「ルイ・ヴィトン」との2度目のコラボバッグを手にする草間彌生 COURTESY PHOTO YUSUKE MIYAZAKI ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON) 」はこのほど、2026年8月14日に多臓器不全のため97歳で死去した前衛芸術家・草間彌生に対し、“現代美術界で最も偉大なアーティストの1人”と追悼の意を表した。
2006年から続く関係
マーク・ジェイコブスと草間彌生 COURTESY PHOTO KISHIN SHINOYAMA ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
マーク・ジェイコブスにプレゼントしたアイコンバッグ“エリプス”を手にする草間彌生 COURTESY PHOTO NAOKI ISHIZAKA FOR LIBERTIN DUNE ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
ルイ・ヴィトンの元最高経営責任者のイヴ・カルセル、草間彌生、ジョルディ・コンスタンス COURTESY PHOTO JOE SCHILDHORN/BFANYC.COM ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
草間氏と「ルイ・ヴィトン」の最初の接点は、2006年にさかのぼる。当時クリエイティブ・ディレクターを務めていたマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)が、東京にある草間氏のスタジオを訪問した際、彼女は「ルイ・ヴィトン」のアイコンバッグ“エリプス(Ellipse)”のモノグラム・キャンバスを水玉模様で覆い、ジェイコブスにプレゼントしたのだ。その後、ジェイコブスが草間氏に声を掛ける形で、2012年にウエアとアクセサリーのコレクションでコラボレーションを実現。その一部には、触手のようにも見える草間氏のモチーフのひとつ“神経”があしらわれた。
2023年の「ルイ・ヴィトン」と草間彌生のコラボコレクション COURTESY PHOTO ALEXANDRE FARACI/WWD ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
2023年の「ルイ・ヴィトン」と草間彌生のコラボコレクション COURTESY PHOTO ALEXANDRE FARACI/WWD ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
そして、2度目のコラボコレクションが23年に発表。新型コロナウイルスのパンデミック中に構想され、ZOOMミーティングやファイル共有技術を活用しながら制作が進められたという。当時「ルイ・ヴィトン」のナンバー2だったデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)は、米「WWD」の取材に対し、「草間彌生の作品を構成する要素のひとつが、『幸福』だ。パンデミックを経た今、『ルイ・ヴィトン』と彼女の世界が再び出合うことは、とても新鮮なものになると考えた」と語っている。
パリ・シャンゼリゼ通りの「ルイ・ヴィトン」旗艦店に設置された、草間彌生の巨大なバルーン・スカルプチャー COURTESY OF LOUIS VUITTON ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「ルイ・ヴィトン」と草間彌生のコラボを記念したディスプレーに彩られたロンドンのハロッズ COURTESY PHOTO KASIA BOBULA/WWD ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「ルイ・ヴィトン」と草間彌生のコラボを記念したディスプレーに彩られたロンドンのハロッズ COURTESY PHOTO KASIA BOBULA/WWD ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「ルイ・ヴィトン」と草間彌生のコラボを記念したディスプレーに彩られたロンドンのハロッズ COURTESY PHOTO KASIA BOBULA/WWD ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「ルイ・ヴィトン」と草間彌生のコラボを記念したディスプレーに彩られたロンドンのハロッズ COURTESY PHOTO KASIA BOBULA/WWD ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
2023年の「ルイ・ヴィトン」と草間彌生のコラボコレクションの発売時にニューヨークのミートパッキング・ディストリクトでのポップアップの様子 COURTESY PHOTO BRAD DICKSON ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
中国・四川省成都市の商業施設の「ルイ・ヴィトン」店舗前に設置された草間彌生の作品 COURTESY PHOTO VCG VIA GETTY IMAGES ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「ルイ・ヴィトン」と草間氏のコラボコレクションは現在、コレクター垂涎のアイテムとなり、リセールサイトでは高値で取引されている。また、「ルイ・ヴィトン」は絵筆を掲げる草間氏の巨大な彫刻をパリの本社や旗艦店、ロンドンのハロッズ(Harrods)などに設置したほか、25年7月には「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」で展覧会「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」を開催していた。
ルイ・ヴィトンのピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)会長兼最高経営責任者(CEO)は、草間氏の訃報を受け、「草間彌生は、並外れた自由な発想と想像力、ビジョンによって人生と作品を形作り、この数十年にわたってアートの世界に消えることのない足跡を残した。彼女がアートとカルチャーに与えた影響は計り知れず、彼女とコラボレーションできたことは、ルイ・ヴィトンに携わる全ての人々にとって、この上ない名誉だった。彼女が残した並外れたレガシーは、これからも世代を超えて人々にインスピレーションを与え続けるだろう」とコメントした。
アメリカのハーシュホーン博物館で披露された草間彌生のインスタレーション作品「無限の鏡の間—ファルスの原野」 SMITHSONIAN INSTITUTION/COURTESY OF OTA FINE ARTS, TOKYO/SINGAPORE; VICTORIA MIRO, LONDON; DAVID ZWIRNER, NEW YORK. © YAYOI KUSAMA PHOTO BY CATHY CARVER ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
また、草間氏の代理人も務めたデイヴィッド・ツヴィルナー(David Zwirner)によると、彼女は「亡くなる直前まで絵を描き続けていた」といい、「彼女の芸術は、ミニマリズムやポップアート、パフォーマンス・アートの歴史に影響を与えた。さらに近年では、彼女の大規模なインスタレーションが、現在『体験型アート』と呼ばれるシーンを、ほぼ独力で切り開いた」と語った。これは、代表的なインスタレーションシリーズ「インフィニティ・ミラー・ルーム(Infinity Mirror Rooms)」を指している。
草間氏は、12年に米「WWD」が行なったインタビューで、1980年代にアメリカの老舗百貨店「ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)」で販売した自身のコレクションについて、次のように振り返っていた。
2012年にニューヨークのホイットニー美術館で開催された回顧展で、「ルイ・ヴィトン」を身にまとった草間彌生 COURTESY PHOTO PENSKE MEDIA VIA GETTY IMAGES ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「彫刻であろうと洋服であろうと、私にとっては同じもの。どちらも私の創作物で、全て私のアートの一部だ。私は人生の最後までアーティストであり続ける。アートの力によって人々の心に触れることができるのなら、それは素晴らしいこと。であれば、ビジネスの力を借りてもいいのではないだろうか。そういう意味では、私にとってビジネスもまた一種のアートになり得る。特にファッションの世界では」。