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「アンリアレイジ」と日本酒ブランド「サケハンドレッド」が協業 グローバルブランドを目指す両者の熱い思い

 Clearが運営する日本酒ブランド「サケハンドレッド(SAKE HUNDRED)」は、森永邦彦によるファッションブランド「アンリアレイジ(ANREALAGE)」とコラボレーションした商品を発売した。「サケハンドレッド」を代表する日本酒「百光(BYAKKO)」に、森永がデザインしたラベルをのせた「百光 ANREALAGE Edition “A LIGHT/UN LIGHT”」(5万2800円)と、限定グラスを合わせた「百光 ANREALAGE Edition “A LIGHT/UN LIGHT” 限定グラスセット」(7万4800円)の2種をラインアップ。「光と影」をテーマに、一見モノクロのラベルが光によってその表情はがらりと変化する。カメラでフラッシュ撮影すると、彩られ輝くラベルが画面上に映し出される仕掛けだ。

 コラボレーションに至った経緯や異業種の協業の意義について、「サケハンドレッド」を運営する生駒龍史Clear CEOと森永邦彦「アンリアレイジ」デザイナーに聞いた。

「光と影」をテーマにした
限定ラベル
共通する“細部への
異様なまでのこだわり”

—コラボレーションの経緯は?

生駒龍史Clear CEO(以下、生駒):「サケハンドレッド」は「心を満たし、人生を彩る」というブランドパーパスを掲げています。心を満たすためには、おいしいという味覚にとどまらず、五感で楽しむ豊かさを提供する必要があります。その思いをコラボレーションで表現しようと考えたときに、一緒に取り組む相手先に必然性がなければなりませんでした。そこで「アンリアレイジ」は、細部への異様なまでのこだわりがあるブランドであり、僕らがつくる日本酒と重なる部分があると思いました。日本酒は嗜好品で、透明の液体なのですが、原料の米がどういう育ち方をしたのか、日照量や雨はどのくらいだったのか、どんな酵母を用いるのか、麹やもろみの発酵管理は適切かどうかなど、細かいことが生産背景に隠されています。そういった要素の全てが味に大きく影響し、その緊張感がブランドの佇まいに表れます。また、「日本から世界に挑戦する」というミッションを持っているところも両ブランドが持ち合わせている共通点でした。

森永邦彦「アンリアレイジ」デザイナー(以下、森永):業界は違えど、同世代で世界に挑戦する同志であり、コンセプトやビジョンも一致すると思いました。「アンリアレイジ」は「日常と非日常」をテーマにして服作りをしながら、“光”や“クリア”をキーワードにしたコレクションを発表したこともあり、親近感を覚えました。

「百光」であり、
「アンリアレイジ」である
お互いの延長線上で
交差したコラボレーション

—実際のコラボレーション商品の制作はどのように依頼した?

生駒:「サケハンドレッド」には現在8つの商品がありますが、今回コラボレーションした「百光」はブランドを代表する日本酒です。「100年先まで光照らすように」という思いを込めて名付け、ラベルには日本の古来の吉祥文様であるひし形を採用しています。味わいにはとても透明感があり、滑らかで余韻も長い、最高品質の日本酒です。僕らの中心にあるフラッグシップ商品でご一緒したいと思いました。そして、このひし形のラベルを使ったコラボレーションを実現したいと伝えさせていただきました。

森永:「アンリアレイジ」は「神は細部に宿る」というコンセプトでモノ作りをしており、いかに小さく、誰もが見過ごしてしまうようなものにも価値があるということを考えています。「百光」はその名前と、ひし形のラベルという2つの要素が完成されているものだったので、そこにどう付加価値を出していくのかということにフォーカスしました。まずはひし形を100分の1スケールに小さくして、光が当たることでさまざまな色が浮かび上がる仕掛けで、ラベルの彩りが満たされることを表現しました。また光は影がないと確認できないものなので、グラスでは光が当たるとひし形と文字の影として落ちるデザインを考えました。

生駒:これを見て、「『百光』であり、『アンリアレイジ』だ!」と思いました。それはこれ以上ない成功であり、しっかりお互いの延長線上で交差できたことがとてもうれしかったですね。これは僕らが100年かけても、絶対できない、「アンリアレイジ」でなければ実現できないデザインでした。両方のブランドの良さが一目でうまく入っていると分かることが何よりも大事に感じていました。

