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日本一のい草産地・八代から生まれたラグ「izaiza」 中川政七商店「地産地匠アワード」グランプリ

中川政七商店は9月2日、デザインアワード「地産地匠アワード2026」の受賞発表式を開催し、グランプリ1点、準グランプリ1点、優秀賞3点を発表した。10月14日から、中川政七商店の旗艦店「渋谷店」「ニュウマン高輪店」「奈良本店」「福岡天神店」とオンラインストアで、受賞5商品を展示・販売する企画展を開催する。

地産地匠アワードは、ものづくりの新たな循環を目指して中川政七商店が立ち上げたアワードで、今年が3回目。「地産地匠」は地元生産×地元デザインを指し、産地のメーカーと地域のデザイナーが協働して生み出したプロダクトを募集し、受賞後の販路開拓まで継続して支援する。24年度グランプリの漆器「めぶく弁当」は初回製造分100個が早期完売し、購入者が産地で漆の植栽活動に参加する動きにも発展した。25年度グランプリの「大門箸」は、販路支援開始前と比べて売り上げが約20倍、導入する飲食店も約2倍に増加するなど、商品の販売を超えた広がりが生まれている。

審査員は今年も、プロダクトデザイナーで総合デザインディレクターの大治将典Oji & Design代表、マーケティングストラテジストの長田麻衣、クリエイティブディレクターでオフィスキャンプ代表社員の坂本大祐、矢野直子・積水ハウスR&D本部フェローの4人が務めた。

今年は62件のエントリーから、日本一のい草産地である熊本県八代市で生まれたラグ「izaiza」がグランプリを受賞した。手掛けたのは、itiitiの田中典子と村上貴美、かつあきの佐藤かつあき。伝統的な平織りではなく、い草を縄状にし、布へ一目ずつ植え付ける独自のタフティング技法を開発した。これまでの畳やゴザの概念を覆し、柔らかさと張りを併せ持つ新感覚の触り心地を実現。い草の表面積を増やすことで、綿の約3倍といわれる吸湿力や、ホルムアルデヒドを吸着・分解する空気清浄効果といった、い草本来の機能性も生かした。また、ゴザを織るには短い、成長不良のい草を活用できる点も特徴だ。畳やゴザの需要が減少する中、い草を現代の暮らしに取り入れやすいラグへと展開し、素材の新たな可能性を切り拓いた点が高く評価された。

itiitiの田中典子は授賞式で喜びを語った。「八代では昨年の豪雨に続き、今年も地震に見舞われ、い草農家が大きな被害を受けました。作業小屋や織機が壊れ、部品メーカーも1社しか残っていないため、『あと半年くらいはゴザを作れない』という農家もいます。い草農家が減少する中、こうした状況で受賞できたことは、八代やい草に関わる人たちにとって大きな勇気になると思います。今回のラグにも、被災した農家から買い取ったい草を使っています。鳥のモチーフには、鳥のように見える被災地域の形も重ねました。この受賞がいつか、『畳のあり方やい草の歴史を変えた一つの転換点だった』と振り返ってもらえるよう、これからも挑戦を続けていきたいと思います」。

審査員を務めたオフィスキャンプの坂本大祐代表はこう評価した。「い草や畳という工芸が抱える課題には以前からさまざまなアプローチがなされてきましたが、その多くは畳というプロダクトの枠から出られず、ライフスタイルのダイナミックな変化に追いつけずにいました。今回のプロダクトは、い草を畳ではない新たな製品として、かつ畳に近い役割を持つ敷物として提案しています。い草は弥生時代ごろの棺から敷物が見つかった例もあり、古くから敷物として使われてきたそうです。それが畳へと発展し、今度は『izaiza』によって、もう一度新しい敷物として暮らしに戻ってくる。そんな可能性を感じました。また、タフティングという製法でい草を扱えることを示した点も大きい。産地に近い場所で活動する二人と、伴走してきた佐藤さんがいたからこそ生まれたプロダクトで、イノベーションを感じました。この言葉はあまり簡単に使いたくないのですが、それでもそう言わずにはいられない。新しい生活様式に合ったい草の敷物が、これから僕たちの暮らしに入ってくる。その兆しを感じたことが、グランプリにつながりました」。

準グランプリには、大阪府泉大津市のメリノウール毛布「SERENE」が選ばれた。川崎毛織の川崎弘治とパンダ企画の廣瀬友子が手掛けた。毛布の産地である泉大津で、「世界一の品質を目指す」という信念のもと、メリノウールを用い、パイピングをなくすことで、隅々までウールの柔らかさを感じられる肌触りと軽やかさを実現した。

優秀賞には、東京都の「東京手描友禅ブラウス」、長野県伊那市の天然木製「七味入れ」、福井県越前市の越前打刃物による「包丁」が選出された。

第4回となる「地産地匠アワード2027」は、27年1月31日までエントリーを受け付けている。

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