ファッション

新規参入が相次ぐビューティのサンプリングボックス事業、勢いはどこまで続くのか?

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 ビューティのサンプリングボックス事業は、消費者それぞれに合ったサンプル製品を4~5個詰め合わせたボックスを毎月届ける定期購入サービスだ。日本でも展開している「グロッシーボックス」を始め、「バーチボックス」「ビューティアーミー」「トータルビューティコレクション」など、新規参入企業は今なお増え続けている。現在、同サービスのアメリカにおける1カ月当たりの事業規模は2000万〜2500万ドル(約23億6000万〜29億5000万円)ともみられる。リサーチ会社NPDのカレン・グラント=ヴァイスプレジデント兼アナリストは、「同サービスの利用者は女性の5%に満たない。しかしサンプルを試した会員のうち、約90%が現品を購入している」と影響力の大きさについて語る。

 サンプリングボックス事業の草分けである「グロッシーボックス」は、毎月21ドル(約2400円)でプレステージブランドのコスメサンプルを詰め合わせたボックスを会員に配送している。ブランド側からサンプルを無料で提供してもらう代わりに、会員からのフィードバックを分析し、マーケティング資料として活用してもらうというビジネスモデルを構築した。「グロッシーボックス」は、「89%のブランドが、また私たちにサンプル製品を提供したいと話している。売り上げは前年比150%、12秒に1箱売れている状況だ」と好調ぶりを話す。

 同じく草創期から展開している「バーチボックス」は定期購入型eコマースサイトだ。当初はサンプリングボックスの定期購入サービスを提供するつもりではなかったという。「バーチボックス」は「われわれはあくまでeコマースサイト。私たちのゴールは消費者に製品を買ってもらうこと。サンプリングボックスは、そのきっかけとなることを狙っているに過ぎない」と話す。現在、会員数は80万人を超え、売り上げの30%は自社のeコマースにおける現品サイズの購入が占める。同社によると、定期購入している会員のうち、約50%が製品を購入するという。「われわれのeコマースサイト上で1年に100万ドル(約1億1800万円)の売り上げを記録するブランドもあり、これは『セフォラ』での売り上げよりも好調だ、と聞いている」と語る。今年は、初の実店舗もオープン。アメリカやカナダ、フランスなど6店舗を構え、オンラインとの相乗効果を狙い、今後も注力していくという。

 近年はビューティブランドが自分たちのブランドのサンプリングボックスを販売するケースも増えている。例えば、「ロクシタン」。「エルマガジン」とコラボレーションしてビューティボックスを発売した。また、ネイルケアブランドの「ジュレップ」は、毎月10ドル(約1100円)で定期ボックス「ジュレップ・メイヴェン」を販売。店頭未発売の新色ポリッシュ1本とリムーバーを毎月、会員に届けている。

 この他、2011年12月に創業し、人気の動画ブロガーであるミッシェル・ファンとコラボレーションしたサンプリングボックスを提供するイプシー社の「グラム バッグ」は、製品の使い方を説明したチュートリアル動画を用意し、若年層獲得に成功している。現在の会員数は約10万人と、人気を伸ばしている。

 一見、差別化が難しく見えるサンプリングボックス事業だが、その実態をみてみると、独自性に富んだユニークなサービスを提供している企業が多い。飽和状態にあると言われている同事業だが、ユニークなビジネスモデルで挑む新規参入者の登場にはまだまだ期待が持てそうだ。

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