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「なぜコスメを“ガシャポン”に?」 おもちゃメーカー・バンダイの企画担当者に素朴な疑問をぶつけてみた

PROFILE: 古澤つぐみ/バンダイ ライフスタイル事業部 ファッショングッズチーム チーフ

古澤つぐみ/バンダイ ライフスタイル事業部 ファッショングッズチーム チーフ
PROFILE: (ふるさわ・つぐみ)2016年、バンダイに入社。コスメブランド「クレアボーテ」の商品企画開発を担当している PHOTO : SHUHEI SHINE

コロナ禍以降、気づけばどこもかしこも“ガシャポン”だらけ。駅や商業施設、空港、コンビニまで……“ガシャポン”の自販機を見かける機会が多くなっています。“ガシャポン”といえば、おもちゃやミニチュアのフィギュアなどが思い浮かびますが、実際に使えるコスメが出てくるバンダイのガシャポンシリーズ「ポンデクルール(PON DE COULEUR)」の“ガシャポンコスメ”が異彩を放っています。今までに、サンリオやアニメ「おジャ魔女どれみ」などとコラボレーションし、SNSでも話題となりました。

「なぜコスメを“ガシャポン”にしようと思ったのか」「炎天下の中でも大丈夫なの?」などの素朴な疑問を、バンダイの化粧品ブランド「クレアボーテ(CREERBEAUTE)」の企画を担当している古澤つぐみライフスタイル事業部 ファッショングッズチーム チーフにぶつけてみました。

“ガシャポンコスメ”の課題は、自分で好きな色を選べないこと

WWD:コスメを“ガシャポン”にしようと思ったきっかけは?

古澤つぐみライフスタイル事業部 ファッショングッズチーム チーフ(以下、古澤):“ガシャポン”の市場が非常に好調だということは、社内で共有がありました。実は、バンダイは約10年前から「クレアボーテ」というコスメブランドを展開しており、これまでは店頭に並ぶ化粧品の商品化が多かったのです。

ある時、バンダイが作る、おもちゃ屋さんならではのエンターテイメント性のあるコスメを生み出したい、今好調な“ガシャポン”市場でコスメを売るとどうなるんだろう、“色味がランダムで出てくるコスメ”を売ったらどんな風に受け取ってもらえるんだろう、と考えたことが“ガシャポンコスメ”を作ったきっかけです。

WWD:不安はなかったか?

古澤:とても不安でした。色を自分で選べないということがネガティブにならないよう、どんなカラーが出てきても「当たりだ!」と思ってもらえるよう、万人受けするカラー展開と使用感を意識しました。今までにない誰もがワクワクするコスメを生み出したかったのです。また、コスメは肌に直接塗布するものなのでお客さまに安心安全に使用してもらえるよう、品質管理は徹底しました。

WWD:苦労した点は?

古澤:マシンのディスプレーポスターですね。化粧品売り場とは違いテスターが置けないので、色味や商品のサイズ感などが伝わりにくいことが課題でした。この小さなポスターの中に情報量を詰め込みすぎず、商品を魅力的に、カラー展開をわかりやすく訴求できるかをかなり試行錯誤しました。

発売前にはディスプレーの状態でどのくらい魅力的に見えるかなどのマーケティング調査を実施し、ユーザーの声を募りました。そうして何度も調査を繰り返し、メイクイメージやサイズの表記、天面のデザイン、活用方法などを盛り込み、さらにキャラクターのファンをがっかりさせない世界観のデザインを意識しました。このポスターは、商品とお客さまのファーストインプレションになるので一番時間をかけました。

WWD:コラボレーションするキャラクターはどのように選定している?

