キム・カーダシアン(Kim Kardashian)とイェンス・グリーデ(Jens Grede)が共同創業したインナーウエアブランド「スキムス(SKIMS)」はこのほど、組織の新体制を発表した。創業時からクリエイティブ・ディレクターを務めてきたキム・シュラウブ(Kim Schraub)を最高ブランド責任者(CBO)に任命するとともに、「シュプリーム(SUPREME)」に22年間在籍し、直近では最高クリエイティブ責任者(CCO)を務めていたエリン・マギー(Erin Magee)を最高デザイン責任者(CDO)に起用した。いずれも同ブランドで新設された役職となる。
2つの新ポストでクリエイティブ体制を刷新
シュラウブ新CBOは、アバクロンビー&フィッチ(ABERCROMBIE & FITCH)でキャリアをスタートし、1997年から2002年まで「アバクロンビー」と「ホリスター(HOLLISTER)」およびキッズ部門のデザインとコンセプトを率いた。その後、「ヴィクトリアズ・シークレット ピンク(VICTORIA’S SECRET PINK)」のデザイン&コンセプト部門のエグゼクティブ・バイス・プレジデントを経て、2012年に「イージー(YEEZY)」へ入社。19年までブランド・ディレクターを務め、「アディダス(ADIDAS)」とのパートナーシップをはじめ、イェ(Ye)の6thアルバム「イーザス(Yeezus)」におけるビジュアルアーティストのウェス・ラング(Wes Lang)とのコラボレーション、イェとラッパーのキッド・カディ(Kid Cudi)のコラボアルバム「Kids See Ghosts」のマーチャンダイズ、さまざまなポップアップを仕掛けるなど、デザインからコンセプト、ブランドディレクションまでを主導。また、カーダシアンのコスメブランド「KKW ビューティ(KKW BEAUTY)」と「KKWフレグランス(KKW FRAGRANCE)」でも、パッケージやコンセプト、キャンペーンを手掛けていた。
「スキムス」では、2019年の創業当初にクリエイティブ・ディレクターとして入社して以降、プロダクトのデザインやパッケージ、キャンペーンなど、ブランドのクリエイティブ・ビジョンを手掛けてきた。今後は、新CBOとしてリテールからキャンペーン、コラボレーション、ブランドストーリーテリングまで、消費者とのあらゆるタッチポイントにおけるブランドの世界観とイメージ全般を統括していく。
カーダシアン「スキムス」共同創業者兼最高クリエイティブ責任者(CCO)は、シュラウブ新CBOについて「シュラウブは、『スキムス』が誕生する以前から私たちと一緒に仕事をし、ひとつのアイデアを人々から心から愛されるブランドへと成長させることに貢献してくれた人物だ。彼女のクリエイティブな直感は、『スキムス』が世の中にどう映るか、そのあらゆる部分を形作ってきただけに、これから私たちをどこへ導いてくれるのか、楽しみで仕方ない」とコメントしている。続けて、グリーデ「スキムス」共同創業者兼最高経営責任者(CEO)も「シュラウブは、私がこれまで一緒に仕事をする機会に恵まれた中でも、最も才能のあるクリエイターの1人だ。彼女には、『スキムス』の本質を、目で見て、肌で感じられるものへと落とし込む並外れた能力がある。彼女を新CBOに起用したことは、これまで担ってきたクリエイティブ・リーダーシップの自然な進化と言えるだろう」と説明している。
マギー新CDOはプロダクトのデザインおよびクリエイティブ・ディレクション全般を統括
一方でマギー新CDOは、2004年から26年まで「シュプリーム」に在籍し、近年はCCOとしてアパレルからアクセサリー、コラボ、スペシャルプロジェクトまでを統括してきた人物だ。また、2007年にはウィメンズ向けのストリートウエアブランド「メイドミー(MADEME)」を設立し、ユースカルチャーと独自の女性視点を融合させたプロダクトで高い評価を得てきた。「スキムス」では、プロダクトのデザインおよびクリエイティブ・ディレクション全般を統括。ブランドがメンズラインの拡充やグローバル展開、新カテゴリーへの進出を加速させる中、プロダクト戦略の中核を担うこととなる。
今回の「スキムス」への参画についてマギー新CDOは、「『スキムス』は、極めてパーソナルでありながら、同時に普遍的でもあるブランドを築き上げ、非常に稀有なことを成し遂げてきた。デザインやイノベーション、そしてあらゆる体型のためのソリューションに対する姿勢には、本当に刺激を受けている。この才能あふれるチームとともに、ブランドのクリエイティブの可能性をさらに押し広げ、人々が心からつながりを感じられるプロダクトを生み出していきたい」と意気込みを見せている。
また、カーダシアン「スキムス」共同創業者兼CCOは、「私は何年も前からマギー新CDOの仕事を見てきたが、強い視点を持ってデザインに向き合いながら、オーディエンスとのつながりを決して失わないアプローチを尊敬している。彼女は、本当の意味で人々の心に響くものを作り上げるとはどういうことなのかを理解している」と期待を寄せ、グリーデ「スキムス」共同創業者兼CEOも「マギー新CDOは、比類のないクリエイティブ・ビジョンを持ち、ファッションの枠を超えてカルチャーの象徴となるブランドを築き上げる能力を実証してきた。デザインを見る目、プロダクトに対する深い理解、そして何が人々の心に響くのかを見抜く直感。そのすべてを備えた彼女は、『スキムス』を次の時代へと導くのにまさにふさわしい人物だ」とコメントした。
「スキムス」は、19年の設立以来ウィメンズのアンダーウエアとラウンジウエア、シェイプウエアなどを中心に展開し、23年にはメンズライン「スキムス メンズ(SKIMS MENS)」を立ち上げた。同年には、NBAとの複数年にわたるパートナーシップを発表し、NBAだけでなくWNBA(全米女子プロバスケットボールリーグ)とUSAバスケットボールの公式アンダーウエアパートナーにも就任している。そして現在、公式オンラインストアに加え、拠点とするアメリカ国内だけでなくメキシコやドバイに常設店舗を構え、世界各地の一部小売店でも販売。先月イングランド・ロンドンのリージェント・ストリートにオープンした旗艦店は、世界有数のショッピングエリアの中心に位置し、約1115平方メートルの売り場面積を有する。同社は26年末までに店舗数を55店舗に増やし、27年末までに100店舗以上へと拡大することを目指している。
なお、「スキムス」は以前から、ファッション業界における有力なIPO(新規株式公開)候補のひとつと見なされてきた。しかし、グリーデ「スキムス」共同創業者兼CEOは先月米「WWD」に対し、株式公開を急いでいるわけではないと語った。
「優れた企業には、優れた選択肢がある。私が注力してきたのは、カーダシアンとともに優れた会社を築くこと。現時点で株式公開を急ぐ必要性は感じておらず、市場が消費財企業に対して特に寛容な状況にあるとも思わない。ただ、時間の経過とともに私たちは大きな企業へと成長している。同時に、私たちには機関投資家もいるため、将来に向けて彼らにさまざまな選択肢を提供することは私たちの責任だ。しかし、幸運なことに我々の投資家は、特定の期限を設けてプレッシャーをかけてくるような人々ではない。株式公開は、時が来れば実現するだろう」