2012年に日高麻子・前編集長(現第7編集部部長)が一大リニューアルを敢行した雑誌「ウオモ(UOMO)」は、その後まもなく大人世代のメンズ雑誌業界で確固たるポジションを勝ち取った。14年には副編集長を務めていた西河淳が編集長に就任し、好調なビジネスを加速させるべくさまざまな施策を仕掛けている。他誌との差別化の成功例や、今後注目すべきカテゴリー、読者目線の情報を発信する外部チームの事例などを交えて、多岐にわたる「ウオモ」のビジネスモデルに迫った。
MAGAZINE DATA
創刊 : 2005年2月
発行 : 集英社
発行日 : 毎月24日
発行部数 : 7万5000部
定価 : 840円
コンセプト : 大人の男性に向けた東京ミックススタイル
読者年齢層 : 35 ~ 45歳の男性
WWDジャパン(以下、WWD):創刊10周年を迎えたが、昨年編集長に就任してから心掛けていることは?
西河淳・編集長(以下、西河):前任の日高から好調の状態のままで引き継いでいるので、特に方向性を変える必要はありませんでした。今私がすべきことは、3年前にリニューアルしたときから提唱し続けている「東京ミックススタイル」を、いかに突き詰めていくかというところにあります。イタリアや西海岸だけじゃない、モードやストリートだけじゃない、東京らしいハイセンスなミックス感は、読者はもちろん業界内からも高い評価を得ています。今では他誌でも同じような打ち出しを始めているので、「ウオモ」らしい独自性を示して差別化を図っていくことも必要になってきました。
WWD:差別化の具体的な施策は?
西河:まずひとつが専属モデルのリヒトです。私が編集長になったタイミングで「ウオモ」の専属となったのですが、クリーンで上品なイメージがありながら、実生活では父としての等身大のライフスタイルを送る彼は、読者が親しみやすい独特の雰囲気を持ち合わせています。海外コレクションで活躍した華々しい経歴を持ちながら、どこか力が抜けていていつも自然体。そんな彼の姿は、「ウオモ」が提案するおしゃれ感のあるスタイルを、読者と近い距離感で表現してくれています。もうひとつはビジュアル面です。「ウオモ」でしかブッキングできないような豪華スタッフによる、感度の高い写真を軸としながら、“これが目指すべきスタイルなんだ”と分かりやすく伝えてくれる教科書のように、入り込みやすいキャッチコピーと極力シンプルな構成を心掛けています。
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コラム1 リアルな情報を発信する読者ブロガー集団「チームウオモ」

昨年7月に発足されたのが「ウオモ」読者代表の「チームウオモ」。医師、弁護士、クリエイターと幅広い職種の読者たちが、日々ハイセンスな情報をブログ形式でアップしている。予想以上の反響に、「チームウオモ」のメンバーたちは本誌や各種イベントにもその活躍の場を広げている。読者との距離感が近い「ウオモ」らしさを感じさせる、メンズ誌界では非常に珍しい試みだ。「今後このメンバーの中から、スターになる人が出てきたら面白い」と西河編集長は期待する。
WWD:“力が抜けている”という部分にもこだわりを感じるが?
西河:ファッションを楽しむ上で“かっこつける”ということは重要な要素ですが、男としてはちょっとコミカルな部分も求められるべきだと思います。ギラついたり、キメ過ぎたりするのは今の時代に合わなくなっていて、ヌケ感のある自然体の男性の方が今っぽいのではないかと思っています。ファッションに関しても、自分のハイセンスなスタイルをこれ見よがしにアピールするのではなく、自然と周りの人から愛されるようなスタイルを心掛けています。
WWD:これまでに反響が多かった企画は?
西河:3号に1回ぐらいのペースでブック・イン・ブックをとじ込んでいるのですが、保存版のような形で固定のファンが増えています。これまで食、街、スニーカーなど幅広いテーマをカバーしており、毎回新しい情報ばかりを大量に網羅しています。
WWD:今後強化していくカテゴリーは?
