ファッション

「スツールなのに座るのがもったいない」 刺しゅうで空間と時間の“隙間”を彩る、静岡県発の匠の技

「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」をビジョンに掲げるマクアケによる、“アタラシイものや体験の応援購入サービス”の「マクアケ」には、伝統技術を現代的なアイテムに活用したプロジェクトが数多い。この連載では、全国各地の匠の技に注目。実行者の思いとともに、匠の技をどう活用し、どう訴求しているのかを考える。目指すは、47都道府県の匠の技の探訪だ。今回は、静岡県を訪れた。


今回の技術は…

立体刺しゅうスツール

キッチンで煮込みを待つ数分や、玄関で靴を履くほんの少しの時間。そんな暮らしの隙間時間を豊かにするスツールが、静岡で生まれました。手掛けたのは、ファッションブランド「ムーク」の村松啓市デザイナーです。静岡県袋井市の家具店「ココチヒロオカ」との縁から、村松デザイナーが得意とする刺しゅうテキスタイルを家具へ落とし込むプロジェクトがスタートしました。

「東京から静岡に拠点を移して15年ほどになります。これまで繊維産地である静岡県西部の企業とは素材の仕入れや生産で関わることはあっても、1つの商品を企画から販売まで行うことは多くありませんでした」と村松デザイナー。しかも、インテリアは初めての挑戦でした。

村松デザイナーが座面用に用意したのは2つの図案。スケッチブックに描いた道端に咲く花から生まれた人気の“筆記帳刺しゅう”と、2023年に発表したコーデュロイ生地の繊細な花刺しゅうです。テキスタイルからオリジナルで制作するブランドとして、20年以上にわたり色使いや柄を磨いてきました。

スツール本体は、グッドデザイン賞も受賞した福岡県の「ナガノインテリア」のオリジナルスツールを基に製作しました。受注生産のため、座り心地を試すことができない代わりに、“全国規模で愛される老舗家具メーカー”という生産背景が安心感を伝えます。木部には明るく上品な木目のホワイトオーク無垢材を用い、使うほどに風合いが増すオイルでコーティングしました。

立体的な刺しゅう生地を座面に使う前例は少なく、きれいに張るためのテストを重ねました。さらに、座面は長く使えるよう、座面パーツごと交換可能な仕様になっています。汚れたり、擦り切れたりしても座面裏側の六角ネジを回すだけで取り外せるため、簡単に新しい座面に替えられます。「買って終わりではなく、手入れをしたり座面を替えたりしながら、暮らしの中で長く付き合えるものを目指しました」。家具店の「ココチヒロオカ」が交換方法について丁ねいに説明するほか、アフターケアまで対応します。

住まいやライフスタイルが多様化する中で、最初から大きな家具を一式でそろえるより、必要なタイミングやスペースに合わせて、スタイリッシュな小さな家具を取り入れたいというニーズが高まっています。「実用品でありながら、空間に置いたときに気持ちが明るくなる存在にしたい」と村松デザイナー。「企業同士が技術や感性を持ち寄ることで、1社では生まれなかった価値を生み出していく。今回のスツールは、その大切な一歩です」。今後も「ココチヒロオカ」と新たな企画に挑戦し、刺しゅうやテキスタイルの表現を家具や暮らしの道具へ広げていきたいと語ります。

立体刺しゅうスツールの4つのポイント

1.テキスタイルから
デザインする世界観

「ムーク」のモノ作りは糸の選定から始まります。テキスタイルからオリジナルでデザインするブランドとして、20年以上にわたり色使いや柄の見せ方を少しずつ磨いてきました。今回の座面デザインも、そうした積み重ねの上に生まれました。

2.手仕事と量産をつなぐ
刺しゅう

一度手で刺しゅうして図案に立体感や表情を持たせた後、その手仕事のニュアンスを保ちながら、工場で量産可能なテキスタイルへ落とし込みます。手仕事の美しさを保ちながら、まとまった量を生産できることが「ムーク」の強みです。

3.ホワイトオーク無垢材と
オイル仕上げ

木部は明るく上品な木目のホワイトオーク無垢材です。古くから高級家具や床材に使われてきた家具木材で、美しさと強度を兼ね備えています。仕上げは木の質感を感じられるオイル仕上げで、使うほどに艶と風合いが増していきます。

4.交換可能な座面
という設計

座面は、座面パーツごと交換できます。汚れや傷みが出た場合や、気分に合わせて座面を変えたい場合も、追加購入した座面に替えられます。家具店の「ココチヒロオカ」が交換方法について丁ねいに説明し、購入後も安心して使えるようサポートします。

静岡発!
応援購入が高額なプロジェクト3選

“アタラシイものや体験の応援購入サービス”の「マクアケ」で大きな反響が寄せられた静岡県発のプロジェクトを3つ紹介する。

PICK UP 1 : 応援購入総額4120万2000円

創業150周年の登録文化財の旅館に、
専用露天とサウナ付き1棟貸し別邸がオープン

創業150周年を迎えた伊豆・湯ヶ島の登録文化財の温泉旅館「おちあいろう」が、専用の露天温泉とサウナを備えた3階建ての1棟貸し別邸「しゃくなげ」をオープンした。総面積は547平方メートルで、2〜12人で利用できる。「マクアケ」に特別価格で登場した。

PICK UP 2 : 応援購入総額1336万9000円

【ミネコラ10周年!】髪色を“着替える”新習慣!
水素ヘアケア×カラー革命!

静岡のゴールドラッシュが手掛ける水素ヘアケアブランド「ミネコラ」が、10周年を記念したカラーシリーズを発売した。毛髪補修をしながら着替えるように髪色を楽しめる。第2弾となった今回は、ローズピンクとヌーディーベージュの2色を用意した。

PICK UP 3 : 応援購入総額655万5314円

【超省スペース収納、芯のゴミが出ない】
超ロングなが〜く使える6倍巻きダブル

静岡県富士市に本社があるトイレットペーパーメーカーの丸富製紙が、一般的なトイレットペーパーの6倍の長さとなる150mの超ロングダブルトイレットペーパーを開発した。コンパクト収納や防災備蓄に適し、芯のゴミも出ない。国内外への販売を見据えている。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

HOSOO特集 日本文化の基層を成す絹と大麻から未来の産業をつくる

「WWDJAPAN」7月13日発売号は、京都・西陣織の老舗HOSOO特集です。「More than Textile」を掲げ、織物の可能性を拡張し、人々がまだ見たことのない西陣織の美を追求しているHOSOO。その探究の中で出合ったのが、江戸時代の絹(シルク)や大麻(ヘンプ)で織られた着物でした。その品質を現代に再現し、さらに超えることを目指し、絹、大麻ともに日本の在来種を用いて、原料生産から取り組む…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。