古澤:化粧品という商材と、キャラクターの世界観の相乗効果があるかどうかで決めています。子どもの頃、化粧品は大人のお姉さんが使っているという憧れ的な思いを抱いていた人もいたのではないでしょうか。そんな昔に憧れていたキャラクターや作品をセレクトし、版元にコラボしませんか?と声を掛けています。

古澤「自分に似合う色と偶然出合えた時の喜びを体験してほしい」

WWD:昨今、パーソナルカラーを元にコスメを選ぶ人が増えていると感じます。バラエティーショップの什器や店頭のポップまで、「イエローベースにおすすめ」「ブルーベースにぴったり」などの訴求を見かけるようになりました。

古澤:そんなはやりがある中、この“ガシャポンコスメ”は異端児だと思っています。基本的に化粧品を買う時、自分に似合う色や好きな色を選びたい、失敗したくないという心理が働くことが当たり前ですが、“ガシャポンコスメ”には普段手に取らない新しい色と出合ってほしい、そして自分に似合う色と偶然出合えた時の喜びを体験してほしいという思いを込めています。

だからこそ、“ガシャポン”シリーズ「ポンデクルール」は、キャッチコピーに“あたらしい色(じぶん)に出会おう”を掲げているんです。

WWD:実際に水色のマルチカラーパウダーを使ってみました。一見使いづらそうな色味ですが、肌に良くなじむ穏やかな発色で、透明感のあるメイクに仕上がります。ただ、メイク初心者にはむずかしそうなこのカラー、使い方はどのように提案するのですか?

古澤:意外と使い勝手が良いカラーなんです。自分には似合わないからとポーチの奥底に眠ってしまうのはもったいないので、手持ちのコスメに重ねてニュアンスチェンジとして使用したり、目元や頬などの顔のさまざまなパーツに使える色味に仕上げました。

WWD:サイズもそこまで小ささを感じなくて、持ち運びやすく、いろんなシーンで使いやすそうです。そういった手軽さもいいですね。

古澤:そうですね。使用方法もいろいろと検討しました。この“ガシャポンコスメ”を手にするきっかけがお目当てのキャラクターで、メイクをしたことがない人がこの商品を手にするかもしれません。そういったことも想定して公式サイトにメイクイメージを掲載したり、他のカラーと組み合わせて使用するメイク方法などを提案しています。

おもちゃメーカーだからこそ、安心安全を徹底

WWD:炎天下の野外など、設置場所によって安全性が左右されてしまうのでは?

古澤:品質管理については、真夏のトラックの中で異変が起きないかなど、かなり厳しい環境を想定して検査を繰り返しました。通常の店頭に並んでいる化粧品よりも過酷な環境下に置かれるというのは想像できるので、安全性には十分に配慮しています。

“ガシャポン”を回した時に落としてパウダーが割れてしまわないか、カプセルの中でケースが傷ついたりしないかなど、徹底的に検証しました。

WWD:良く見るカラフルなカプセルとは違い、中身が全く見えない黒の理由は?

古澤:開封するまでどんなカラーが出てくるのか分からないワクワク感を楽しんでいただきたく、ブラックのカプセルを採用しています。

WWD:特にこだわった部分は?

古澤:容器の透明度ですね。おもちゃの透明のパーツよりもさらに化粧品が美しく見える、清潔感のあるクリアな容器を採用しています。カプセル自販機での販売を想定した安全基準と、美しい透明感を維持できるギリギリのバランスを攻めました。あとは天面のイラストデザインと、マルチカラーパウダーの色味がリンクするような一体感も心掛けています。

高品質なコスメとキャラクターグッズの両立を目指す

WWD:販売後の反響は?

古澤:ありがたいことに、売り上げもSNSの反響も想像以上でした。2024年3月に“ガシャポンコスメ”を発売しましたが、計画比を大きく上回る形で好スタートを切っています。

WWD:課題は?

古澤:バンダイはおもちゃやゲーム、キャラクターグッズなどのイメージが強く「クレアボーテ」というコスメブランドがあること自体、まだ浸透していません。キャラクターの世界観を反映したパッケージは好評ですが、今後は品質の良さもアピールしていきたいです。

WWD:今後について教えてください

古澤:手軽に楽しめるコスメかつキャラクターグッズとしても満足してもらえるよう両立をしながら、“ガシャポンコスメ”のシリーズを拡充していきたいです。現在はマルチカラーパウダーのみの展開ですが、リップやベースメイクなどの別アイテムも取り扱いを検討しています。皆さんに商品を届けられる準備ができたら発表するので、それまで楽しみにしていてください。

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