西河:今市場がちょうど盛り上がりを見せている状況ということもあり、メンズビューティに関してはこれからもっと強化していきたいカテゴリーです。4月号には10周年記念の特別付録として、「男の美容読本」というビューティ別冊をとじ込みました。意外とおしゃれな人でも、まだまだ美容に関しては距離感を感じているなんてことも多いと思います。だから大人の男性の身だしなみの一部として、いかに美容やスキンケアが大切なことであるかという部分を、上手に伝えていくことが今の最重要課題であると感じています。
WWD:「ウオモ」らしい特徴的な企画は?
西河:「ウオモ」と「マリソル」のコラボ企画で、両誌で同じブランド、同じモデルを起用したファッションストーリーを掲載しました。男性誌と女性誌を幅広く発行している弊社らしい企画として、今後も取り組んでいきたい取り組みのひとつです。似たような企画としては、出版社をまたいだブリッジ企画もありました。これは朝日新聞出版の「アエラ」とのコラボ企画で、表2から6ページを「ウオモ」がジャックするという形で、弊誌が撮り下ろした「エルメネジルドゼニア」のファッションストーリーを掲載していただきました。
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コラム2 「ウオモ」な男の業界人が集結「東京スマ男通信」を新規連載

「チームウオモ」のアイデアから派生した新しい企画として、本誌で活躍中のファッション業界人による新連載「東京スマ男通信」を8月号からスタートする。“スマ男”の由来は、ファションもライフスタイルもかっこいいスマートな男たち。ファッションに限らず食、美容、ガジェットなどを幅広く紹介する企画だが、雨の日グッズといった、よりニッチなカテゴリーの情報も掘り下げていく予定だ。ちなみにメンバーは右写真の編集部スタッフはじめ、30代のイケメン業界人に限定しているようだ。
WWD:eコマースの取り組みは?
西河:ショッピングサイト「ミラベラオム」との連動企画を毎号連載で実施しています。「ウオモ」の強みとしては、eコマースでもハイブランドの洋服が実際に売れること。年に数回は、限定のコラボ商品も展開しています。ただ商品が多いだけじゃ、どれを選べばいいのか分かりません。それをどうやって着こなすかという提案ができるところが雑誌の強みであり、大人世代の購買意欲を促す結果にもつながっていると思います。
WWD:自社ウェブサイトでの特徴的な取り組みは?
西河:最近専属のスタッフを採用して、ニュース、ブログ、本誌連動記事などを充実させていくことで、ウェブ単体でも楽しめる内容として強化しています。フェイスブックやインスタグラムのようなSNSでも、公式アカウントからの継続的な情報発信に力を入れています。中でもインスタグラムに関しては、今後は誌面と連動したスナップ企画なども仕掛けていきたいと考えています。昨年一般から公募する形で組織した「チームウオモ」のメンバーは、ブログを中心に誌面やイベントでも積極的な活躍を見せてくれました。他誌ではやっていない取り組みとして予想以上の成果を残してくれたので、今後も継続するために先日第二弾のメンバーを募集しました。選考メンバーの発表は9月号になる予定ですが、今回のメンバーにも、読者目線のリアルな情報をどんどん発信していただきたいと思っています。本誌の8月号から彼らのプロフェッショナル版ともいうべきメンバーで、「東京スマ男通信」という企画を展開していく予定なので、今後も外部チームの活躍に期待を寄せています。
西河淳
1966年6月24日生まれ。蟹座、A型。東京大学卒業後、89年集英社入社。「メンズノンノ」編集部に配属になる。その後、「シュプール」「ノンノ」再び「メンズノンノ」「ウオモ」編集部と異動し、一貫してファッションを主に担当。2014年に「ウオモ」編集長に就任
コラム3 編集長行きつけのお店は?
キュイジーヌエヴァンアルル(渋谷)
岩中豚のロースト、グラタン、フレンチフライが絶品で、ワインの品ぞろえも豊富。とにかく女性ウケがいいハズさない名店です。
道しるべ(荒木町)
日本酒を多く取りそろえるこちらのお店は、クライアントとの会食によく利用しています。居酒屋メニューが基本で、ネギマ鍋は絶品。