森永:従来、商品名を認識しやすいラベルにしなければいけないと思いますが、僕らが提案したのは、黒いラベルに小さい文字が書いてあるもの(笑)。一見すると何か分からないものを生駒さんたちが受け入れてくださいましたね。ボトルを手にした方がこれを見て、「何て書いてあるの?」という疑問を持ち、「百光」を飲んだ体験が、記憶に残るものになってほしいと思いました。

—このコラボレーションのラベルの「百光」は、どのようなシーンで飲んでもらいたい?

生駒:「サケハンドレッド」は、何か大切な場面で飲んでいただけるケースが多いですが、それはお客さまの自由ですので、委ねたいと思っています。数に限りがある商品ではあるので、誰かの人生の記憶に残るようなタイミングに飲んでいただけたらうれしいです。

森永:僕はハレの日にとてもふさわしいお酒だと思いました。「アンリアレイジ」は非日常のファンタジーへの扉のような洋服を作っていますが、「百光」を飲んだときにもその非日常を感じられるような、艶やかな感覚を味わえますね。

新しい価値観が出てくる中で、
恐れずに挑戦していきたい

—日本酒とファッションの異業種の協業の面白さとは?

生駒:このコラボレーションを通じて、「アンリアレイジ」に触れることができたと思いました。自分たちの知らない「百光」の側面に出合えたことができたことが良いサプライズであり、有機的な取り組みを通して新しい学びとなり、ブランドとしてとてもいい経験になりました。

森永:僕らは洋服を作る上で、着る人に寄り添って、その人たちにどう力を与えるのか、ということを考えてきました。今回はお酒でしたが、いろいろ議論を重ねて、異なる価値を与えるということは、ファッションでやっていることと変わらないと思いましたね。今まで自分たちが成してきたことで、また異なる形の可能性を見ることができました。

—両ブランドともに世界に向けた発信を強化しているが、どう独自性を見せていきたいと考えているか?

生駒:グローバルブランドを目指しています。根本には「日本酒の魅力を伝えたい」という思いがあり、1人でも多くの人に日本酒を通じて、日本の米や酵母、麹の魅力を知ってもらいたいという気持ちもあります。日本酒は、日本らしさや日本文化があらゆる側面から感じられる飲み物。おいしいものは世界共通なので、ブランドの体験を通じて、まさに世界中の人々の「心を満たし、人生を彩る」ことに貢献していきたいと思っています。

森永:ファッションには先代からジャポニズムがあり、その強さが必ずあると思っています。僕らも独自のジャポニズムを打ち出そうと考えたとき、2022年春夏にアニメーションとテクノロジーという分かりやすい“日本らしさ”を表現しました。日本にルーツがあるからこそできることを武器として、今後も発展させていきたいです。

—今後のビジョンはどのように考えているか?

生駒:日本酒産業はコロナ禍において苦しんでいる産業ですので、その中でも成長する姿を見せていくという意味で、産業全体をリードしていけるような会社になっていきたいと思っています。また日本酒産業だけでなく、日本の産業全体にとって希望になれるように頑張りたい。まだまだ日本酒は、世界に高く評価される可能性を秘めていると思っています。

森永:今年ブランドが18年目を迎え、ある程度、慣れが出てきてしまっている部分もありますが、時代が変わり新しい価値観が出てくる中で、恐れずに挑戦していきたいですね。やりたいことはたくさんあり、特にNFT(非代替性トークン)にも可能性を感じていますし、仮想3次元空間「メタバース」を使った接客などにも取り掛かっています。僕らが持つデジタルやテクノロジーの強みをファッションで発信する時が来たと思っています。

日本的な美意識が
込められた限定ラベル

 今回のコラボレーションは特別動画でも概要を確認できる。谷崎潤一郎による『陰翳礼讃』に着想を得た、日本人の美意識がラベルデザインに落とし込まれている。商品は、2021年11月8日からオンラインで発売されており、商品発送は2021年12月下旬を予定する。

TEXT : MAMI OSUGI

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サケハンドレッド
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