間として運営する。オープニング展には現代美術家の宮島達男を迎える。
コンセプトは“共創・継承・越境”。アーティストやギャラリー、地域社会などと協働して新たな文化的価値を生む「共創」、京都が育んできた文化や美意識を現代の感性で捉え直し、次代へつなぐ「継承」、アートやラグジュアリー、ファッション、デザイン、伝統工芸といった領域の境界を越えて新しい表現や体験を生む「越境」を掲げる。現代アートを中心とした作品と、嵐山の歴史や文化、日本で受け継がれてきた伝統的な美意識が交差する場を目指す。
京都で300年超の商い、嵐山の“場の力”を生かす
大丸は1717年に京都・伏見で創業し、300年以上にわたって京都で商いを続けてきた。松坂屋も、1745年に京都仕入店を開いてから2010年までの265年間、京都で高級呉服の制作や染織・工芸品の収集に取り組んできた。同社にとって京都は「美と意匠を学び育んできた特別な土地」だという。
中でも嵐山は、古くから芸術家や文化人が集い、今日まで受け継がれる文化や美意識を育んできた場所だ。「嵐山コレクティブ」はこの“場の力”を生かし、多様なアートや人、文化、価値観が交差する場をつくる。
オープニング展は宮島達男 「時間」と「生命」を問う
空間設計は、建築家の石田建太朗が率いるKIAS(KENTARO ISHIDA ARCHITECTS STUDIO)が手掛ける。建築を作品展示のための器ではなく、作品や訪れる人、自然光、嵐山が育んできた風土や周囲の景観と呼応する「体験の一部」と捉え、土地の歴史と向き合いながら空間をつくる。
オープニング展には、現代美術家の宮島達男を迎える。「時間」と「生命」という普遍的なテーマを探究し続けてきた宮島の作品と、時代を超えて多様な人々や文化が交差してきた嵐山という土地を出合わせ、「訪れる人々の心に深く残る体験」を生み出すことを狙う。以降の展覧会のラインアップは、年明け以降に発表する予定だ。
百貨店の売り場とは異なる環境で、アート事業を広げる
同社はこれまで、松坂屋名古屋店や大丸東京店の美術売り場の大規模改装、取り扱い作品の拡充などを通じて、アート事業の基盤を強化してきた。若い世代に向けてアートの楽しみ方を発信するウェブメディア「アートヴィラ(ARTOVILLA)」や、新進気鋭の若手作家を支援するプログラム「ラダー プロジェクト(LADDER PROJECT)」など、百貨店の枠にとらわれない事業も展開している。
「嵐山コレクティブ」はこうした取り組みをさらに発展させるべく、百貨店の売り場とは異なる環境で文化的な協業や体験価値の創出に取り組む。
■嵐山コレクティブ(ARASHIYAMA COLLECTIVE)
開業:2027年4月
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町7-1
アクセス:嵐電(京福電鉄)嵐山駅から徒歩4分、阪急嵐山線嵐山駅から徒歩11分、JR山陰本線(嵯峨野線)嵯峨嵐山駅から徒歩12分
構造:木造2階建て
延べ床面積:215.39平方メートル(1階111.70平方メートル、2階103.69平方メートル)
運営:大丸松坂屋百貨店