
御木本製薬は、ミキモトの新たなビューティカテゴリー「ミキモト ビューティー(MIKIMOTO BEAUTY)」を始動した。ミキモトが130年以上にわたり真珠と向き合う中で培ってきた知見と、御木本製薬のスキンケア研究を融合したブランドで、真珠の美の原理に着目した商品を提案する。
同ブランドは、御木本製薬の小川社長の構想から20年越しのデビューとなった。「『ミキモト』が身につける美しさを表現してきたとすれば、『ミキモト ビューティー』は、その人自身が備える美しさに向き合うものだ」。この言葉が、新ブランドの立ち位置を端的に示す。ジュエリーが外側から人を飾るものであるのに対し、「ミキモト ビューティー」は肌そのものの美しさを追求する。異なる領域でありながら、共通の美意識で結び直した。
小川社長は、「私たちが目指したのは、真珠の美しさを化粧品にするということだけではない。長年にわたり培ってきた研究、そしてモノ作り、そして美しさへの考え方、その全てを一つのブランドとしてお届けしたい」と胸を張る。
同社が着目したのは、美しい真珠に見られる均一な層構造だ。光が幾重にも重なる層で反射することで、真珠特有の奥行きのある輝きが生まれる。皮膚にも層構造があり、それぞれの層が健やかに整うことが肌の美しさにつながるとの考えから、同ブランドは「美層肌」という美容思想を打ち出した。透明感、艶、張り、弾力など、肌が本来持つ美しさを引き出すことを目指す。
パールラミナが鍵
この思想を成分として形にしたのが、独自複合成分「パールラミナ」だ。パールコンキオリン、パールコンキオリンW、パールグリコーゲンの3成分を最適な比率で組み合わせた。長年の真珠研究と皮膚科学研究の積み重ねから生まれた成分で、先行美容液「イルミネーティング セラム」(30mL、2万460円/50mL、3万3000円/レフィル50mL、3万1350円)にはシリーズ最高濃度で配合する。
ラインアップはクレンジング、洗顔料、先行美容液、化粧液、美容液、化粧下地、クリーム2品の計8品で、価格帯は1万1000〜4万1800円。ギンザシックス店と公式ECで販売し、百貨店ではポップアップを展開する。今後は主要百貨店や免税店への出店を視野に入れる。
真珠研究を支える研究・生産体制

御木本製薬は1943年に設立。真珠を美容と健康に生かす「パールサイエンス」に取り組んできた。66年には、真珠由来の保湿成分「パールコンキオリン」を配合した化粧品を開発。71年に発売したスキンケアシリーズ「ムーンパール」は、8度のモデルチェンジを重ねている。
研究開発は、皮膚科学、製剤技術、品質研究、感性研究、真珠研究、新素材研究の6領域で進める。「実感・使用感・安心感」を高い水準で調和させる化粧品開発を目指し、皮膚科学では大学の研究機関と連携。皮膚生理や細胞機能の研究に加え、評価技術の導入にも取り組んでいる。
製剤技術にも早くから投資してきた。85年に化粧品工場へ超純水製造装置を設置し、92年には超高圧乳化装置を導入。現在、この乳化技術は成分のナノ化や高配合、肌なじみ、製剤の安定性に生かされている。
研究所と工場は三重県伊勢市にある。工場では一貫生産を行い、生産工程のスマート化と手作業を使い分けて、商品やブランドごとのモノづくりを支える。4月には、処方開発の専門拠点「東京サテライトラボ」を東京・銀座に開設。伊勢と東京の2拠点で、処方開発のスピード向上を図る。
OEM・ODMを手掛ける一方、真珠由来成分を使用できるのは自社ブランドに限られることから、独自ブランドの開発にも力を注いできた。2025年4月には、御木本製薬などが出資するLINKが、中価格帯のセルフスキンケアブランド「リンク(LINK+U)」を発売。今年4月には「ミキモト コスメティックス」を「ムーンパール」に改称し、公式通販を中心とする体制へ移行した。そして10月1日、新ブランド「ミキモト ビューティー」がデビューした。
今後は、国内で販売基盤を固めた上で、アジアを中心に海外展開を目指す。ジュエリーに続き、化粧品分野でも「世界のミキモト」の存在感は高まっていきそうだ。