1. 青山のセレクト、アデライデが過去最高益で絶好調

青山のセレクト、アデライデが過去最高益で絶好調

コラム

2017/1/22 (SUN) 06:00

 南青山のセレクトショップ、アデライデが好調だ。2016年1~11月までの売り上げはアデライデが前年同期比24%増、姉妹店のアディッション アデライデは同52%増と、過去最高を記録した。好調要因のひとつに、2016-17年秋冬にスタートした「ヴェトモン」のメンズラインを日本で独占販売したことがあるが、それ以上に、25年を掛けて築いてきた顧客やブランドとの強固な信頼関係、そして、創業バイヤー兼ディレクターの母と7年前に入社した娘の歯車がかみ合った相乗効果で、売り上げを伸ばしている。

 アデライデは1991年、イタリアブランド「マルコ タリアフェリ(MARCO TAGLIAFERRI)」のオンリーショップとして始まり、「マルニ(MARNI)」や「マルティーヌシットボン(MARTINE SITBON)」「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」などのブランドを増やし、今の形へと成長した。一つ目の転機は、98年に導入した「バレンシアガ」だった。当時、クリエイティブ・ディレクターだったニコラ・ジェスキエールによる「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を求め、男女問わずアデライデに詰めかけ、話題になった。長谷川真美子エグゼクティブ・ディレクターは、「『バレンシアガ』をきっかけに新進気鋭ブランドをそろえ始めた」と振り返る。そして、今のスタイルへとつながる最大の転機は01年9月11日の米国同時多発テロ事件だった。真美子エグゼクティブ・ディレクターは、「混沌とする時代背景の中、アンチトレンド、アンチ大量生産、より質を求めた価値観を見いだそうというムードが溢れた。服にも個性や、アーティスティックな希少性が求められた」と振り返りながらも、「希少性を追求した『ヴェトモン(VETEMENTS)』の登場など、今の状況は当時と似ている」と話す。

 03年には、男女の垣根を越えたファッション好きに向け、「増床」という意味を持つ姉妹店アディッション・アデライデを表参道ヒルズ裏に開いた。「ギャラリー的要素を持ちながら、土地柄、東京ストリートブランドとハイブランドをミックスして提案する店にした」。06年には、アデライデを現住所に移転リニューアルオープン。これまでも「アートとファッションの融合」をキーワードにセレクションから店作りまでを行っていたが、アデライデではよりミュージアム的な要素を取り入れ、エムエムパリスによるグラフィックをのせたファサードを目印に、店内でも「ブレス」や「キツネ」とコラボレーションしたインスタレーションコーナーを設けるなど、コンセプトがより明確に目に見える店になった。希少性を求めた気鋭ブランドのラインアップを定着させ、ファンを増やしていった。

ブランドと築いた厚い信頼関係

 開店25周年を記念したアイテムとして、「バレンシアガ」が25点のアーカイブジュエリーとそのための什器を提供したり、「ヴェトモン」は人気のオーバーサイズフーディーのアデライデバージョンを作ったりと、ブランドとの強い信頼関係を裏付けるものが並んだ。大手ならともかく、個店に向けてブランド側が特別なアイテムを作ることはまれだ。過去にも、08年に「アレキサンダーワン」がシューズをローンチした際に、イベントを行うために選んだ世界3店舗は、ニューヨークのバーニーズ ニューヨークとパリのコレット、そして日本ではアデライデだった。海外のブランド関係者からの信頼は厚く、日本でのビジネスについての相談を持ちかける関係者も多い。これまで、ブランドイメージの開発を行ってきたことが大きいが、「私たちは誰よりもブランドのファンで、ファンの開拓もしてきたから」と真美子エグゼクティブ・ディレクター。さらに、リーマンショック後など、マーケットが変化し苦しい時期も、他のセレクトショップが買い付けをやめる中、買い続け、ブランドとの信頼関係を培ってきた実績があるからだ。そして、プロパー消化率は常に70%をキープしている。

READ MORE 1 / 1 地方から1カ月に1回訪れる顧客も


母のクリエイション力、娘の販売力

 「母のやってきたこと、アートワークやコンセプト作りなど彼女の考えがようやく理解できた」と娘の長谷川左希子マネジング・ディレクター。彼女は、もともとファッションに興味がなかったが、ロンドン留学時代からパリやロンドンでのバイイングを手伝い、夏休みにはアルバイトとして店頭に立っていた。「接客して売れたのがうれしく、楽しかった」。09年に帰国し、6月にアデライデやアディッション・アデライデの運営、海外ブランドの輸入・販売を行うザ・ウォールに入社し、バイイングと販売を担っている。

 「お客さまを知らないと買い付けができない」。LINEなどの通信手段の進化もあり、パリでの買い付け時には、顧客と直接連絡を取りながら行っている。エッジィなセレクションに定評があるアデライデだが、「コンサバな洋服を着ていたお客さまに『リック オウエンス』のレザージャケットを提案したら、『いろんな方にすごくオシャレねと褒められるようになった』とまた来店してくださるようになった」。左希子マネジング・ディレクターがバイイングを手掛けるようになり、とがった服だけではないアイテムのセレクションも増え、新たに彼女を信頼する顧客もついてきた。「お客さまがどんどんキレイになっていく様がうれしいし、洋服を通じて幸せになってほしい。尽くしたいという気持ちが強い」。彼女の接客を求めて地方から1カ月に1回訪れる顧客もいる。彼女のネットワークで集まったスタッフも多い。「同じ目標を持つスタッフが集まった。共通点は思いやりがあって、お客さまの気持ちに立って考えることができること。みんなで売って、スタッフの生活水準を上げ、還元していきたい。人とモノ、両方のクオリティーが高い店にする」。

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