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特集 CEO2025 ビューティ編

【ココバイ 阿部聖樹社長】“PLAY ORGANIC”で「オーガニックの民主化」を目指す

PROFILE: 阿部聖樹/社長

阿部聖樹/社長
PROFILE: (あべ・まさき)1983年4月24日生まれ。立教大学を卒業後、2006年にオンワード樫山に入社。百貨店婦人服営業に11年間従事し、マーケティング部、内部監査、ビューティー戦略部などの部門を経験。20年にココバイに異動し、営業に従事。既存ビジネスの強化に加え、デジタル領域への参入や他社とのコラボ事業などの新規事業にも注力した。23年9月から現職 PHOTO : KAZUSHI TOYODA

ココバイは2011年から米発オーガニックヘアケアブランド「ザ・プロダクト(PRODUCT)」を製造販売している。24年7月にはリブランディングを実施し、ヘアサロンやバラエティーショップに加え、ドラッグストアへも販路を拡げた。ミッションである「オーガニックの民主化」の実現に向けて攻勢をかける。

オーガニックブランドの固定概念を覆す
“PLAY感”のあるブランドへ

WWD:24年7月にリブランディングした理由は。

阿部聖樹社長(以下、阿部):現在、国内にオーガニックブランドは200以上あり、おそらく消費者は「肌や環境に優しくて安心安全だけど、少し価格が高い」「クリーンで凛としている」といったイメージを持っている。その中で独自性を出すために、オーガニックで楽しさやワクワクを感じて、気軽に楽しんでもらいたいという思いから“PLAY ORGANIC”をブランドスローガンに掲げた。何気なく選んだ製品が、ふとしたきっかけでブランドや企業の背景を知ることで、愛着の湧く存在となる。そういう道筋が自然だと思い、今後はマーケットインの考えで進める。コアターゲットをZ世代に定め、彼らに“刺さる”製品開発からブランディング、プロモーションを実施する。

WWD:同時にドラッグストアでの正規販売もスタートした。

阿部:われわれのミッションは「オーガニックの民主化」だ。サロン専売から始め、バラエティーショップにも販路を拡げていったが、民主化には生活動線に入ることが不可欠と考えた。既存の卸先も、新規層やライト層の獲得に力を入れたいという思いに賛同してくれた。

WWD:現在、ドラッグストアは何店舗に展開しているか。

阿部:約1万8000店だ。ヘアスタイリング剤は単品置きが基本だが、24年8月の発売当時は「マツキヨココカラ」には什器を置いてプロモーションを実施した。よりマス層に届けるために初のブランドアンバサダーとして起用した女優の森七菜さんのビジュアルボードもフックとなり、好調に推移している。

WWD:他チャネルにもよい波及効果があった。

阿部:バラエティーショップでは、リブランディング後の第1弾として発売した“ラスティングシリーズ”が、メイン商品である青色パッケージの“ヘアワックス”と同等に稼働している。小売りの売り上げで“ヘアワックス”が占める割合は約7割のため、かなり好調だ。40歳以下の60%以上が髪を染めているという昨今の状況から、退色防止を付加価値とした“ラスティングオイル”と“ラスティングワックス”を発売した。市場に「退色防止でお気に入りの髪色が持続する」というコンセプトと似通ったアイテムがないこともあり、売れ行きがいい。

WWD:商品ラインアップも45から15まで絞り込んだ。

阿部:アウトバスカテゴリーに集中することでブランドの強みが社内で明確になり、SNS発信や営業活動によい影響があった。「国内のオーガニックヘアケアブランドといえば『ザ・プロダクト』」を目指しており、今後もヘアカテゴリーを拡充していく。これまで扱っていたシャンプーとコンディショナーの市場は大きいが、大手の主戦場でもあるため難しい。そのため、われわれは切り口の面白さや細かいニーズを吸い上げることに注力したい。毎年、フレッシュな取り組みを実施し、「面白いブランドだよね」という印象につなげたい。

WWD:サステナビリティーの進捗はどうか。

阿部:資材や原料を自分たちで探して調達しているため、過剰在庫にならないように調整できている。オイルやワックスはセンシティブで難しいところもあるが、レフィル対応にも挑戦したい。再利用できるガラスを採用する製品もあるため、容器回収から着手していきたい。

WWD:その他、「オーガニックの民主化」に向けて必要なことは。

阿部:オーガニックブランド市場では、ヘアケア製品の価格帯は3000〜4000円が標準だが、これを買い続けやすい価格帯に設定することが必要だと考えている。今後は、ブランドサイトをリニューアルし、オーガニックコスメに関する知識や製品の使い方などのコンテンツを充実させていく予定だ。民主化によってブランドもマスになることを目指すが、ヘアサロンやオーガニックコスメのセレクトショップでも支持し続けてもらえるブランドでいたい。ファッション業界における「コンバース」のような存在がベンチマークだ。セレクトショップにも地方のショッピングモールにも置いてあり、老若男女が履いている。そんな立ち位置のブランドを目指す。

WWD:25年に注力していくことは。

阿部:現状、“ヘアワックス”を扱っている店舗数の方が多いため、“ラスティングシリーズ”をそれと同数に展開していきたい。半年に2商品ほどのペースで新製品の発売を予定しており、その間にコラボ品や企画品にもチャレンジしていく。直近では、2、3月にキャッチーで話題性のあるSNS施策を計画している。公式のTikTokアカウントも作成する予定だ。真面目に製品の背景などを伝えるだけではなく、“プレイ感”のあるSNSコミュニケーションに取り組んでいきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『子どもとワールドカップを見る』

もうすぐ第4子が生まれる予定だ。サッカーがとても好きなので、26年のワールドカップを子ども4人とアメリカで観戦したい。「ザ・プロダクト」発祥の地はアメリカ・カリフォルニアなので、そのルーツも探ってみたい。

COMPANY DATA
ココバイ

「ザ・プロダクト」は、2007年にアメリカで美容師向けに天然成分を使ったヘアワックスからスタートしたオーガニックヘアケアブランド。11年にココバイが日本市場における製造販売を始めた。17年1月、オンワードホールディングスの傘下に。24年7月に「ザ・プロダクト」のリブランディングを実施し、ブランドパーパスやロゴを刷新。“PLAY ORGANIC”をスローガンに掲げている


問い合わせ先
ココバイ
info@kokobuy.co.jp