※この記事は2023年05月19日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
Huluが独占配信中のベルナール・アルノーLVMH会長兼CEOのドキュメンタリー「カシミヤを着た狼 〜Kingdom of Dreams〜」を観ました。
売上高10兆円超のラグジュアリー帝国を築き、世界一の富豪にもなった男のサクセスストーリーかと思えば、さにあらず。
メインは2000年前後のジョン・ガリアーノ、アレキサンダー・マックイーン、マーク・ジェイコブスの3人の若く、溢れる才能と、成功にまつわるプレッシャー、そして破滅のストーリー。アルノー会長のドキュメンタリーと言いながら、本人が話したりしている映像は1割程度で、3人のデザイナーのストーリーと当時を知るジャーナリストらの証言を通して、アルノー会長の野望が描かれます。
アルノー会長は“夢”の実現のために大胆な決断をし、資金も投下もする一方で、非常に合理的かつ戦略的で狡猾。彼の“夢の王国”は、素晴らしい才能を持ったデザイナーたちの犠牲の上に成り立っている、アルノー会長こそ、ファッションの世界をマネーゲームにした張本人!というメッセージが、全編を通して伝わってきます。アルノー会長については当時もそういう評価が多かったと記憶しています。
確かに、その通り。確かにそうであることは否定できないのですが、ガリアーノの「ディオール」、マックイーンの「ジバンシィ」、マーク・ジェイコブスの「ルイ・ヴィトン」があってこそ、パリコレは大いに盛り上がりました。多くの人が魅了されたのも事実。かくいう私もその一人です。40代後半以上には懐かしい映像が盛りだくさん。若い世代の目にはどう映るのでしょう。
アルノー会長の来し方が分かるドキュメンタリーですが、同時に、ファッションにおける付加価値が、ラグジュアリービジネスとして確立されていく過程の記録でもあると思いました。突然現れたライバル、PPR(現ケリング)のフランソワ・ピノー会長との熾烈な「グッチ」争奪戦も見どころです。よかったら感想をお寄せください。
さて、話は全く変わりますが、皆さまにお願いです。6月19日号でファッションロー特集を企画しています。サステナビリティに関する表現や生成AIにおける権利など、気になるリーガルトピックスをまとめます。法律に対する意識調査のアンケートにご協力ください。ファッション&ビューティの法律についての質問も受けつけています。ぜひご回答をお願いします!
▼回答はこちら(5月22日まで)
>ファッション業界にまつわる法律問題に関するアンケート
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