ファッション

「イーチ × アザー」2015-16年秋冬パリ ランウエイデビューは服のフォームにフォーカス

 2015-16年秋冬パリ・ファッション・ウィークが3日に開幕した。初日は、「イーチ × アザー」のランウエイデビュー、「アンリアレイジ」のパリ進出2回目のショー、「ヴェルサス・ヴェルサーチ」のクリエイティブ・ディレクターに就任したアンソニー・バカレロのシグニチャーブランド、「ジャックムス」などに注目が集まった。

 “アート・ミーツ・ファッション”をコンセプトにアーティストとコラボしたユニセックスコレクションを提案する「イーチ × アザー(EACH x OTHER)」が初めてランウェイショーを開催した。会場は、パレ・ド・トーキョーの中にあるライブハウスYOYO。大きなスクリーンには、ブランド設立のきっかけになったアーティストで、毎シーズンコラボレーションしているロバート・モンゴメリー(Robert Montgomery)の作品が映し出されている。

 シンプルなTシャツやデニム、ライダースジャケットといったベーシックアイテムにアーティストの作品やフィーリングを乗せたコレクションを提案してきた「イーチ × アザー」だが、ランウエイに登場したのは、ヘリンボーンのテーラリングドレスやとろみのあるシルクのドレーピングドレス、袖をウール地で切り替えたトップス、異なるストライプを切り替えたシャツなど。チューブトップ型のオールインワンやワンショルダーのロングドレスもある。凝ったパターンでフォームをデザインしたアイテムが並び意表を突かれた。いずれもクラシックなアイテムに“一捻り”のデザインを加えていて、キーモチーフにはピンストライプをチョイス。ストライプは彼らにとってアイコンのひとつだが、今回はクラシカルな印象のピンストライプを用いて、服のフォームにフォーカスした。目に見えるアートモチーフはない。

 「クチュールアトリエの『ラザー』と出合いが、デザインの可能性を広げた。凝ったパターンやディテールにより、これまで以上に突っ込んでデザインできるようになった。設立当初からファッションショーを行いたいと考えていたが、今回の出合いが後押しした。今後もランウェイショーは続けたい」とデザインを手掛けるイラン・ドゥルイ。一方アート・ディレクターのジェニー・マナーハイムは、今回コラボした仏バンドのリキッド アーキテクチャーについて「数学的視点を持っていて、ミニマルでありながりも建築的な音楽が特徴。リキッド(液体)アーキテクチャー(建築)は人間の身体と似ている。流線的なプロポーションを生かしながらも建築的なショルダーラインやレングスを作ることをポイントに置いた」とコメント。

 ショーの冒頭は、ライブでモンゴメリの詩をラップする男性の声が音楽に重なり、中盤には、リキッド アーキテクチャーのオードレ・マシナがステージで歌声を披露するというアートフィーリング溢れる空間で、洋服の形にフィーチャーしたコレクションを披露した。

 「イーチ × アザー」はファッションデザイナーのイラン・ドゥルイとアート・ディレクターのジェニー・マナーハイムが2012年秋冬シーズンに立ち上げたブランド。アーティストのロバート・モンゴメリーの詩“SAFE AND WARM HERE / IN THE FIRE OF EACH OTHER(ここは暖かくて安全だ。なぜならここにはお互いの心の火があるから)”にインスパイアされた二人が、アーティストとデザイナー、クラフトマンがコラボレートして服作りをするというアプローチのブランドを作ろうとスタート。「アンドロジナスや双子」をキーワードにユニセックスなコレクションを提案。アーティストがシンプルなウエアをキャンバスに見立て、イメージ、フィニッシングケア、グラフィックプリント、ペイント、ポエムなどのアーティスティックな要素を加えていた。

 また、パブリッシングハウスとして、フィルム、エキシビション、ブック、オブジェクトなどをアーティストと作成し、アートとファッションが交差する場所でのプロデュース活動も行っている。

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