一般社団法人ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)は3月6日、環境省 環境再生・資源循環局長に宛てた「循環型ファッションの推進に向けたアクションプラン及びリユース等の促進に関するロードマップに対する提言書」を公表した。正会員19社・賛助会員53社が加盟する同アライアンスがは「ファッションロスゼロ」と「2050年カーボンニュートラル」をビジョンに掲げており、環境省の検討会で示されていた2つの素案に対し、現場の実態を踏まえた具体的な意見を取りまとめたものとなる。
繊維製品における資源循環ロードマップ(令和6年6月策定)で掲げられたKPIは、「家庭から廃棄される衣類の量を2030年度までに2020年度比25%削減する」というもの。この目標達成に向け、「循環型ファッションの推進に向けたアクションプラン(素案)」と「リユース等の促進に関するロードマップ(素案)」が環境省の各検討会でそれぞれ公表されていた。JSFAはこれらを受け、3項目・計5点の提言を発表した。
回収品の質向上と回収量増加のための官民連携
提言の核心のひとつが、衣類回収における「専ら物」判断の統一だ。廃棄物処理法上、古着・故繊維が「専ら物(もっぱらぶつ)」に該当すれば一般廃棄物の規制対象外となり、民間業者が自治体の許可なく回収・運搬できる。しかし現状は基礎自治体ごとに判断が異なり、このばらつきが故繊維を資源として循環させる事業の拡大を妨げているとJSFAは指摘する。
提言では、「専ら物」と判断されるための故繊維・回収・選別方法の要件を明示し、各基礎自治体に通知するよう求めた。また、行政回収された資源物が排出後に汚染されて廃棄を余儀なくされるケースを防ぐため、回収環境を含めた回収方法の改善基準の策定と、自治体単独での対応が難しい場合の民間回収業者との連携推進も求めている。
さらに、自治体が民間の回収業者を選定する際の基準整備も提言した。具体的には、①不法投棄や押し買いなど必ず防ぐべき事案を排除する「必須基準」と、②回収・選別・再流通の各段階で資源循環に貢献する取り組みを評価する「加点基準」の二軸での検討を提案。参入障壁だけが高まり業界の負担が過度になる事態を避けつつ、優良事業者を育てる仕組みの設計を求めた。
不適正な海外リユースの是正と適正な海外リユースの推進
国内での資源循環完結が理想としながらも、国内リユース市場と資源循環の仕組みが未成熟な現状では、海外輸出も含めた資源循環が現実的な施策だとJSFAは認める。一方で近年、海外にリユース品として輸出された衣類が現地で不法投棄されるケースが問題視されており、適正輸出と不適正輸出の線引きが急務となっている。
提言では、輸入国の需要に合わない物を送ったり、リユースを妨げる異物を同梱したりする不適正輸出を防ぐための要件具体化と実態調査を要求。具体的な調査項目として、受け入れ国における再販売の仕組みの有無、中古衣類販売店での日本からの輸出品の取り扱い状況、現地事業者による日本産輸出品への評価などを挙げた。調査結果を踏まえ、望ましい回収・選別方法(国内外の選別場所や選別基準の定め方など)の整理も提案している。
資源循環行動促進支援
リユース・リサイクル事業者が自社の温室効果ガス排出量を算定しようとしても、バウンダリー設計等の統一ルールが存在しないため、環境負荷削減効果を数値で示すことが困難な状態が続いている。JSFAは、国内外の事例調査と国際整合性を踏まえた統一ルール策定を求めた。算定ルールが整備されれば、アパレルブランドがリセールに取り組むインセンティブとなるほか、リサイクル素材使用の動機づけにもつながると期待されている。
また、消費者向けの情報提供強化も求めた。資源循環への関心の高まりとともに多様な回収サービスや環境配慮素材製品が市場に溢れる中、消費者の期待と実態の乖離を防ぐ認知向上策が必要だとした。官民連携によるキャンペーン展開に加え、エコポイント制度のような経済的インセンティブの設置も引き続き検討するよう提言している。
70社が加盟、産業横断で政策を動かす
EUが拡大生産者責任(EPR)制度の導入を進め、繊維廃棄規制が世界的に強化される流れの中、日本でも行政と産業界が連携した実効性ある仕組みづくりが急がれる。今回の提言が政策の具体化を後押しする力になるか、今後の環境省の動向が注目される。
ジャパンサステナブルファッションアライアンス加盟企業(70社/2026年2月時点)
アーバンリサーチ、アンドエスティHD、ECOMMIT、倉敷紡績、クラレトレーディング、ゴールドウイン、ザ・ウールマーク・カンパニー、JEPLAN、スタイレム瀧定大阪、セイコーエプソン、タキヒヨー、帝人フロンティア、東レ、豊島、丸紅、ヤギ、ユナイテッドアローズ、YKK、AOKI、AOKIホールディングス、旭化成アドバンス、アシックス、タオル美術館グループ 一広、伊藤忠商事、エコリング、SGSジャパン、MNインターファッション、買取王国、カケンテストセンター、キャブ、清原、crossDs japan、グローブライド、グンゼ、コーベル、コニカミノルタ、サザビーリーグ、CFCL、シキボウ、島精機製作所、CHARGEURS PCC Asia Limited、鈴木商会、Spiber、ZOZO、瀧定名古屋、田村駒、TSIホールディングス、東京吉岡、東豊インベスト、日東紡アドバンテックス、日本化薬、日本生活協同組合連合会、日本繊維製品品質技術センター、長谷虎紡績、バリュエンスホールディングス、V&A Japan、福岡ニット、福助、フクル、フジックス、Free Standard、bluesign technologies ag、ブックオフグループホールディングス、ボーケン品質評価機構、メンケン品質検査協会、モリリン、ヤマダヤ、郵船ロジスティクス、リファインバース、良品計画