
ビームスはこのほど、台湾・台北市の松山文創園区で初の大型マーケットイベント「ビームス 50TH マーケット ライフ エキシビション(BEAMS 50TH MARKET LIFE EXHIBITION)」を開催した。2日間で約5000人が来場し、盛況のうちに幕を閉じた。同社は2013年の台湾進出以来、現地ブランドやクリエイターとの協業、店舗イベントを積み重ね、地元コミュニティーとの関係を深めてきた。台湾事業の売上高は約5億台湾ドル(約25億円)に達し、現地法人による直営運営を開始した18年から約3倍に拡大している。
飲食、アート、ファッション、トーク
さまざまな“夢中”で溢れる会場
会場には、ビームス社員によるフリーマーケットから、台湾の人気メディア「秋刀魚」、クラフトビールブランド「酉鬼啤酒」、台南発のカクテルバー「MOONROCK」、カセットテープ専門店「感傷唱片行」まで、多彩な出店者が集結。買い物を楽しむ人もいれば、人形作りのワークショップに熱中する人、その場でタトゥーを入れる人もいる。思い思いの楽しみに“夢中”になる来場者で、広い会場は先を見渡せないほどの混雑ぶりだった。
ビームスの人気バイヤーによるトークも

ビームス社員の個人書籍「I AM BEAMS」を並べたコーナーには、「エス エス ズィー(SSZ)」ディレクターの加藤忠幸氏のサインを求める人々が列を作り、加藤氏の著書「KATO I AM BEAMS」は、用意した50冊が即完したという。目玉コンテンツの一つは、その加藤氏や「ビームス プラス(BEAMS PLUS)」チーフバイヤーの金子茂氏らが登壇したトークショーだ。それぞれ自身の著書を題材に、制作の舞台裏や服作りへの思いを語り、多くの来場者が熱心に耳を傾けた。
また金子氏が長年収集してきたクラシックアウトドアウエアを紹介する「エクスペディション クラブ(EXPEDITION CLUB)」も台湾で初開催。ダウンウエアなどの希少なビンテージコレクションに加え、米ユタ州立大学図書館が所蔵するアウトドアブランドの歴史的なカタログなどもあわせて展示した。
「台湾独自のカルチャーを取り入れ、現地ならではの体験を提供することでビームス台湾としての企業の存在感を示したいと考えた」と語るのは、ビームス台湾の中井貴宏代表取締役と上原花奈恵取締役。「イベントは想定以上の大反響で自分たちも驚いた。日本のビームスの魅力を伝えるだけでなく、台湾でもセレクトショップとしての新たな試みができたと思う」と手応えを語った。
“楽しいコト”の積み重ねで台湾のファンを開拓
ビームスは13年に台湾に初進出。台北の富錦街に1号店を開き、17年に現地法人を設立。現在はアウトレットを含め、台北エリア5店、台中3店、台南3店、高雄1店の計12店舗を展開する。
台湾で支持を広げてきた背景には、日本で培ってきた知名度に加えて、地元のクリエイターやショップとの協業がある。23年の台湾進出10周年には、台湾の人気バンド「サンセット・ローラーコースター(落日飛車)」と日本の「ネバーヤングビーチ(never young beach)」による記念ライブも開催し話題を集めた。
また、店舗では半年に1回程度、顧客向けイベントを開催している。上原取締役は、「自分たちが考える“楽しいコト”を周囲の人たちを巻き込みながら積極的に実現できたことが、今のファンベースにつながった。台湾のお客さまは、良い意味でミーハー。面白いことがあると広がるスピードが速く、時間をかけて足を運んでくれる。こうした姿勢とビームスの取り組みの相性が良かったのでは」と分析する。
顧客層はメンズ6割、ウィメンズ4割。商品面では、ビームスが得意とするブランドとの別注・コラボレーション商品が人気を集める。台湾のアーティスト「D.3.C(Dango 3 Color)」や現地ブランド「デマルコラボ(DeMarcoLab)」との協業など、台湾ならではの商品企画も好評を得た。また、オリジナル商品やロゴアイテムも「土産物ではなく、ファッションアイテムとして確立している」と中井代表。
一方、メンズドレス業態は今年2月に店舗を閉鎖した。台湾ではスーツを日常的に着用する機会が限られ、専門的な接客人材の育成も課題だった。ただ4月には台北の紳士服専門店「OAK ROOM」で、ビームスのメンズドレス部門を長年率いてきたクリエイティブディレクターの中村達也氏を招いたオーダー会を開催し手応えがあった。「ビームス F(BEAMS F)」のディレクターを務め、クラシックスタイルの着こなしで知られる西口修平氏らにも台湾では熱心なファンが多く、今後は強みである「人」を軸にしたイベントを通じて、新たな販売機会を創出する方針だ。
今後は「現地でのコミュニティーの濃度をさらに高めていきたい」と上原取締役。2027年1月には音楽イベントの開催も予定しており、商品販売にとどまらない体験の提供に力を入れる。28年の台湾進出15周年に向け、今回のような大型イベントの継続開催も計画している。