LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、複数の持株会社をまとめて合理化する計画を明らかにした。同社を率いるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)一族の支配権をさらに盤石にすることが狙いとみられる。
アルノー家の主な持株会社には、アガシュ(AGACHE)とその投資子会社であるフィナンシエール・アガシュ(FINANCIERE AGACHE)、およびその傘下であるクリスチャン ディオールSE(CHRISTIAN DIOR SE)がある。2024年12月末の時点で、フィナンシエール・アガシュはクリスチャン ディオールSEの株式資本の97.5%を、クリスチャン ディオールSEはLVMHの株式資本の42%を保有。これらを通じ、アルノー家はLVMHを支配下に置いている。
新会社は議決権の65.55%を保有
計画では、まずアガシュとフィナンシエール・アガシュを合併。これをクリスチャン ディオールSEが吸収し、株式合資会社に転換後、社名をアガシュに変更する。この新会社はLVMHの株式の49.76%を直接保有するほか、議決権の65.55%を保有することとなる。新会社のマネージング・パートナー(パートナーシップ制の組織における最高責任者)には、アルノー会長兼CEOが就任する。
一連の変更に伴い、アルノー家はクリスチャン ディオールSEの株式の未保有分2.44%について、現金での株式公開買付を行う予定。これは9月中旬の時点で16億3000万ユーロ(約2901億円)に相当する。なお強制的な買付はしないため、株主は持分を維持し、新会社アガシュの株主となることも可能だ。
計画の実施には株主および関連当局の承認が必要となる。株主による投票は12月頃、株式公開買付は27年1~3月頃になる見込み。
LVMHの株価は年初から38%以上の下落
アルノー家は最近の株安傾向を受けて自社株を買い増しており、2月にはLVMHの株式資本の50.01%と過半数を保有していることが明らかになった。ラグジュアリー市場の減速の影響で同社の株価は年初から38%以上下落し、25年4月15日の時価総額は2441億ユーロ(約43兆円)だったが、26年9月15日には約2010億ユーロ(約35兆円)に。ロレアル(L’OREAL)の約2030億ユーロ(約36兆円)を下回り、フランス最大の上場企業の座を譲ることとなった。その後も低調に推移し、30日時点でのLVMHの時価総額は1951億ユーロ(約34兆円)だった。
これに伴い、アルノー会長兼CEOの資産も減少している。一時はブルームバーグ(BLOOMBERG)が独自に算出する長者番付のビリオネア指数(Bloomberg Billionaires Index)で首位の座についていたが、9月10日にはトップ10から脱落し11位に。30日には12位となっている。